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一般質問『西脇市における認知症対策について』

2015-09-25 07:12:35 | 市議会活動
 通告書に基づき、『西脇市における認知症対策について』について5点、一般質問を行います。

1.西脇市の認知症患者の現状と問題点について問う
 まず、西脇市の認知症患者の現状と問題点についてです。
 近年、認知症に対する研究が大きく進み、認知症に対する理解が進む一方、認知症患者数の増加、認知症対策の問題が、全国的にも大きな社会問題とし
て新聞・雑誌の特集、テレビ・映画でもよく取り上げられるようになって来ました。
しかし、振り返ってみると、これまで「痴呆症」と呼ばれていた名称が「認知症」に変更されたのは2004年ですから、「認知症」として日本社会に認知されてまだ11年しかたっていません。2000年に介護保険制度が導入された際にも、認知症に対する介護保険の重要性の評価が十分ではなかったことを考えれば、認知症対策は始まったばかりといえるかもしれません。
 ここ最近の研究により、認知症患者数の急激な増加、認知症患者・家族の抱える問題の深刻さが社会問題化されるようになりました。早急に認知症対策を行わなければならない重要な社会問題であることが、国政においても定着してきています。
 そこで、認知症対策は、現在においても、将来においても、西脇市の最重要課題の一つであるとの観点で質問します。 

 まず、西脇市における認知症患者の現状についてです。
 2012年(平成24)の認知症高齢者は、65歳以上の15%、462万人、予備軍と言われる軽度認知障害(MCI)は13%、400万人と言われています。両
者合わせると、28%になり、高齢者の4人に1人を超える人が認知症及び予備軍となります。このことは、高齢者支援に関わる人の4分の1以上は認知症
を支援するための理解が十分に必要になるということでもあります。

 2012年、厚生労働省は認知症施策推進5ヶ年計画(オレンジプラン)を策定しました。それから5年経過していないにもかかわらず、本年2015年1月、厚生労働省は、認知症対策の新たな国家戦略「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)をまとめました。
総合戦略では、認知症と糖尿病との関連をもとに推計しなおし、認知症の有病者数は、2025年には65歳以上人口の約20%、700万人前後になるであろうと想定しています。ここ数年、認知症の新しい推計値が出るたびに、認知症の有病率と患者数が大きく増える上方修正され続けています。
 また、新オレンジプランでは、認知症に対する考え方が大きく変わったように受け止めています。認知症は、年齢と共に有病率が上昇し長寿であれば、ほぼ全員がなる疾患だということです。早期に気づき、早期に対応することで進行を遅らせていくことが可能となります。認知症という状態であっても、助け合いながら生活する地域社会の一員であるとの認知症観の転換が必要だと述べています。
 兵庫県では、2014年2月、65歳以上人口140万4959人から推計すると、認知症高齢者は21万744人、軽度認知障害者は18万2645人、新規発症者患者は14000人~18000人と推計されています。
 西脇市内には、潜在的な方も含め認知症患者さんが何名程度おられると把握されていますか?正確に把握している患者数と潜在的におられると想定されている患者数をお答えください。

 市行政として正確に把握されている患者数だけでも、約1400人、軽度認知症の方を含めると、西脇市内では約3600名もの方がおられると推計されるとのことでした。本当に多い人数だといえます。また、潜在的な患者を含め、今後間違いなく増加していく認知症患者対策について、現在、西脇市はどのように取り組んでおられますか?また、今後どのように取り組みを強めていくおつもりですか?お尋ねします。

2.西脇市内の認知症患者の中で、若年性認知症患者(65歳未満)の現状と問題点について問う
 次に、高齢者の認知症患者以上に大きな問題として現在浮上してきている65歳未満の若年性認知症について、質問します。
 若年性認知症患者の推計数は、18歳~65歳人口の10万人に47.6人だそうです。2015年の兵庫県の人口に当てはめると、若年性認知症患者数は1581人となります。これを、県民局単位で推計すると、北播磨の人口15万9995人に対し、若年性認知症患者数は76人になります。
 西脇市において、認知症患者の中で、特に若年性認知症患者が何名程度おられ、どのような問題があると把握されていますか?

