人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

バッハの音楽が流れる「ザ・スクエア 思いやりの聖域」、音楽が一切流れない「ハッピー・エンド」を観る~早稲田松竹

2018年09月20日 08時04分01秒 | 日記

20日(木)。わが家に来てから今日で1449日目を迎え、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は19日、平壌で前日に続いて首脳会談を行い、米国の対応次第で 北朝鮮が寧辺核施設の廃棄などの追加措置を取ることなどを盛り込んだ「9月平壌共同宣言文書」に署名し、金正恩氏が年内にソウルを訪れることでも合意した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     北朝鮮は核施設を放棄するより 金正恩体制を放棄する方が すべてがうまくいくよ

 

         

 

昨日、夕食に「鶏肉とじゃがいものトマトしょうゆ煮」「ニラ玉」「冷奴」「野菜スープ」を作りました 「鶏肉~」は近藤幸子先生のレシピです。超簡単スピード料理ですが、美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で「ザ・スクエア  思いやりの聖域」と「ハッピー・エンド」の2本立てを観ました

「ザ・スクエア  思いやりの聖域」はリューベン・オストルンド監督・脚本・編集による2017年スウェーデン・ドイツ・フランス・デンマーク映画(151分)です

権威ある現代美術館のキュレーターであるクリスティアン(クレス・バング)は洗練されたファッションで身を包み、バツイチだが2人の愛すべき娘を持ち、その人生は順風満帆のように見えた 彼は新たな企画として「ザ・スクエア」という地面に正方形を描いたアート作品を展示すると発表する 四角の中は人々に「思いやりの心」を思い出してもらうための聖域であり、社会をより良くする狙いがあった しかし、ある日、ケータイと財布を盗まれたことに対して取った彼の行動は、同僚や友人、子どもたちを裏切るものだった

 

     

 

リューベン・オストルンド監督で思い出すのは前作「フレンチアルプスで起きたこと」です 目の前に迫りくる危機に人間はどういう態度を取るかで人間性が現われるというテーマが描かれていました。雪崩のシーンでヴィヴァルディ「四季」の「夏」の第3楽章「プレスト」(夏の嵐)が使われていたので強く印象に残りました

この映画も自分に降りかかったアクシデントにどう対処するかで人間性が現われるということがテーマになっています 盗まれたケータイにはGPS機能がついており、それを追跡することで”犯人”の住むマンションが特定されます。部下のアイディアによって、「ケータイと財布を返さないとひどい目に合わせるぞ。24時間以内に〇〇のコンビニに届けろ」という脅迫文を作り、そのマンションの全てのドア・ポストに投函したのです それが引き金となって、そこに住む少年が親から泥棒呼ばわれされてしまいます さらに、「ザ・スクエア」を広く世の中に認めさせるために広告会社が作りYouTubeにアップした動画が、物乞いする少女を最後に爆破してしまう過激なものだったことから非難が起こり、責任者であるクリスティアンは辞任せざるを得なくなります。それはそうでしょう。少女を爆破するなんてあり得ないです 「表現の自由」を大きく逸脱しています

危機管理を誤ると取り返しがつかなくなるという教訓です

この映画では、バッハ/グノー「アヴェ・マリア」がテーマ音楽のように使われていました この曲は1859年にシャルル・グノーがヨハン・セバスチャン・バッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻」の「前奏曲第1番ハ長調」を伴奏に、ラテン語の聖句「アヴェ・マリア」を歌詞に用いて完成させたものです 映画では、男声のスキャットにのせてヴァイオリンがメロディーを弾いたり、チェンバロで平均律部分のみが演奏されたりします また、別のシーンでは同じバッハの「管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068」の第2曲「アリア」(いわゆるG線上のアリア)が流れていました   この監督、次作ではどんな音楽を使うのでしょうか、興味があります

 

         

 

「ハッピーエンド」はミヒャエル・ハネケ監督による2017年フランス・ドイツ・オーストリア映画(107分)です

ロラン一家は建設会社を経営し、フランス北部の街カレーで豪華な邸宅に3世代で暮らしている 家長のジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は高齢のためすでに引退し、娘のアンヌ(イザベル・ユペール)が家業を継いでいる アンヌの弟で医者のトマ(マチュー・カソビッツ)には、別れた前妻との子で13歳になる娘エヴ(ファンティーヌ・アルドゥアン)がいた。両親の離婚のため離れて暮らしていたエヴは、ある事件をきっかけにトマと一緒に暮らすためカレーの屋敷に呼び寄せられる ジョルジュは自殺未遂を起こし、トマは新しい恋人と異常性愛のメールのやり取りをし、アンヌは息子のピエール(フランツ・ロゴフスキ)に仕事を継がせたいがピエールはやる気も能力もない、といった具合に各々が秘密や悩みを抱えながら 互いに無関心を装っている そんな中、85歳のジョルジュは13歳のエヴに過去の秘密を打ち明ける。それを聞いたエヴは彼に心を開き、自分が前に居た学校で他の生徒にした罪を告白する

 

     

 

ミヒャエル・ハネケ監督は2012年に「愛、アムール」という映画を撮っており、その時と同様、ジャン=ルイ・トランティニャンとイザベル・ユペールが父・娘を演じています

どんなに豪華な邸宅に住んで豊かな生活をしていようが、お互いのコミュニケーションが取れていない家族は実質的に崩壊している、ということを訴えている映画だと思います お互いが家族の中で孤独を感じる中、一番最高齢のジョルジュと最年少のエヴだけが、お互いの過去の罪を告白したことによって、心が通じ合うようになったと言えます

映画の冒頭は スマホで動画を撮っているように被写体が映し出されますが(上のチラシの写真のように)、ラストでもエヴがスマホで 車椅子で海に向かうジョルジュの後姿を撮影する映像で終わります この映画の原題は「HAPPY  END」ですが、あのままジョルジュが沖に向かって行ったら、この映画のタイトルは「UNHAPPY  END」になっていたのだろうか?  それとも、あのラストはあくまでもアンヌやトマにとっての「HAPPY  END」で、ジョルジュにとっては「UNHAPPY  END」だったのではないのか と疑問を抱いてしまいました

この映画のエンドロールは独特です。いっさいBGMが流れません と、ここまで書いて 思い出したのですが、記憶に間違いがなければ、この映画は全編を通して音楽は一切流れません 会話と映像だけで成り立っています。その点 終始 音と音楽に溢れていた「ザ・スクエア」とまったく異なるところです 大音響で驚かす作品がはびこる現代の映画界の中で、ひとつの映画の在り方を示している作品だと思います

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湊かなえ著「ポイズンドーター・ホーリーマザー」を読む~同じ出来事を母子それぞれの視点から描いた物語 / 立川志の輔師匠と思いきや中山七里氏でした!

2018年09月19日 07時45分20秒 | 日記

19日(水)。昨日は天気も良かったので、懸案の窓ガラス・網戸清掃をしました 台風の影響もあって窓ガラスと網戸が相当汚れており、窓を開けっぱなしで室内干ししておいたシャツが網戸に触れて汚れてしまい、洗濯し直すしか洗濯の余地がなくなったからです 大きなガラス戸7枚、小さなガラス戸3枚と網戸8枚をジェット水流で汚れを落とし、ガラスクリーナーを吹き付けて古タオルで拭きました。水道とホースのつなぎ目のアダプターが合わないのでいつも苦労しますが、今回はビニールテープでぐるぐる巻きにして何とか切り抜けました 清掃後のガラス戸はピカピカで気持ちの良いものです 久しぶりの肉体労働の後のシャワーの後のサイダーが美味かった

ということで、わが家に来てから今日で1448日目を迎え、韓国の文在寅大統領が18日 北朝鮮を訪れ、金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談に臨んだ というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     非核化を求められている北朝鮮の懸案は 韓国かアメリカかの交渉相手の比較か?

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラ肉のエリンギ炒め」「野菜とベーコンのスープ」「冷奴」を作りました スープに入っている野菜はキャベツ、玉ねぎ、長ネギ、シイタケ、トマト、ニンジンです。冷奴には山芋、オクラ、大葉、削り節が載せてあります

 

     

 

         

 

朝日新聞に月2回折り込まれる無料情報紙「定年時代」最新号の第1面に落語家の立川志の輔師匠がにこやかに本を持って・・・・と思ったら、なんと作家・中山七里氏でした それにしても笑顔がそっくりです

中山氏は彼独特の小説の書き方や最新作「連続殺人鬼カエル男ふたたび」の話題を中心にインタビューに答えています 内容は先日当ブログでご紹介した「中山七里 七転八倒」に書かれていることが中心なので、書かれていないことをご紹介します

中山氏は、「さよならドビュッシー」出版後、読者から寄せられたはがき84枚を「一番の宝物」とし、「僕が頂いてきた”読書の愉悦”は、今の自分の『魂の財産』になっている 僕の小説で”読書の愉悦”を得てくださる人がいれば、恩返しできた気持ちになれます」と語っています。「連続殺人鬼カエル男ふたたび」については、「今度も、どんでん返しの”多重仕掛け”です。前作と新作の一気読みをさせたい。眠らせない せりふと地の文の割合、句読点や『?』『!』などの場所、数にも気を使う。僕は”小説の職人”ですからね」と結んでいます

「連続殺人鬼カエル男」は読んだので「連続殺人鬼カエル男ふたたび」が読みたいです 1日も早く文庫化してください、お願いします、お代官さま 宝島社さま

 

         

 

湊かなえ著「ポイズンドーター・ホーリーマザー」(光文社文庫)を読み終わりました 湊かなえは1973年広島県生まれ。2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞、08年に受賞作を含む連作長編「告白」でデビューし、同作で09年に第6回本屋大賞を受賞しました。その後も数々の文学賞を受賞しています

 

     

 

本書は「マイディアレスト」「ベストフレンド」「罪深き女」「優しい人」「ポイズンドーター」「ホーリーマザー」の6作からなる短編集ですが、主人公は全員女性であることが共通しています

「マイディアレスト」は、長女として母親から厳しく育てられた淑子の、甘く育てられた妹・有紗に対する妬みがテーマとなる「イヤミス」で、読み終わったあとぞわぞわした感触が残る作品です

「ベストフレンド」はテレビ脚本新人賞に入賞した3人の男女の駆け引きの物語ですが、これも嫉妬がテーマになっています。結末は意外でした

考えさせられたのは最後の2作品、「ポイズンドーター」と「ホーリーマザー」です 「ポイズンドーター」で娘の弓香から”毒親”と告発された母親の佳香は、「ホーリーマザー」では聖母のような人格者として語られています また、”可哀そうな毒親被害者”を自覚する娘の弓香は、「ホーリーマザー」では”毒娘”と糾弾されています つまり、この2作品は同じ出来事を母子それぞれの視点から描いたもので、物事は解釈のしようによって白にもなるし黒にもなるということを表しています 読者は、娘の立場になって読むべきなのか、母親の立場になって読むべきなのか、大いに悩むはずです。しかし、こうしたことは、われわれの日常生活の中で常に起こっていることではないか、と思います そうしたことを小説にして読者に問題提起するのが 湊かなえの真骨頂です

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「サントリーホールのオルガンカフェ#5」を聴く~バッハ「プレリュードとフーガBWV545」、ピアソラ「バンドネオン協奏曲」から第3楽章ほか~オルガン=近藤岳、バンドネオン=三浦一馬、打楽器=加藤恭子

2018年09月18日 07時26分00秒 | 日記

18日(火)。わが家に来てから今日で1447日目を迎え、「さんまは目黒に限る」のオチで知られる古典落語に因んだ「目黒さんま祭り」が16日、目黒区の田道広場公園であり、宮城県気仙沼市で水揚げされた5千匹が炭火で焼かれ、無料で振る舞われた というニュースを見て掛詞遊びをするモコタロです

 

     

       サンマ焼きと掛けてシュノーケリングと解く その心は?  ゴーグルが手放せません

     

         

 

