万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌1902 春の野に1736

2015年10月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌1902 春の野に1736

春の野に 霞たなびき 咲く花の
かくなるまでに 逢はぬ君かも  

1736     万葉短歌1902 ShuE327 2015-1016-man1902

はるののに かすみたなびき さくはなの
 かくなるまでに あはぬきみかも
=未詳。
【編者注】「寄花」9首(1899~1909)の第4首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第13首。
【原文】10-1902  春野尓 霞棚引 咲花乃 如是成二手尓 不逢君可母  作者未詳


万葉短歌1901 藤波の1735

2015年10月15日 | 万葉短歌

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万葉短歌1901 藤波の1735

藤波の 咲く春の野に 延ふ葛の
下よし恋ひば 久しくもあらむ  

1735     万葉短歌1901 ShuE327 2015-1015-man1901

ふぢなみの さくはるののに はふくずの
 したよしこひば ひさしくもあらむ
=未詳。
【編者注】「寄花」9首(1899~1909)の第3首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第12首。
【訓注】延ふ葛の(はふくずの=蔓葛)。下よし(したよし=下夜之)。久しくも(ひさしくも=久雲)。


万葉短歌1900 梅の花1734

2015年10月14日 | 万葉短歌

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万葉短歌1900 梅の花1734

梅の花 咲き散る園に 我れ行かむ
君が使を 片待ちがてり  

1734     万葉短歌1900 ShuE327 2015-1014-man1900

うめのはな さきちるそのに われゆかむ
 きみがつかひを かたまちがてり
=未詳。
【編者注】「寄花」9首(1899~1909)の第2首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第11首。
【訓注】園(その=苑)。君が使(きみがつかひ=君之使)。


万葉短歌1899 春されば1733

2015年10月13日 | 万葉短歌

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万葉短歌1899 春されば1733

春されば 卯の花ぐたし 我が越えし
妹が垣間は 荒れにけるかも  

1733     万葉短歌1899 ShuE326 2015-1013-man1899

はるされば うのはなぐたし わがこえし
 いもがかきまは あれにけるかも
=未詳。
【編者注】題詞は「寄花」9首(1899~1909)、その第1首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第10首。
【訓注】春されば(はるされば=春去者)。卯の花(うのはな=宇乃花)[空木の花。07-1259于花、08-1452宇乃花、08-1477宇能花、-1482宇能花、ほか多数]。ぐたし(具多思)[19-4217宇能花乎令腐霖雨之(うのはなを くたすながめの)]。


万葉短歌1898 貌鳥の1732

2015年10月12日 | 万葉短歌

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万葉短歌1898 貌鳥の1732

貌鳥の 間なくしば鳴く 春の野の
草根の繁き 恋もするかも  

1732     万葉短歌1898 ShuE324 2015-1012-man1898

かほどりの まなくしばなく はるののの
 くさねのしげき こひもするかも
=未詳。
【編者注】「寄鳥」2首(1897~1898)の第2首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第9首。
【訓注】貌鳥(かほどり=容鳥)[10-1823杲鳥]。
【原文】10-1898  容鳥之 間無数鳴 春野之 草根乃繁 恋毛為鴨  作者未詳


万葉短歌1897 春されば1731

2015年10月11日 | 万葉短歌

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万葉短歌1897 春されば1731

春されば もずの草ぐき 見えずとも
我れは見やらむ 君があたりをば  

1731     万葉短歌1897 ShuE324 2015-1011-man1897

はるされば もずのくさぐき みえずとも
 あれはみやらむ きみがあたりをば
=未詳。
【編者注】題詞は「寄鳥」2首(1897~1898)、その第1首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第8首。女歌。
【訓注】春されば(はるされば=春之在者)。もずの草ぐき(もずのくさぐき=伯労鳥之草具吉)[10-2167百舌鳥。「もず」は2例だけ]。我れは(あれは=吾者)。


万葉短歌1896 春されば1730

2015年10月10日 | 万葉短歌

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万葉短歌1896 春されば1730

春されば しだり柳の とををにも
妹は心に 乗りにけるかも  

1730     万葉短歌1896 ShuE321 2015-1010-man1896

はるされば しだりやなぎの とををにも
 いもはこころに のりにけるかも

=未詳(柿本人麻呂歌集)。
【編者注】「春相聞」冒頭七首(1890~1896、人麻呂歌集歌)の第7首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第7首。脚注に、「右柿本朝臣人麻呂歌集出」。
【訓注】春されば(はるされば=春去)。しだり柳の(しだりやなぎの=為垂柳)。とををにも(十緒)[08-1595枝毛十尾二]。妹は心に乗りにけるかも(いもはこころにのりにけるかも=妹心乗在鴨)[02-0100妹情尓乗尓家留香問]。


万葉短歌1895 春されば1729

2015年10月09日 | 万葉短歌

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万葉短歌1895 春されば1729

春されば まづさきくさの 幸くあらば
後にも逢はむ な恋ひそ我妹  

1729     万葉短歌1895 ShuE321 2015-1009-man1895

はるされば まづさきくさの さきくあらば
 のちにもあはむ なこひそわぎも

=未詳(柿本人麻呂歌集)。
【編者注】「春相聞」冒頭七首(1890~1896、人麻呂歌集歌)の第6首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第6首。
【原文】春されば(はるされば=春去)。さきくさの(三枝)[三椏。05-0904(長歌)]。我妹(わぎも)。


