A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

モントルーでのクラークテリーのビッグバンドは国際色豊かに・・・・

2012-04-14 | MY FAVORITE ALBUM
Clark Terry at the Montreux Jazz Festival with the International Festival Big Bnad

クラークテリーのビッグバンド ”Big Bad Band” のライブアルバムが自費出版ながらヘレンキーンのお陰でやっと陽の目を見ることができたのには伏線があった。

ビルエバンスのライブが大成功で終わった’68年のモントルージャズフェスティバルであったが、フェスティバル自体も2年目を無事乗りきって実行委員長を務めていたジャズ評論家のジーン・リースを始めてとして関係者は自信を深めていた。
フェスティバルにはアメリカからのゲストプレーヤーもいたが、ヨーロッパ各地から多くのミュージシャンが集りその腕前を存分に発揮していた。中でも副委員長であった、バークレー音楽院の管理職であったロバートシェアは、若いヨーロッパのミュージシャンの実力に感銘を受け、彼らのオーケストラを是非編成しようということになった。
このようなオーケストラはリーダーが大事だが、それにはアメリカのトップミュージシャンを当てることにした。ヨーロッパではクインシージョーンズが有名だったが独自の路線を歩み始めていたし、サドージョーンズはまだオーケストラを編成した直後でこの頃はまだ自分のオーケストラで精一杯であった。その中で、選ばれたのがクラークテリーであった。ビッグバンド暦は、エリントン、ベイシー、そしてクインシーと渡り歩いて経験十分。そして何より適任であったのが、優れたミュージシャンであるだけでなく、アメリカ中で学生バンドのクリニックをしている教育者でもあったことで、満場一致でテリーが選ばれた。

翌1969年の夏、フェスティバルが近づくにつれて、否が応でも興奮と期待が高まってきた。ポリドールでアルバムが作られることになり、そのプロデュースをヘレンキーンが行うことになった。これが、ヘレンキーンとクラークテリーのビッグバンドの出会いであった。
メンバーはテリーとアレンジを担当し自らテナーも吹く片腕のアーニーウィルキンス以外はすべてヨーロッパ在住者で固められた。ヨーロッパのミュージシャンの実力はかなりの水準であったが、ことリズム隊に関しては今ひとつ乗りが悪いという風潮があり心配の種であったそうだ。結局、言葉も異なる12カ国からの若いミュージシャンが集った混成部隊となり、事前のリハーサルも入念に行われた。3日間1日3時間の練習を経て、テリーの指導の下オーケストラとしては完成の域に達して無事本番を迎えることができた。

フェスティバルの最終日、このオーケストラが舞台に上った。心配されたリズムセクションだったが、アメリカ出身でヨーロッパに居を移したヴァイブのデイブパイク、コンガのスティーブボストンの2人以外は、ギターがイスラエル、ピアノがハンガリー、ドラムがフランス、ベースはロシアとデンマーク出身という国際色豊かなチーム編成になった。
テリーとウィルキンスの指導の甲斐あって、出だしのSwiss Airからよくスイングするオーケストラがスタートする。各セクションのアンサンブルだけでなく、若手メンバーのソロもたっぷり聴ける。もちろんテリーのソロも随所にちりばめられているが、トランペットにフリューゲルホーン、そしてポケットトランペットからマウスピース、得意のボーカルまで駆使してプレヤーとしてのテリーも大乗だ。また、ライブはトラブルが憑き物。スターダストの演奏中、会場の地下の電源が落ちてメインの録音機材がストップしてしまったことが唯一の目算違いであった。

このオーケストラの成功を実感して、テリーはアメリカに帰ってからヨーロッパであそこまでできるならアメリカでも出来ない訳が無いという気持ちになったのではないか。そして自分のオーケストラに懸ける情熱が沸々と沸き上がっていったのではないかと思う。

1. Swiss Air
2. All Too Soon
3. Mumbling In The Alps
4. Stardust
5. Broadway Joe
6. Levee Camp Blues

Clark Terry (tp.flh)
Ernie Wilkins (ts,arr.)
Rudolf Tomsits (tp)
Richard Pousselet (tp)
Franja Jenc (tp)
Hans Kennel (tp)
Zdenek Pulec (tb)
Frode Thingners (tb)
Raymond Droz (tb)
Xxxxxx?(tb)
Eric Anderson (as)
Xxxxx?(ts)
Xxxxx?(as)
Xxxxx?(bs)
George Vucan (p)
Dave Pike (vib)
Louis Stewwart (g)
Franco Manzecchi (ds)


Produced by Helen Keane
Engineer : Pierre Grandjean of Technical Department Radio Suisse Romande
Recorded June 22,1969, at the Casino De Montreux,Switzerland

コメント
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