A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ミンガスのラストレコーディングであり、アダムスが参加した最後のミンガスグループ・・・

2014-12-19 | PEPPER ADAMS
Me Myself An Eye / Charle Mingus

古いビデオを整理していたら中村誠一が率いるサックスバトルのテレビ番組の録画が残っていた。今ではベテランとなった面々の若い頃のクラブでのライブ演奏をたっぷりと聴ける。メンバーの一人に大森明の姿が。バークリーに留学後アメリカで10年近く武者修行の後帰国してまもなくの演奏だと思う。当時は地上波でもスポンサーがついてこんな番組ができた時代だった。
その映像はこちらで↓



その大森明の初レコーディングは、1978年アメリカ滞在時でチャーリーミンガスのラストレコーディングだった。先日紹介したその時の演奏Something Like A Birdではソロもとっていた。大森明のバイオグラフィーを見るとその時の様子が記されている。

この録音のコーディネートをしたPaul Jeffreyのワークショップに大森明は参加していた。ミンガスのワークショップというのは有名だが、ニューヨークではワークショップとかリハーサルオーケストラというのは昔から数多く行われ、新人、中堅を問わず研鑽の場になっているようだが、このPaul Jeffersonmoワークショップには、ゲストには大物プレーヤーが多く参加していたそうだ。

このジェフリーがミンガスのレコーディングに向けての譜面が仕上がってくると、その音合わせに譜面の読める大森に声を掛けたのがそもそものきっかけだった。ミンガスがそのリハーサルの模様を収めたテープを聴いて、「この東洋人にもソロをとらせろ」と言ってくれたので晴れてソロを残せたそうだ。リハーサルを重ね本番が近付くとペッパーアダムスなどのレギュラーメンバーも集まり、いよいよ録音の日を迎えた。

進行表が配られ、マクファーソンがまだ来ていない中、初めて全員揃ってのリハが始まり曲の全貌が明らかになったそうだ。本番テイクでは、アンサンブルにミスがあろうと、ソロの良し悪しもお構いなくどんどん前に進んでいく、これがミンガス流のレコーディングのようだ。あの自然発生的なアンサンブルは、そうしてできるのだろう。

初日は先日紹介したアルバムに収められた”Something Like A Bird”であった
翌日はこのアルバムに収められているもう一つの大曲、”Three Worlds Of Drums”。チェンバース、ガッド、リッチモンドの3人のドラムの揃い踏み、曲調もこちらはミンガス調で、サックスもテナー陣だけがソロを割り当てられて、大森もアダムスもソロでの出番はない。

録音のもう一日の予定日20日は雪で流れたため、23日に延期。すでに予定の入っていたメンバーは参加できず、急遽ピンチヒッターが多く集められた。マルタもその一人であった。
この日の録音では、デビルウーマンはラリーコリエルのギターとブレッカー兄弟のソロがフィーチャーされる。Wednesday Night Prayer Meetingでは手拍子とコーラスで始まるミンガスらしい曲。後のCarolyn "Keki" Mingusではリーコニッツがフィーチャーされるが、ここではミンガスから注文が出て、ジョニーホッジス張りのベンド奏法を求められたが、コニッツは一切無視という事件もあったようだ。

いずれにしても、この時すでに体調がすぐれなかったミンガスにとってはこれが最後の録音となった。それを感じてか、これまでの集大成のような感じがするし、昔からの仲間に加えて新しいメンバーを加えたのみも何か意味があったのかも。アダムスにとっても夏のニューポートのステージにはライオネルハンプトンのバンドに加わっていて参加できず、ミンガスグループでの演奏はこれが最後となった。

大森明にとっては、忘れられない初レコーディングであり、アダムスにとっては長年付き合ったミンガスとの最後の共演であり、2人にとっては忘れられないセッションであったと思う。




1. Three Worlds Of Drums

Randy Brecker, Mike Davis (tp)
Jack Walrath (tp, arranger)
Slide Hampton, Jimmy Knepper (tb)
Akira Ohmori (as) Ken Hitchcock (as)
Daniel Block, Michael Brecker, George Coleman, Ricky Ford (ts)
Pepper Adams, Ronnie Cuber, Craig Purpura (bs)
Bob Neloms (p)
Larry Coryell, Ted Dunbar, Jack Wilkins (g)
Eddie Gomez, George Mraz (b)
Joe Chambers, Steve Gadd, Dannie Richmond (ds)
Sammy Figueroa, Ray Mantilla (percussion)
Paul Jeffrey (conductor)
Charles Mingus (composer, arranger)

Recoeded at Atlamtic Studio,NYC, January 19, 1978

2. Devil Woman
3. Wednesday Night Prayer Meeting -
4. Carolyn "Keki" Mingus

Mike Davis (tp) Randy Brecker (tp)
Jack Walrath (tp, arranger)
Jimmy Knepper, Keith O'Quinn (tb)
Lee Konitz, Yoshiaki Malta, Akira Ohmori (as)
Ken Hitchcock (as,ss)
Daniel Block, Ricky Ford, John Tank (ts)
Michael Brecker (ts)
Pepper Adams, Ronnie Cuber, Craig Purpura (bs)
Bob Neloms (p)
Larry Coryell, Ted Dunbar, Jack Wilkins (g)
Danny Toan (g -4)
Eddie Gomez (b)
Joe Chambers, Dannie Richmond (ds)
Charles Mingus (composer, arranger)
Paul Jeffrey (arranger, conductor)

Recoeded at Atlamtic Studio,NYC, January 23, 1978



Me Myself & Eye
Charles Mingus
Warner Spec. Mkt. UK

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« クリスマスシーズンになると... | トップ | 久々に猪俣さんのドラムを聴... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。