A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

今では女性のジャズプレーヤーも多く見受けるが、当時はまだまだ珍しかったのでは?・・

2012-04-13 | CONCORD
Firefly / Emily Remler 

81年4月またまたConcordに新しいギタリストが登場した。ただしこれまでのベテランではなく若者。それもジャケットを見ての通り初々しさの残る女性。女性のギタリストというのも珍しかった。
Concordはテナーのスコットハミルトンを誕生させたが、彼の場合は初々しさというよりも若くして老練さを感じさせるものであった。ギターではグラントガイスマンのアルバムがあったが、久々の新人ギタリストの登場だ。
このアルバムが彼女の初リーダーアルバムということもあり、今回聴き直すにあたって、彼女のキャリアをじっくりと読み返してみた。

彼女はバークレーの出身。10歳でギターを始めた早熟な彼女は18歳でバークレーに入り’76年には年上の男性同級生を差し置いて早々に卒業したそうだ。そして彼女が仕事の場所として選んだのはニューオリンズ。地元で活躍を始めた彼女をニューヨークに紹介したのはナンシーウィルソン。彼女のカーネギーホールでのコンサートに彼女を招いたことで、彼女の名前が世に知られるようになった。そして、ハーブエリスがニューオリンズを訪れた時、彼女がエリスにレッスンを頼み、その3週間後にはエリスと一緒に’78年のConcord Jazz Festivalの舞台に立っていたという「シンデレラ」振りであった。

このアルバムでも聴けるように、彼女は、デビュー当時はウェスモンゴメリーの影響を受けたストレートアヘッドな演奏スタイル。ベテラン達の中に入っても全く違和感が無かった。ニューヨークに出た彼女は、クレイトンブラザースのアルバム制作にも招かれ、エディゴメツなどとプレーをする一方で、アストラッドジルベルトのバンドにも加わっていたというのがこのアルバムまでの経歴。

そして、彼女の初アルバムとなるわけだが、Concordで彼女を迎えたのは大ベテランピアノのハンクジョーンズ、番頭格のドラムのジェイクハナ、それにボブメイズのベースというお歴々。彼女のメインストリームな演奏を支えるには最高のメンバーだ。
演奏する曲も師としていたモンゴメリーの曲以外にも、スタンダードあり、オリジナルあり、ホレスシルバーやマッコイタイナーの曲に、ボサノバありで、初アルバムで彼女の実力を遺憾なく発揮している。ベテラン達に囲まれて、81年の録音とは思えない、20年前にタイムスリップしたような演奏は、やはりConcordならではのアルバム作りだ。そのジェファーソンの想いに、彼女も100%応えている。

順風満帆のスタート切った彼女であったが、バップスタイルの演奏をConcordで続けた後、コンテンポラリーな演奏に変身していく。そして麻薬にも手を染め32歳の若さで亡くなってしまう。今生きていれば、きっと大ベテランのオールマイティーな女性ギタリストであったと思う。残念。




彼女の語るスイングするギターの秘訣は・・・



1. Strollin'             Silver 5:29
2. Look to the Sky          Jobim 5:23
3. Perk's Blues            Remler 4:06
4. The Firefly             Remler 4:05
5. Movin' Along            Montgomery 5:30
6. A Taste of Honey          Marlow, Scott 2:09
7. Inception              Tyner 5:09
8. In a Sentimental Mood        Ellington, Kurtz, Mills 7:48

Emily Remler (g)
Hank Jones (p)
Bob Maize (b)
Jake Hanna (ds)

Carl Jefferson Producer
Phil Edwards Engineer, Remixing
Recorded at The Coast Recorders, San Francisco, California April 1981

Originally Released on Concord CJ-162



Firefly
Emily Remler
Concord Records
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