山形弦楽四重奏団 ブログ

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山形Q 練習日誌59-vol.7(今井記)

2016-03-15 23:37:25 | 練習日誌
 幼い頃からの親友が、大学生の頃「香道部」なる部活に所属していました。お香の香りを聞いて(香道においては「嗅ぐ」という表現はしないそうです)、それが何かあてるという風雅な遊び(らしい)ですが、その部活にも夏の合宿というものあり、一日中(?)色々なお香を聞きまくるのだと話をしていました。そんなことをしていて、だんだん何がなんだかわからなくならないものかと思ってしまうのですが、彼女曰く、ある時点に達すると、スッとそれぞれの香りが分かるようになるのだとか。やったことの無い身としては、「ふーん。。。???」としか思えませんでしたが、今日、ふとそんな昔の話を思い出してしまいました。


 山形Qの「ベートーヴェン祭り」も佳境を迎えています。とりあえず4月の定期以外の本番で演奏する曲を作品番号の若い順につめていきました。それぞれに問題は抱えながらも、個人的には、流れの捕まえ方などは、以前弾いたときとより進歩しているように感じます。まあ、以前が何もわかっていなかったという説もありますが。。。。

 ひたすらにベートーヴェンに向き合って見えてくるものというのが、確かにあるようです。特にベートーヴェンのクァルテットは、若い頃と晩年では、まるで性質が違います。なんとなく一般には、年をとってからの方が、色々そぎ落とされてシンプルになっていきそうなイメージがありますが、ベートーヴェンは違います。むしろ濃くなっていっているのです。死期が迫ってなお、わき上がるスケッチを磨いていく、その執念が、作品の中にはっきり現れています。
 
 ベートーヴェンのクァルテットは、全ての弦楽四重奏団にとって聖書のようなもの。そう言いながら、その全ての作品を奏でる機会というのは滅多にありません。今、メンバーに恵まれ、こうしてベートーヴェンに浸かることができるのは、実に得難い僥倖というべきでしょう。この幸運を生かすべく、真摯に音楽に向かい合って行きたいと思います。
 
 ちなみに、香道の「聞く」という言葉は、「本質を深く味わって識別する」という意味で使うのだそうです。「きき酒」と同じですね。私もまずは、ベートーヴェンをしっかり聞けるようにならなければ!

~チラシを貼らせていただいたり、置かせてもらう活動しています。~
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