A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

怪我からの復帰祝いは、昔からの友人のリーダーアルバムのお祝いを兼ねて・・・

2015-03-10 | PEPPER ADAMS
Opalessence / Hod O’Brien Quintet featuring Tom Harell and Pepper Adams

自らバップ時代を知っていて、そのスタイルを守るピアニストの代表格はバリーハリス。まだ元気に現役を続けている。そして、少し年は若いがバリバリの現役にホッドオブライエンがいる。50年代にオスカーペティフォード、アートファーマーなどとの共演歴があるが、一時ジャズ界から引退し、コンピューター関連の仕事をしていたという。

そのオブライエンがジャズ界に本格的に復帰したのは80年代に入ってから。長いブランクであった。
したがって、最近のジャズ事情に詳しい方であれば良く知っているかもしれないが、自分のように古いジャズファンで最近の事情に疎い人間にとっては、それは誰?良く知らないピアニストということになる。

リーダーアルバムを作ったのも80年代以降、復帰後の50歳を過ぎてから人気が出て、最近では「年老いて益々盛ん」なピアニストのようだ。参加するアルバムが増えてきたのも90年代以降なので、このアルバムが初めてのリーダーアルバムといっても良いくらいの遅咲きだ。

自分にとってこのアルバムは?というと、例によってペッパーアダムスが参加しているので買い求めたもの。このオブライエンが目的であった訳ではない。
トムハレルが参加しているのと、ジャケットのちょっとマイケルジャクション似の風貌と名前から、実は勝手にヨーロッパ系の新人位に思い込んでいた。その割には、新しいスタイルには惑わされることなく、伝統的なスタイルのピアノをきちんと弾くなとは思っていたのだが。

先日、アルトの大森明のライブに行って、新しいアルバム「マンハッタン組曲」を紹介されたので、ジャケットを眺めるとニューヨーク録音。ピアノは「伝説のピアニスト、ホッドオブライエン」とあった。どこかで聴いた事があるなと気になって確認したら、このアルバムのオブライエンであった。これで初めて繋がったという次第。



そして、ライナーノーツを見ると大体アルバム事情も呑み込め、位置づけもクリアになった。

おおまかには、
アルバムタイトルにもなっている、一曲目のOpalessenceは50年代に作ってオスカーペティフォードのお気に入りになった曲。名前の頭のO.P.はオスカーペティフォードの略。
ペッパーアダムスとはアダムスがデトロイトからニューヨークに出てきた56年から知っている仲で、デトロイト出身のミュージシャン(フラナガン、バレル、ハリスなど)がいつも集まっていた所にオブライエンも通っていた。
チェットベイカーが好きでよくアダムスと一緒にプレーをしたこともあり、今回はその流れでトランペットにトムハレルを起用した。
ベースのレイドラモンド、ドラムのケニーワシントンとプレーするのは、このセッションが初めて。フィーリングがピッタリ合った2人だったので、その後も一緒にプレーすることが多くそのままレギュラートリオになった。
一曲だけ参加している、ボーカルのステファニーナカジヤンは数年まえに知り合って伴奏をしたが、意気投合しお互いパートナー同士になった。

ということになる。

一方のペッパーアダムスにとって、このアルバムは?というと、
先日詳しく書いたように、84年は怪我で一年を棒に振った年。9月過ぎからボチボチ活動開始。車椅子や杖の無い生活ができようになったのは、85年の1月、この録音の直後になってから。
丁度、この現場復帰の最中の録音となる。リーダーアルバムではないが、この間に録音に参加した何枚かのアルバムでは演奏はもちろん、何かにチャレンジしようという気合を感じるアルバムが多いが、これもその一枚だ。まだガンの宣告を受ける前、怪我から復帰して今まで通り吹ける嬉しさが満ち溢れている。

この年明け早々のレコーディングセッションに向けて、年末にリハーサルが何度も行われた。アダムスの参加するアルバムは、大きな編成以外は比較的一発勝負が多いが、これは例外だった。アダムスがというより、初顔合わせのメンバーが多く、リーダーアルバムへの想いが募るオブライエンの意向が強かったのかもしれない。

オブライエン、ハレル、そしてアダムスの曲が多い。演奏はいたってオーソドックス。バップの伝承者であるオブライエンが、50年代からタイムスリップしたようなピアノの本領発揮。アダムスはいいピアニストに恵まれている。
良く聴くアルバムでも、棚卸をしてみないと知ったかぶりをしていても知らないことが多いものだ。

1. Opalessence              Hod O'Brien 9:58
2. Touchstone               T. Harrell 7:05
3. Bits and Pieces            Hod O'Brien 7:06
4. Joy Road               Hod O'Brien 7:05
5. A Handful of Dust           Hod O'Brien 7:07
6. The Blues Walk            Hod O'Brien 8:58
7. Detour Ahead  Lou Carter / Herb Ellis / John Freigo 8:55
8. Joy Road                 P Adams 7:51

Hod O'Brien (p)
Pepper Adams (bs)
Tom Harrell (tp,fluegelhorn)
Ray Drummond (b)
Kenny Washington (ds)
Stephanie Nakasian (vol)
Engineer : Rudy Van Gelder
Produced by Gerry Teekens

Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, N.J. on January 2, 1985

OPALESSENCE
クリエーター情報なし
CRISS CROSS

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