秋野に鹿図鍔 平安城
秋野に鹿図鍔 平安城
透し鐔の魅力は鉄の素材にあり、素材の美しさを明瞭に示すために図柄がある。実用の時代の鐔は、刀の柄に装着して拳の保護と刀身全体のバランスを調整するための道具であるのだが、時にこのような風雅な装飾を施すことがある。曲線を組み合わせた透かし表現という簡略化された描法であり、図柄が風景であるが故に個性的な空間となった。
萱であろうか下草を鐔全面に配し、それに比較すれば鹿は小さめ。陰影の表現であり、遠近や事物の大きさから考えると写実性は無視した心象的文様表現。この軽やかな下草と動きのある鹿の取り合わせに、妙なる華が感じられる。名品である。このような作品の存在を確認すると、琳派の芸術家は、多くの古典的作品に倣っていることが理解できる。既に室町時代に、このような空間を構成した作例があることは、充分に理解しておかねばならない。
秋野に鹿図鍔 平安城
透し鐔の魅力は鉄の素材にあり、素材の美しさを明瞭に示すために図柄がある。実用の時代の鐔は、刀の柄に装着して拳の保護と刀身全体のバランスを調整するための道具であるのだが、時にこのような風雅な装飾を施すことがある。曲線を組み合わせた透かし表現という簡略化された描法であり、図柄が風景であるが故に個性的な空間となった。
萱であろうか下草を鐔全面に配し、それに比較すれば鹿は小さめ。陰影の表現であり、遠近や事物の大きさから考えると写実性は無視した心象的文様表現。この軽やかな下草と動きのある鹿の取り合わせに、妙なる華が感じられる。名品である。このような作品の存在を確認すると、琳派の芸術家は、多くの古典的作品に倣っていることが理解できる。既に室町時代に、このような空間を構成した作例があることは、充分に理解しておかねばならない。