A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

人気の出てきたリッチ―コールのライブアルバムをプロデュースしたのは・・・?

2015-02-11 | MY FAVORITE ALBUM
Alive! at The Village Vanguard / Richie Cole

オーレックスジャズフェスティバルが横浜スタジアムを満員にしてジャズ界が盛況を極めていた80年代の初め、ベテラン大物ミュージシャンに交じって新人で注目されたのが、ウイントンマルサリス、そしてリッチーコールであった。

どちらもジャズの伝統に根差したメインストリームのオーソドックスな演奏であったが、2人のタイプは全く違っていた。マルサリスはその後も常に王道を歩み、フュージョンの演奏の誘いも受けなかった。
一方のリッチ―コールの演奏も、フュージョンこそやらなかったが、ビバップオリエンテッドなプレーをポピュラーにする、軽いノリ、明るさやエンターテイメント性を持ち合わせていた。それも時には必要以上におふざけになる位それらを徹底的にアピールしていた。

反対にその軽さが硬派のジャズファンには受け入れられなかった。当時良く一緒にジャズを聴きに行った友人もこのコールには全く興味を示さず、反対に自分は「楽しくていいじゃないか」と言って、良く聴いていた。自分はジャズの線引き議論にはあまり興味はなかったので。

評論家も、神聖なるジャズを冒涜する道化師だと切り捨てる児山氏もいれば、軽薄ではない、バップを現在に生かす方法を知っていると弁護する岩波氏もいた。いずれにしても、議論を呼ぶだけの個性があったということだろう。

ビバップの伝統を引き継いた第一人者であるディジーガレスピーが、日本ではあまり人気が無いのもこの明るさを誇示したからかもしれない。楽しいジャズは、それはそれでいいと思うのだが・・・・。
日本では、ジャズには何故かマイルスやコルトレーン、そしてアートペッパーのようなある種の暗さ、そして精神性が必要で、人気が出る秘訣の様だ・・・。

このリッチ―コールはその楽しいジャズをよりアピールするためか、バンドの名前をアルトマッドネスと命名していた。アルバムもバトル物やライブ物が多いが、このアルバムもその一枚だ。
このアルバムでのバトルの相手は、ホーン楽器ではなくピアノのボビーエンリケ。フィリッピン出身で、リッチに合わせてバカノリのリズムカルなピアノを弾く。ピアノが打楽器の様だ。このエンリケが当時のコールのグループのレギュラーピアニストだった。

曲は、ビバップ時代の名曲、そしてオリジナルも一曲あるが、全編楽しい演奏を聴かせてくれる。オリジナルのAlto Acresでは、珍しくテナーのプレーも聴ける。

そして、ライブの会場はニューヨークのジャズクラブの聖地ともいえるビレッジバンガード。ここから多くのライブの名盤が生まれ、今でも良く聴かれている。しかし、このアルバムは? というとCDで再発されていないようだが、映像は残されている。



このアルバムを出したミューズというビバップスタイルの演奏の復活を試みたレーベルであるが、ソニースティットのようなべテランに交じって、リッチーコールのような新人も起用していた。ちょうどコンコルドで、ベテランに交じってスコットハミルトンが登場したように。ただし、コールに言わせると、演奏をただでプレゼントしたような扱いだったので、この後Museを去ることになる。
リッチーコールは、このミューズで巣立ったが、その前はバディーリッチのビッグバンドの一員であった。根っからのスイング感は、Museで育つ前ここで身に付けたのかもしれない。

このアルバムのプロデューサーは?というと、実は古い録音の発掘王マイケルカスクーナであった。ちょうどブルーノートの再発の仕事も一段落して、新作にチャレンジしようと思ったのかもしれない。

1. Punishment Blues
2. Body and Soul
3. Samba de Orfeu
4. Yardbird Suite
5. Alto Acres
6. Red Top

Richie Cole (as,ts)
Bruce Forman (g)
Bobby Enriquez (p)
Marshall Hawkins (b)
Scott Morris (ds)

Produced by Michael Cuscuna
Engineer : Dave Hewitt
Recorded live at The Village Vanguard, NYC on June 24, 1981


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2 コメント

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初めまして (どいま)
2015-02-12 00:54:04
りえさんのところから偶然に貴方のブログを拝見しました。

リッチー・コールの動画拝見しました。
火の出るようなプレイとはこのことですね!!
ベリー・エキサイティングな演奏!!
若き日のリッチーコール素晴らしい!!

しかし残念ながら評価が日米ともに評価が低かったですね。
僕は大好きですよ!!
彼の音楽は明るくて陽気!そこが素晴らしかった。

この当時、私もスイングジャーナルを毎月愛読していましたよ。
>評論家も、神聖なるジャズを冒涜する道化師だと切り捨てる児山氏もいれば、軽薄ではない、バップを現在に生かす方法を知っていると弁護する岩波氏もいた

児山氏はSJ誌の編集長ではなかったでしょうか?
神聖なるジャズを冒涜する・・・といった批判は覚えていませんが、、、確かに評価が低かった記憶はあります。
今読むと神聖なジャズって???ジャズは神聖な音楽ではないのにね。

私的にはジャズのビッグネームになって欲しかったですww実力は十分にありますから。。。

ちなみに偶然というか私のブログにも同じくリッチー・コールの曲を紹介していますww

誰かに聞いてほしくて誰かコメントくれないかww??と思いあえて新しい記事をUpさせずにいたところですww
うちに見に来てくださいねww
ハリウッド・マッドネスというアルバムからの1曲です。

マンハッタン・トランスファーもゲスト参加している(ご存じでしょうか?)
来日の際は当時はタモリともTV、ラジオで共演したはずですよねww

なのになぜか人気が出なかった。。。。
あまりの軽さになんかコミックバンド的イメージと批判的ジャズファンから敬遠された不遇な人ですよね、。。。。

勝手に読者登録させていただきました。
これかもよろしくお願いします。
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コメントありがとうございます (YAN)
2015-02-13 00:41:14
どいまさん

こんばんは、はじめまして。

コメントを頂きありがとうございます。

偶然同じ懐かしいリッチーコールでしたね。

どうも自分は、人が良いという物には興味を示さず、反対に無視する物を好きになる天邪鬼な性格なようです。

自分でピンと来るものがあればいいアルバム、楽しければいいをモットーに聴いていますので、紹介するアルバムも偏っています。

リッチーコールは好きで良く聴きました。
ハリウッドマッドネスも持っていますよ。もちろんマンハッタントランスファーも知っていますし、好きなグループです。

週末にじっくり聴き返してみたいと思います。

今後とも、よろしくお願いします。
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