A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

テナーとトロンボーンの組み合わせというと、ゴルソン&フラーになるが・・・

2015-11-14 | MY FAVORITE ALBUM
One More Mem’ry / Benny Golson Quintet featuring Curtis Fuller

コンボの編成で管の組み合わせというのは色々あるが、最近テナーとトロンボーンの組み合わせが気に入っている。

というのも、テナーの白石幸司が加わった早川隆章クインテットのライブを聴いてから。スコットハミルトンとハリーアレンのコンビを意識してこのグループを作ったというだけあって、モダンスイングの軽快な演奏が自分の好みにピッタリだからだ。
そして気になっていたのが、木村由紀夫率いるNew Standards Quintet。これも右近茂と駒野逸美がフロントのテナーとトロンボーンのコンビだ。先日、やっと聴く事ができたが予想通りの好演だった。どちらのグループのテナーはクラリネットも得意というのも、何か共通点がある。

テナーとトロンボーンというとジャズ好きにとっては、ゴルソンとフラーのアルバム「ブルースエット」、そしてファイブスポットアフターダークがすぐに思い浮かぶ。いつ聴いてもこの低音のハーモニーの魅力が褪せることはない。メロディーも日本人受けするのかもしれない。

有名な作品は映画でも音楽でもカバーバージョンが沢山生まれるが、この曲だけはなかなか本家に迫る演奏というのは聴いた事が無い。曲だけでなく2人の演奏スタイルも大きく影響しているからだろう。であれば、本人達の再演ということになるが、オリジナルの録音から20年以上経ってからこのアルバムが作られた。

ベニーゴルソンは60年代の後半から70年代にかけては作編曲活動が中心でテナーの演奏からは退いていた。一方のカーティスフラーは一時エレキサウンドをやったり、カウントベイシーオーケストラに加わったり積極的に活動していたが、2人にとっては久々のコンビの復活であった。復活後の最初のアルバムCalifornia Messageはモダンなサウンドで、2人の元気な演奏ぶりを楽しめた反面。ブルースエットファンを少しガッカリさせたものだった。

この2人はやはり「ブルースエット」というイメージが強いのか、復帰第2作目には目玉の「ファイブスポット・・も」収められている。日本盤の帯には、「ロマンの復権、あのブルースエットをもう一度」と見出し風に書かれている。
しかし、ファイブスポット・・が収められているのはB面の一曲目。アルバムの顔ともいえるA面の一曲目は、アルバムタイトルでもあるOne More Memoryとなっている。

この曲は、月の砂漠のメロディーをモチーフにしたゴルソンの新曲だが、ゴルソン・フラーのハーモニーにはピッタリだ。ところが曲によっては、エレキピアノのサウンドを活かしたフリーフォーム的な演奏や、サンバ風のリズムにのった曲など引き続き新境地へチャレンジした演奏も含まれている。

そして、肝心の「ファイブスポット・・・」はというと、これは昔のままのイメージ。この曲だけは、昔のままでやって欲しいとプロデューサーから注文がついたのかもしれないが、日本のファンはやはり「この曲だけはそのままで」という気持ちが強いのかもしれない。
実際に演奏するミュージシャンは色々新境地にチャレンジしたくても、ファンは懐メロを期待するというのも皮肉なものだ。

時代が変り、ミュージシャンも色々なスタイルの演奏を経験し、活動も晩年になると新しい曲、そして新しいスタイルを追い求めるだけでなく、スタンダード曲、そしてスイングすることに新たな魅力を再発見するのかもしれない。最近、バップオリエンテッド、そしてスイングスタイルの演奏に再チャレンジするベテランが多いように感じるが、中に若手が混じっていると単に懐メロを聴いているのではない気がして嬉しくなる。

1. One More Mem’ry
2. Out of The Past
3. Sweetness
4. Five Spot After Dark
5. Touch Me Lightly
6. Sad To Say
7. Once Again

Benny Golson (ts)
Cutis Fuller (tb)
Bill Mays (p)
Bob Magnusson (b)
Roy McCurdy (ds)

Produced by Makoto Kimata
Recorded at A&M Studios, Los Angels on August 19 & 20
コメント
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