A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

メルルイスの初リーダーアルバムは、ケントンオーケストラの卒業記念・・・・ところが色々トラブルが

2012-04-08 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Got’ Cha / The Mel Lewis Septet

スタンケントンオーケストラの全米ツアーは、大きな都市では数日滞在することもあったが、基本的にワンナイトスタンドで各都市を次から次へと周るものであった。
1956年11月、サンフランシスコに到着したケントンオーケストラは、そこの“Macumba Club”で2日から18日までの長期出演で久々に腰を落ち着けることになった。(先日紹介したライブはこの時の演奏)
ペッパーアダムスは、デトロイトから自分の車を持ってきたこともあり、その間シスコのダウンタウンから金門橋を渡った港町ソウサリートの小さな湾の見えるホテルで過ごして長期のツアーの疲れをとった。

一方で、ドラムのメルルイスはこの期間を利用してアルバム作りをすることになり、忙しい毎日を送ることになる。メルルイスも自分の名前を冠したアルバムを作るのはこれが初めて。ファーストアルバムの制作は、ツアー途中のサンフランシスコであったこともあり、さぞかし期待と不安が入り混じった心境だったと思う。メンバーはケントンオーケストラの仲間を中心に、ベースとピアノを地元のミュージシャンを使う予定でスタートしたが・・。

ところがこのレコーディングは最初からつまずいた。
まず始めに10日の土曜日に最初のリハーサルを予定した。ところがこの日は肝心なアレンジが間に合わずに流れる、そして翌月曜日にリスケしたら今度はリッチーカムカが急用ができてこの日も駄目、結局14日になってやっとケントンオーケストラでの演奏の合間をぬって初めて全員でのリハーサルが行われる。

すべて用意万端整って、翌15日木曜日のオーケストラの演奏が終わった後で録音予定をしたら、使用するホールの予約の手違いでこの日に録音できず。唯でさえシスコに滞在中という限られたスケジュールの中での段取りが大幅に狂うことになる。単に日程とホールを借りる段取りと思ったのも束の間、今度はアレンジを一部担当し演奏の要でもあったビルパーキンスがアフターアワーズでトラブルに巻き込まれ病院に担ぎ込まれる事態に。一週間は演奏できない状態で万事休す。この穴を埋めるべくケントンのオーケストラに起用されたジェリーコッカーに代役を務めて貰う事でご破算になることは何とか回避できたが。
レコーディングは、ピンポイントで19日と20日の2日間しか残されていなかった。

19日月曜日の午後からレコーディングを開始し、最初のテイクのプレーバックを聴いて今度はピアノがおかしいのに気がつく。何とピアノの調律が狂っていたのが発覚。時間が無いのでそのままレコーディングが継続することに。さらにその日はケントンオーケストラがクラブ出演を終えて、次の大学でのコンサートが予定されていたのでケントンオーケストラのメンバーは中抜けしてケントンの移動バスに駆けつけることに。残されたベースのディーンライリーは、病院にいくビルパーキンスの元に彼のアレンジの変更を受取りに、ピアノのマラブトは調律の道具を取りにというバタバタの状態に。
再開されたセッションは夜を徹して行われ、翌日の夕方には何とかメンバー全員で録音を聞き返す時間がとれて、何とか滑り込みセーフということだったそうだ。

メルルイスにとっての初リーダーアルバムであったが、ドラムは終始裏方に徹して引き立て役に徹しているのもメルルイスらしい。メルルイスだけでなく、ペッパーアダムスにとっても西海岸に来てこれが初めての録音になった。
演奏自体はライナーノーツにもあるように、当時の西海岸の「ストレートアヘッド」な演奏。単にジャムセッションというのではなく、適度なアレンジが施されているが各人のソロもたっぷりと楽しめる。特に、ペッパーアダムスの豪快なソロが際立っている。1曲目の"In A Mellowtone"で最初からアダムスが軽快にアダムス節で飛ばすのがアルバム全体のカラーを決めている。2曲目以降は各メンバーの持ち寄りとアレンジで・・。
メルルイスのファーストアルバムは、ケントンの仲間を誘って地元のメンバーを迎えて行った和気藹々とした「ご当地」セッションとなった。

1. In A Mellowtone            Ellington 8:30
2. Leave Your Worries Behind       Neihaus 4:15
3. Winter Tale              Adams  8:40
4. Sie Richard Face            Perkins 3:00
5. One For Pat              Niehaus 3:35
6. ‘Enry ‘igging              Coker  8:30
7. El Ceretito               Marabuto 6:12

Mel Lewis (ds)
Richard Kamuca (ts)
Jerry Coker (ts)
Pepper Adams (bs)
Ed Leddy (tp)
Johnny Marabuto (p)
Dean Reilly (b)

Recorded at Sands Ballroom in Orkland on November 19,20, 1956




GOT'CHA
Mel Lewis
FRESH SOUND

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