 西脇市在住の若年性認知症患者は、市行政が把握されている方で6名とのことですが、推計上約20名ですから、まだ把握されていない方もおられると考えられます。若年性ということは、65歳以下の働き盛りの年代であるため、認知症を発症すると、雇用や家事に直接影響します。また、若年性認知症であることを、多くの家族が隠したいと思われるようで、問題がより深刻になる事例が多いようです。ぜひ、民生委員さん等と連携を取り、若年性認知症を発症されている方の正確な把握をしていただきたいと思います。

 私は、先日、母親が若年性認知症を発症された西脇市内の若者から相談を受けました。その母親は、現在、61歳で、認知症を発症されたのは今から振り返ると、12~13年前ということですから、40歳代後半に発症されたことになります。当時、両親だけで生活し、子どもたちは結婚して外で暮らしていました。母親の様子がおかしいと話題になっていたのですが、父親が母親をカバーし、子どもたちも自分の生活が精いっぱいで実家のことをあまり考えていませんでした。  
 そして、父親が急死してから、母親の一人暮らしが始まって以降、その認知症の症状は大きく進行したそうです。やがて、長女夫婦が子どもを連れて実家に帰り生活することになりました。しかし、母親の症状はひどく、娘夫婦の手におえず、精神科を受診し、最終的に市外の精神科病院に入院されました。また、市税の滞納をはじめ、各種料金の未納も長期にわたっていることも分かりました。
市税の滞納に伴う延滞金について、皆さんは、ご存知でしょうか?ご存知のとおり、市税には、市民税や固定資産税、国民健康保険、軽自動車税があります。多くの方は年間10万円以上の市税を支払われていると思います。
 仮に、市税10万円を5年間滞納するといくらの延滞金がかかるかご存知ですか?私も今回初めて知ったのですが、10万円をこれまでの5年間滞納すれば、延滞金は66、700円です。10年間だと、139,700円になります。また、100万円を5年間滞納すれば、延滞金は667,600円、10年間だと1,397,800円になります。
 娘夫婦は自分たちの支払う税金とは別に、母親が滞納していた市税を支払わないといけません。私は、娘夫婦であっても両親の市税そのものは当然支払わないといけないと思いますが、滞納を知らなかった延滞金まで支払わないといけないのでしょうか?若年性認知症と分からず年数が過ぎた際、親の面倒を見る子どもにすべて責任をかけると、真面目であればあるほど自分たちの生活も、守れなくなります。そのため、親のことを放置したり、知らんぷりをしておく方が得のような気持ちにさせないでしょうか。
 若年性認知症の場合、どうしても発見が遅れます。また、両親と同居していればいいのですが、別居している場合がほとんどです。子どもたちは。自分の子どもの子育てや共働きで、十分に両親に思いを寄せにくいのがほとんどだと思います。若年性認知症に関する税金の問題点について、また、延滞金はどうにかならないのかという点について、総務部長の見解をおたずねします。

 市税の滞納について、特別な対応を取りにくいことは十分承知しています。ただ、若年性認知症患者という特殊性に鑑み、発症した年月にさかのぼり、きめ細やかな対応をぜひ検討していただきたいと要望しておきます。
 また、若年性認知症患者の場合、年金手続きも、知っているかどうかで、その後の生活設計や家族の負担が大きく変わる問題を含んでいます。65歳以降であれば、障害年金と国民年金の2本立てで年金が受給できますが、65歳までに基礎年金を受給しておくと障害年金が受給できない等の問題があります。まして、本人はもちろん若い家族では知識がありません。また、患者が若いからこそ、認知症患者であることを近所や親戚にさえ、隠しておきたいと家族は思われるようです。
 そこで、西脇市行政として、若年性認知症患者・家族の抱える悩み・苦労をどう把握しておられ、どのように具体的に対応されているかをお尋ねします。

3.若年性認知症対策の重要性について
 若年性認知症の患者本人・家族は、地域からの孤立、経済的問題等、大変な苦労を抱えている。若年性生認知症患者・家族の抱える悩み・苦労に応える対策を西脇市として具体的に、そして実効性のある取り組みを行うべきと考えるが、どうですか?

4.認知症の早期発見・早期治療の取り組みについて問う。
 大変な課題ですが、若年性認知症患者の方や家族の方に寄り添いながら、きめ細かい対応を担当部局として行っていただきたいと要望しておきます。担当部局の対応次第で、西脇市行政は頼りになる温かい行政であるかどうか評価もされます。
 次に、認知症患者に対する取り組みで最も大切なことは、早期に発見し、それぞれの患者さんに応じた治療をいち早くおこなっていくことだと言われて
います。
 そのためには、早期発見・早期治療できるためのシステム作りが必要です。具体的には、認知症ではないかと思われた家族の方がいち早く相談できる窓口があるかどうかだと思います。認知症相談窓口がどこにあるのか、気安く相談できるところであるのか、個人のプライバシーは守ってくれるところであるのか等も含めて、市民に周知されていることが重要です。そこで、西脇市の認知症相談窓口はどのようになっているかお尋ねします。
 
 今年度、認知症地域支援推進員の職員が福祉部内に2名配置されたと聞いて
います。ぜひ、その専門の職員を中心に、認知症の相談窓口を大きく開いて、西脇市における認知症患者の方を早期に発見し、それぞれの患者さんに応じた治療をいち早く行てもらえるよう、アドバイスをしてあげていただきたいと考えます。
認知症に対する治療方法や治療薬の開発も、ここ数年の間、急速に進んできています。1999年、アルツハイマー型痴呆症治療薬「アリセプト」が使用開始されました。2011年、新しいアルツハイマー型認知症治療薬の3薬が使用開始されました。2014年には、レビー小体型治療薬「アリセプト」が認可されました。どの治療薬が患者に合った薬であるか、認知症の専門医の存在が必要です。
 幸い、西脇病院は、昨年、認知症の権威である佐藤医師が赴任してこられました。そして、認知症拠点病院として『認知症疾患医療センター』の指定も兵庫県より受けました。西脇市の認知症患者さんにとって、朗報だと思いますし、今後の西脇市の認知症対策にとって大きな財産を得たと考えます。
 そこで、お尋ねします。現在、西脇病院が認知症拠点病院として行っている取り組みはどのような内容でしょうか?

 今後増大するであろう認知症患者に対して、西脇病院の果たす役割が今以上に大きくなると予想されますし、大きな役割を果たしていただきたいと期待しています。そこで、地元医師会のかかりつけ医との連携や介護施設の連携、認知症キャラバンメイト等の研修等も必要になってくると思います。今後、どのような計画を西脇病院として持たれているのか、お尋ねします。

5.認知症患者や家族を支える地域づくりについて問う。
 次に、新オレンジプランで述べられているように、認知症は、特別な疾患ではなく、ほぼ全員がなる状態であることを地域の人全員が理解することが大切です。その理解の上で、認知症という状態であっても助け合いながら生活する地域の大切な一員であるとの、地域づくりが必要になってくると考えています。
 そのため、西脇市内の89自治会すべて公民館において、分かりやすい認知症サポーター養成講座を行う必要があること、また、各種団体や学校教育においてもぜひ取り上げていただきたいと考えています。
昨年6月議会でも、認知症サポーター養成講座の開催について質問し、当時の田中部長から前向きな答弁をもらいました。一年余りが過ぎた現在、認知症サポーター養成講座を含め、どのような取り組みをされているのか、お聞きします。
認知症サポーター養成講座受講生が、延べ4100人余りに増え、各自治会でも222名の方が受講したとのことでした。担当課として、よく頑張っておられると評価できます。
 私は、各自治会単位のきめ細かな講座や市の取り組みの説明会を行うべきだと考えています。担当課としては大変だと思いますが、地区単位ではなく自治会の公民館単位だと集まりやすく、地域で支える介護体制の構築ができると思います。
当然職員だけでなく、キャラバンメイトの市民の皆さんや介護施設の職員の方々の協力も得て、今後もぜひ頑張っていただきたいのです。また、市民を巻き込んだ創意工夫した取り組みを行うことが、市民の皆さんの中により理解が広がっていくと思いますので、市民を巻き込む工夫を考えていただきたいと思います。
 次に、一昨年、市内の楠丘小学校において、認知症サポーター養成講座の取り組みをされているとの新聞報道を読み、大変心強く感じたことを覚えています。現在、楠丘小学校、桜丘小学校、西脇小学校で行われていると聞きます。市内の小学校、中学校において、認知症に対する学習、取り組みは、現在、自主的に行われていると思いますが、具体的にどのようなことをされているか、教育部長、お答えください。

 認知症は、特別な疾患ではなく、認知症という状態であっても助け合いながら生活する地域の大切な一員であるとの地域づくりを進めていく上で、学校教育においても人権教育の重要な課題の一つだと考えます。ぜひ、認知症についての正しい理解をまず、先生方にしていただくように研修を行うこと、さらに、市内の小学校において、発達段階に合った学年で、認知症サポーター養成講座を持っていただきたいこと、中学校においては福祉教育の一環として取り組んでいただきたいと考えますが、教育委員会としていかがお考えでしょうか?

6.まとめ
 認知症は、特別な疾患ではなく、高齢になればほぼ全員がなる状態であることを地域の人全員で理解することが大切です。その理解の上で、認知症という状態であっても助け合いながら生活する地域の大切な一員であるとの意識、考え方を根付かせることが大切になってきています。そして、認知症患者や家族を支える地域づくりが大変重要です。
 西脇市において、子ども達から高齢者まで、認知症に対する正しい理解を広げ、認知症患者や家族を支える地域づくりが大きく進むことを期待して、また私もキャラバンメイトの一員として自分のできることをしっかりとやることをお誓いして、私の一般質問を終わります。
コメント (2)
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