A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ドンフリードマンが今あるのも、このアルバムがあったからこそ・・・

2015-11-27 | MY FAVORITE ALBUM
Circle Waltz / Don Friedman Trio

前回紹介したアルバム、ドンフリードマンとペッパーアダムスの組み合わせというと、その後の2人のキャリアを考えると意外な組み合わせかもしれないが、実は2人の関係はお互いニューヨークに出てきたばかりの1958年に遡る。

ペッパーアダムスはスタンケントンオーケストラへの参加、その後ウェストコーストを拠点とした活動の後、ニューヨークに戻って積極的に活動を行っていた頃である。そして、アダムスはこの年にドナルドバードと一緒にレギュラークインテットを立ち上げ、ファイブスポットを中心に活動を開始する節目の年でもある。
一方のフリードマンも56-57年とウェストコーストで活動を始め(アダムスも同じ時期にウェストコーストに居た)、58年には拠点をニューヨークに移す。

その年、1958年3月23日のライブレポートの新聞記事がある。

ここには、ペッパーアダムスがリーダーで、バードが加わり、そしてピアノはドンフリードマンとある。
このバード&アダムスクインテットの誕生ともいえるファイブスポットのライブ演奏はアルバムにも残されているが、そこでのピアノはボビーティモンズである。ドンフリードマンはレギュラーメンバーであるティモンズのサブとしてクインテットに参加していたようだ。

このファイブスポットへのレギュラー出演以外にもアダムスとフリードマン、そしてドラムのエルビンジョーンズは色々な場所で他のメンバーを加えてgigを繰り広げていたと記録にある。

さて、このフリードマンだが、代表作は前回も枕詞のように書いたが「サークルワルツ」であろう。「ジャズピアノの名盤」という中に必ずと言っていい程選ばれるアルバムだが、この手の名盤というのは、不思議と最近ではじっくり聴く機会も少なくなっている。昔からよく知っているので、何度も聴いた感じがしてしまうのか。ということで久々に聴き返してみた。

リバーサイドでの2枚目、1962年の録音だ。よくエバンスライクのピアノといわれるが、活動した時期はまったく一緒。エバンスの後継者というよりはライバルといった方が正しいかもしれない。スタイルは似ているが、力強さは遥かにエバンスを上回る。特に、ソーインラブでのソロは圧巻だ。当時、このまま活動を続けていたら2人は良きライバルであったと思う。

エバンスとのコンビで有名なスコットラファロ、実はエバンスより前にこのドンフリードマンはコンビを組んだ事があるという。そして、その経験がその後のフリードマンの演奏に大きく影響を与えたそうだ。二人のスタイル形成に大きく影響を与えたのは実はラファロであったのかもしれない。

エバンスは、ラファロとのコンビでトリオのスタイルを確立し大きく飛躍する。その一方で、フリードマンはジャズだけでは食べて行けず、ラウンジでのピアノ演奏やダンスバンドで生計をたてていた。

そんなニューヨークでの生活を送っていたフリードマンに手を差し伸べたのは、リバーサイドのオリンキープニュース。そのお蔭で、その時代のフリードマンの演奏が今に残り、名盤となったことになる。

世の中音楽だけでなく何の世界でも同じであるが、同時進行で色々な事が起こっている。しかし、それらが記録に残り後世に伝えられるものはその中のほんの一部である。一方で、世の中というのは勝負の世界で勝ち組だけが生き残る。したがって、後世に引き継がれるのは勝ち組の歴史となり、負け組の歴史は単に伝説になってしまうものだ。本当に実力がある者が勝ち組になればいいが、実際は運のある者、世の流れに迎合したものが勝ち組になってしまうことも多い。

フリードマンはその後第一線に復帰を遂げる。もしこのリバーサイドのアルバムが無かったら、後の復活も無かったし、単に伝説のピアニストで終わってしまっていたのかもしれない。亡くなったという話は聞かない、まだ健在のようだ。

1. Circle Waltz                   Don Friedman 5:59
2. Sea's Breeze                     Don Friedman 6:05
3. I Hear a Rhapsody   Jack Baker / George Fragos / Dick Gasparre 7:32
4. In Your Own Sweet Way               Dave Brubeck 5:20
5. Loves Parting                    Don Friedman 5:45
6. So in Love                       Cole Porter 3:25
7. Modes Pivoting                     Don Friedman 6:44

Don Friedman (p)
Chck Israels (b)
Pete La Roca (ds)

Produced by Orrin Keepnews
Engineer : Ray Fowler
Recorded at Plaza Sound Studios, New York on May 14 1962

サークル・ワルツ
クリエーター情報なし
ユニバーサルミュージック
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