風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

どんぐり

2019年11月15日 | 「新エッセイ集2019」
ここはどこ
いつのまに
こんなところまで
はるばると
嵐のどんぐりを拾ったのは
いつだったか

その丸い実に
小さな穴をあけて
ぴゅうぴゅうと鳴らした
山はとおい
海もとおい
呼びかけるひとも
遠かった

いつのまにか
こんなになってしまった
暮れていく秋には追いつけない
どんぐりの耳に
聞こえてくるのは
枯れた響き
ときに笛は歓喜し
ときに笛は悲嘆する





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