風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

サーカス

2014年12月18日 | 「詩集2014」

そこに
風の道はなかったけれど
風を運ぶものはあった
見えない軌跡を引きながら
きみの空中ブランコが接近してくる
渦まく風のすべり台では
空のクリオネたちが目をまわしていた
宙を満たしているのは闇で
伸びてくるきみの手だけに光がある
きみの指にぼくの指がからむ
その一瞬に風景がかわる
空にかかる水の橋を
あわてて渡るクリオネたちがみえる
生きることのバランスを
ひとは危うい遊戯とみるだろう
近づいたり離れたり
手と手が触れ合うのは一瞬だけど
その一瞬にかけて
ふたりは遠心力を生きる
ひとりで愛を語るというクリオネたちの
言葉の距離から解き放たれて
目から目へ
唇から唇へと
ひとつになろうとする重量がある
終わりは始まり
大きく風景は反転して
空のざわめきが近づいてくる
闇を押しひらいて産卵する
クリオネたちの風景が傾いていく
その緩やかな速度で
ふたりは風になる



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4 コメント

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初めまして ()
2014-12-23 12:27:45
風共通しますね。でも・・
風のyo_yoさんは風への思い
素敵に表現されていますね。
私の風は、山奥でいつも風が吹いていた
そんな思いからです。

書くことはできませんが
読むのは好きです。
またお邪魔させていただきます。
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初めまして (風のyo-yo)
2014-12-23 15:27:57
風さん
うれしい風のお便り
ありがとうございました。

風は
目には見えないけれど、
風の動きは感じることができますよね。
きょうの風はやさしく窓をノックして
うれしい呼びかけをくれたようでした。
風の交信
これからもよろしくお願いします!

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感動の飛沫が飛ぶ (akanekaori)
2014-12-24 08:48:53
感動の詩を行ごとに追いながら一語の心理が腸に響く流れの調べに熱い感動とときめきを抱きながら鑑賞しました。

眠って居る感性が呼び覚まされた想いで感激です。

目覚めた感動の騒ぎを覚えます。

マリオネ・・昨日から盛んにこの言葉を思い出そうとして想い出せなくて居た朝でした。

透明なマリオネの感性を感じながら血肉を盛んに騒いで居たところでした。

朝gooからのメールで知り感謝して居ます。



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熱い飛沫でした (風のyo-yo)
2014-12-24 16:56:49
akanekaoriさん
熱いコメントを、ありがとうございました。

あなたの感動する言葉に、ぼくは感動しました。
ひとの心のときめきは、喜ばしい伝染をするんですね。
手から手に受け渡される、空中ブランコの風景が一瞬かわるように、
そんな驚きと心のきらめきが伝われば嬉しいです。

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