A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

コンボ演奏で本領発揮のボビーシューであったが・・・

2015-11-13 | MY FAVORITE ALBUM
塩銀杏 Salted Gingko Nuts / Toshiko Akiyoshi-Lew Tabakin Big Band

先日トランペットのボビーシューが来日した。クリニックが主たる目的の来日であったようだが、何日かプロのミュージシャンとセッションを繰りひろげた。

自分は2回聴くことができたが、一日はアルトの大森明との共演。井上裕一をピアノに加え、バップオリエンテッドなスタイルでの演奏であった。
もう一日は同じトランペットの辰巳哲也との共演。同じ楽器を複数編成するとよく「バトル物企画」となるが、ここではバトルというよりコラボという印象が強い演奏であった。アップテンポの曲をハイノートで張り合い、バラードはメドレーでそれぞれ勝手にというのがバトル物の常だが、ここではアンサンブルからソロの交換に至るまでお互いじっくり語り合うという雰囲気で演奏が展開された。
もちろんこの2人のコラボを支えた守屋純子トリオの素晴らしさもあってだが。オーケストラでのアレンジャー守屋純子もいいが、このようなセッション物のバックも誰とやっても雰囲気作りは上手い。もちろん彼女のピアノのプレーもたっぷりと。

ボビーシューのコンボでのライブ演奏を聴くのは初めてであったが、実に良く謳うトランペットでソリストとしても実に素晴らしい。最近、ビッグバンドでお馴染みの名プレーヤーが単身来日してこのようなセッションをすることが多いが、皆どんなスタイルでも軽くこなし、演奏自体にも多彩さと奥深さそして余裕を感じる。彼らが本当の実力者達だと思う。

さて、ボビーシューというと自分にとってはどうしても「ビッグバンドの人」というイメージが強い。Toshiko-Tabakinオーケストラの立ち上げ時からの主要メンバーであり、バディーリッチのビッグバンドの旗揚げ時のメンバーであり、そしてルイベルソンのビッグバンドでも常連であった。ライブを聴いて、ボビーシューのアルバムと思ったが、こんどコンボ物のアルバムを探してみようと思う。残念ながら自分の手持ちのアルバムはビッグバンドばかり、コンボでの演奏はConcordの初期のアルバムで数枚であった。コンボでのプレーをじっくり聴くのはしばらくお預けだ。

という訳で、秋吉敏子ビッグバンドのこのアルバムを聴く事に。

1978年のダウンビート誌の読者投票のビッグバンド部門でサドメルに替わって第一位に選ばれたのがToshiko-Tabakinのビッグバンドであった。翌年サドジョーンズはサドメルを去り、読者投票、批評家投票両方で秋吉敏子はビッグバンド部門とアレンジャーの両部門の第一位を獲得し、この年に名実ともにNo.1の地位を獲得したことになる。

サドメルもビレッジバンガードに出演するだけのバンドでスタートしたが、10年かけて世界中をツアーするバンドに育っていた。一方のToshiko-Tabakinのビッグバンドは、1973年に西海岸でスタートしたが、活動拠点は西海岸中心であり、コンサートも大学中心であり必ずしも広く全米に知られている訳ではなかった。

4年経って1977年のニューポートジャズフェスティバルに初出演して一気に知名度が上がったが、いきなり一位を獲得したことになる。日本では確実に人気を得てアルバムの数も毎年増えていたが、アメリカではそれらのすべてがリリースされていた訳ではない。玄人受けする活動が評価を得たということだろう。

1978年11月に録音されたこのアルバムが7枚目となるが、ニューポートにも出演し、ダウンビートのポールも獲得した後の、次のステップに飛躍する節目のアルバムともいえる。

秋吉敏子のビッグバンドは基本的に彼女のオリジナル作品、そしてアレンジだ。したがって、オーケストラ全体のサウンドもその作品にすべて影響を受けるが、人気が出たからといってもその作風に大きな変化はない。
このアルバムでは以前のアルバム「孤軍」「花魁譚」のように特に日本を意識した新曲は無いが、特に一般受けする狙いに変ったということは無い。

以前作った自作曲のオーケストラ版がタイトル曲の「塩銀杏」、「レイジーデイ」。スタンダードをやらない代わりにスタンダード曲を意識した曲「チェイシング・アフター・ラブ」がスタンダードの「ラヴァー」のコード進行を使って書かれている。シャッフルのリズムを使って思いっきりスイングする曲も得意で、今回は「サン・オブ・ロード・タイム」で聴ける。

そして、フィーチャーするソリストを決めて作る曲は、パートナーであるタバキンをフィーチャーすることが多いが、このアルバムにはボビーシューのフリューゲルホーンをフィーチャーした曲タイム・ストリームが収められている。今から40年近く前、シューはこの頃から流れるようなサウンドのバラードプレーは得意だった。

やはりこれだけでは満足できないので、今度、シューのコンボ物のアルバムを探してみようと思う。

1. Elusive Dream
2. Lazy Day
3. Chasing After Love
4. Salted Gingko Nuts
5. Time Stream
6. Son Of Road Time

Steven Huffstetter (tp)
Bobby Shew (tp)
Mile Price (tp)
Larry Ford (tp)
Bill Leichenbach (tb)
Randy Aldcroft (tb)
Rick Culver (tb)
Phil Teele (btb)
Gary Foster (as)
Dick Spencer (as)
Lew Tabakin (ts)
Tom Peterson (ts)
Bill Byrne (bs)
Peter Donald (ds)
Mike Richmond (b)
Toshiko Akiyoshi (p)

Produced by Hiroshi Isaka
Rngineer : Ron Malo
Recorded at Devonshire Recording Hollywood California on November 15 &16 1978

塩銀杏
クリエーター情報なし
BMGビクター
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする