おぼろ昆布は江戸時代に、北海道・秋田・敦賀・大阪の職人たちの知恵と技術でできました。
北海道=函館周辺の海にあった海藻(ヒロメ)を昆布として、乾燥させて北前船で日本海経由の昆布ロードを確立しました。
秋田=おぼろ昆布を効率よく削る方法(よく研いだ刃先を少し曲げて削る方法でアキタと呼ばれています。)を考案した。
敦賀=北前船で運ばれた昆布をいろいろな製品に加工した。
大阪=大坂の商人が薩摩藩・琉球・清への昆布ロードを確立した。
大坂人が昆布だし(雌だし)と鰹だし(雄だし)の組み合わせの一番出しを発明した。
堺の煙草切り包丁を工夫した特有のおぼろ昆布包丁を開発しました。
おぼろ昆布は江戸時代から現在まで製法も道具もほとんど変わりません。
使う昆布も函館周辺で採れる真昆布を使用していますが、唯一違うところは天然昆布が現在は栽培昆布を使用しています。
栽培昆布とは天然昆布を海から採ってきて、陸上の採苗施設で管理して胞子を細いロープに植え付け、子昆布に成長した段階で太いロープに挟み込んで元の海で育てた昆布です。
海上では全く肥料や薬品を利用していませんが、天然昆布は海底で成長するのに対して栽培昆布は海面近くのロープで成長します。
鯛やヒラメの養殖技術とは、基本的に違うので商品に養殖と表示する義務はありません。
おぼろ昆布には3種類あり、さらえおぼろ昆布・むきこみおぼろ昆布そして最高級品の太白おぼろ昆布があります。
おぼろ昆布の作り方:乾燥した真昆布を醸造酢に浸す。
夏場・冬場によって漬け込む時間が変わります。
このタイミングも大切な技術のうちです。
浸して2~3日寝かしておいた昆布を簡単に整形してから、アキタを引いたおぼろ包丁を使い職人が一枚一枚両面より削っていきます。
削り終わった昆布の真っ白な芯の部分(霜地)を、適当な大きさに切り分けてバッテラ寿司や棒すしに使います。
それを白板昆布と言いますが、役目としては寿司の味付け・防腐効果に乾燥予防効果があります。
さらえおぼろ:昆布の表面の部分だけを削ったおぼろ昆布で、別名アカトリともいわれており大衆用の昆布うどん・そばに使われます。
むきこみおぼろ:さらえおぼろを取った後の昆布を削り、白黒交じりのおぼろ昆布で高級湯豆腐や上等のお吸い物・うどん・そばなどに用いられます。
太白おぼろ:むきこみおぼろを取った後の昆布で、真っ白なおぼろ昆布ですがほんの僅かしかしかできない希少おぼろ昆布で、超高級店のみで使われています。