万葉短歌1894 霞立つ1728

2015年10月08日 | 万葉短歌

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万葉短歌1894 霞立つ1728

霞立つ 春の長日を 恋ひ暮らし
夜も更けゆくに 妹も逢はぬかも  

1728     万葉短歌1894 ShuE321 2015-1008-man1894

かすみたつ はるのながひを こひくらし
 よもふけゆくに いももあはぬかも

=作者未詳(柿本人麻呂歌集)。
【編者注】「春相聞」冒頭七首(1890~1896、人麻呂歌集歌)の第5首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第5首。
【原文】10-1894 霞発 春永日 恋暮 夜深去 妹相鴨  作者未詳


万葉短歌1893 出でて見る1727

2015年10月07日 | 万葉短歌

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万葉短歌1893 出でて見る1727

出でて見る 向ひの岡に 本茂く
咲きたる花の ならずはやまじ  

1727     万葉短歌1893 ShuE317 2015-1007-man1893

いでてみる むかひのをかに もとしげく
 さきたるはなの ならずはやまじ

=未詳(柿本人麻呂歌集)。
【編者注】「春相聞」冒頭七首(1890~1896、人麻呂歌集歌)の第4首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第4首。
【訓注】本茂く(もとしげく=本繁)。咲きたる花の(さきたるはなの=開在花)。


万葉短歌1892 春山の1726

2015年10月06日 | 万葉短歌

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万葉短歌1892 春山の1726

春山の 霧に惑へる うぐひすも
我れにまさりて 物思はめやも  

1726     万葉短歌1892 ShuE317 2015-1006-man1892

はるやまの きりにまとへる うぐひすも
 われにまさりて ものもはめやも

=未詳(柿本人麻呂歌集)。
【編者注】「春相聞」冒頭七首(1890~1896、人麻呂歌集歌)の第3首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第3首。
【訓注】霧に惑へる(きりにまとへる=霧惑在)。うぐひすも(鸎)。物思はめやも(ものもはめやも=物念哉)。


万葉短歌1891 冬こもり1725

2015年10月05日 | 万葉短歌

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万葉短歌1891 冬こもり1725

冬こもり 春咲く花を 手折り持ち
千たびの限り 恋ひわたるかも  

1725     万葉短歌1891 ShuE317 2015-1005-man1891

ふゆこもり はるさくはなを たをりもち
 ちたびのかぎり こひわたるかも

=未詳(柿本人麻呂歌集)。
【編者注】「春相聞」冒頭七首(1890~1896、人麻呂歌集歌)の第2首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第2首。
【原文】10-1891 冬隠 春開花 手折以 千遍限 恋渡鴨  作者未詳(託女歌)


万葉短歌1890 春山の1724

2015年10月04日 | 万葉短歌

-- 巻十 春相聞 --

万葉短歌1890 春山の1724
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万葉短歌1890 春山の1724

春山の 友うぐひすの 泣き別れ
帰ります間も 思ほせ我れを  

1724     万葉短歌1890 ShuE317 2015-1004-man1890

はるやまの ともうぐひすの なきわかれ
 かへりますまも おもほせわれを

=未詳(柿本人麻呂歌集)。
【編者注】題詞は「春相聞」冒頭七首(1890~1896、人麻呂歌集歌)、その第1首。「春相聞(10-1890~1937、四十七首)」の第1首。
【訓注】友うぐひす(ともうぐひす=友鸎)。泣き別れ(なきわかれ=鳴別)。帰ります間も(かへりますまも=眷益間)。思ほせ我れを(おもほせわれを=思御吾)。
【一括訂正】以下、該当箇所まで、「(誤)春相聞(10-1890~1936、四十七首)」を、「(正)春相聞(10-1890~1936、四十七首)」と訂正。


万葉短歌1889 我がやどの1723

2015年10月03日 | 万葉短歌

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万葉短歌1889 我がやどの1723

我がやどの 毛桃の下に 月夜さし
下心よし うたてこのころ  

1723     万葉短歌1889 ShuE315 2015-1003-man1889

わがやどの けもものしたに つくよさし
 したごころよし うたてこのころ

=未詳。
【編者注】題詞は「譬喩歌」。「春雑歌(10-1812~1889 七十八首)」の第78首。直前2首(1887、1888)は旋頭歌。
【訓注】我がやど(わがやど=吾屋前)。毛桃(けもも)[07-1358、11-2834、計3か所]。月夜(つくよ)。下心(したごころ)[07-1304、計2か所]。うたてこのころ(菟楯頃者)[11-2465宇多手比日、12-2877得田直比来]。


万葉短歌1886 住吉の1722

2015年10月02日 | 万葉短歌

2015-1002-man1886
万葉短歌1886 住吉の1722

住吉の 里行きしかば 春花の
いやめづらしき 君に逢へるかも  

1722     万葉短歌1886 ShuE312 2015-1002-man1886

すみのえの さとゆきしかば はるはなの
 いやめづらしき きみにあへるかも

=未詳。
【編者注】題詞は「懽逢(くゎんほう)」。「春雑歌(10-1812~1889 七十八首)」の第75首。
【訓注】住吉(すみのえ)[大阪市住吉区]。春花(はるはな)。いやめづらしき(益希見)。君に逢へるかも(きみにあへるかも=君相有香聞)。