初の日本シリーズ観戦に、初の札幌ドームまでの旅程?に戸惑う。
午後4時少し前、地下鉄福住駅降車後に混雑するイトーヨーカドーで弁当を買う。
ぞろぞろとデモ行進の流れにまぎれ込んだような感覚で進み、夕日に輝く札幌ドームに到着し、お祭り気分になる。
途中でダフ屋と思われる幾人もの男が堂々と「アマッタチケットカウヨ」と声をかけているが、明らかに中国語なまりの日本語も聞こえる。
流れに逆らわずしばらく並んで進み入場口にたどり着くが、ペットボトル持ち込み禁止を知らず、紙コップにお茶を移して、30×42cm程の表裏が赤と汚いオレンジ色のカードを受け取る。(あー、これが会場を赤色に埋め尽くす仕掛けなのか)
上から見下ろす位置からの眺めは、人工芝の均一な緑で美しい。
練習には新庄選手が出てこないで、赤いタオルのシートにどっしりと腰を下ろしたままだ。
白球が飛んでもよく見えないが、選手の動きが全部見えるのがTVと違うところで、TVは見せられている感じが強いのに比して、生では自分の見たいところが見られてうれしい。
10年近く前にヤンキーズスタジアムで、アメリカ的なファンの熱狂的な応援にまぎれて観光気分の観戦以来の生の観戦に、少し興奮してきた。
試合経過はTVや新聞で報じられているとうり、ヒヤヒヤ・ハラハラもので逃げ切った日ハムはラッキーだった。いや、ラッキーにした鮮やかな好プレーに賞賛だ。
殆どが例の赤札を掲げる日ハム応援群が、好機に湧く歓声や失意の叫び声とスタンディングオベーションで、すさまじいパワーが絶えず爆発する。
特に稲葉選手出場時には、テーマソングのパフォーマンで飛び跳ねる度に会場が揺れる様を実感して驚くが、他の選手も様々な応援タイプがあり楽しい。
日ハム攻撃前に赤札を掲げて応援する度に、ひとときでも本物の日ハム応援団の一員になりきっていることを実体験できた。
道民は読売ギャイアンツファンが多いとの認識を覆す光景は、まさに驚愕の思いだ。これらのエネルギーは何だろうか。
半袖で熱狂的に立ち上がって応援する隣のおばちゃんや、周りの声援を送り続ける若い女性群や、勤め帰りのサラリーマンを確認して、これらが日ハムを優勝に導く大きな支えなのだと、うなずける。
この渦中に俄には入り込めないでいる「にわかファン」の己が成す最大の応援は素手の拍手がせいいっぱいだった。
4万以上の観戦者の中では少数の中日応援団はさすが気合い満ちた精鋭だけあって、終始猛烈な応援ぶりは、男性の力強い声と10数本のトランペットが見事にシンクロして、日ハムの応援と互角かそれ以上だった。敵ながらアッパレだ。
印象に残った一つは、金村投手が登板時に各方面に幾度も深々と頭を下げる光景にはいたいたしさもあり感動のシーンだった。
入場者に愛想を振りまき楽しんでプレーする新庄選手の格好よさは、TVで見るより格好よく感ずるのは、阪神タイガース時代から注目していたプレーヤーだったことや、これが見納めなのかとの感情が優先しているためでもあると思った。
一番の印象は、ある種の「平和の形」を見たことだった。
世の中の様々な邪も悪も忘れて、只々野球にのめり込む姿は日本社会の野球産業が及ぼす象徴的な平和の姿とも見えた。
翌日の今日午前1時近くに帰宅したが、勝戦の余韻に浸るより、なんとも言いようの無い疲れが先になり寝込んでしまった。
にわかファンでも道民として、今日が4勝目の決戦になることを願ってTVに向かって応援しよう。
がんばれ!北海道日本ハムファイターズ!!
また、来シーズンも札幌で日本シリーズを見せてくれー。