昨日、夕食に「野菜と挽肉のドライカレー」を作りました 材料は挽肉、ナス、トマト、ピーマン、玉ねぎです。とても美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、サントリーホールで「サントリーホールのオルガンカフェ#5」を聴きました プログラムは①J.S.バッハ「プレリュードとフーガ  ハ長調BWV545」、②三浦一馬「ピアソラの主題によるバンドネオン・ソロ・メドレー」、③作曲者不詳「ラ・ミ・レの上で」、④J.S.バッハ「パストレッラBWV590」より第3楽章、⑤同「シュープラー・コラール集」より「目覚めよと呼ぶ声あり」BWV645、⑥同「パッサカリア」BWV582、⑦ピアソラ「現実との3分間」、⑧同「コルドバへのオマージュ」、⑨同「バンドネオン協奏曲”アコンカグア”」より第3楽章、⑩メシアン「キリストの昇天」より第2曲「天国を請い願う魂のアレルヤ」、第3曲「キリストの栄光を自らのものとした歓喜の高まり」です 出演は、オルガン=近藤岳、バンドネオン=三浦一馬、打楽器=加藤恭子、ナビゲーター=川平慈英です

7月、8月はほとんどミューザ川崎ばかリに通っていたので、サントリーホールで聴くのは7月14日の東京交響楽団の定期演奏会以来ほぼ2か月ぶりです この「オルガン・カフェ」は指定席が2000円ですが、先行発売購入者にはソフトドリンク券(コーヒー@400円相当)が付いてくるので実質1600円です。ホール主催公演はこういうところがいいですね

と ここまでは良いのですが、遅刻しました 午後1時半”開演”を”開場”と勘違いして、30分前に着いたつもりがすでに始まっていたというオソマツです 昼間のコンサートは午後2時か3時開演というのがほとんどで、午後1時半開演というのは滅多にありません。それが勘違いの一因になっているとも思います 結局 ロビーで待たされ、1曲目のバッハが終わったところで会場内に入れてもらい、取りあえず最後列の席に座り、2曲目のバンドネオンを聴いた後、川平氏のMCの間に自席(1階11列15番:左ブロック右通路側)に移動しました こういうことがあるたびに反省して次からは絶対にやるまいと決心するのに性懲りもなくまたやってしまいます おれは馬鹿かと思いますが馬鹿なんでしょうきっとそうです間違いありません本人が言うんですから

 

     

 

オルガンの近藤岳は東京藝大作曲家卒、同大学院修士課程(オルガン)修了。バンドネオンの三浦一馬は1990年生まれ、2008年10月イタリアで開かれた第33回ピアソラ・コンクールで日本人初、史上最年少で準優勝を果たしています

1曲目のJ.S.バッハ「プレリュードとフーガ  ハ長調BWV545」は実質的に聴けなかったので割愛します

2曲目の三浦一馬「ピアソラの主題によるバンドネオン・ソロ・メドレー」は、”アルゼンチン・タンゴの革命児”と呼ばれたアストル・ピアソラ(1921‐92)の音楽を三浦氏の恩師ネストル・マルコーニがメドレー化した作品です 三浦氏のテクニックは素晴らしい

ここでナビゲーターの川平慈英氏が登場、近藤氏と三浦氏にインタビューします 近藤氏にパイプオルガンの仕組みについて説明を求めます。それによると、パイプオルガンは空気をパイプに送り込んで音を出す楽器で、サントリーホールのオルガンはストップ数が74、パイプが5898本あるとのことです 次に三浦氏にバンドネオンの仕組みについて説明を求めます。それによると、19世紀の中頃にドイツで「持ち運びの出来るパイプオルガン」として開発された楽器で、最高音から最低音までポジティブ・オルガンと同じ音域を持っているとのことです 海外に行く際、空港で手荷物検査のときにいつも警戒され、バンドネオンについて説明するのが難しく面倒なのでアコーデオンだと言うとすんなり通してくれるという話でした。楽器一つの渡世人は苦労しますね もっと驚いたのは、ボタンが左右で合計71個もある上に、アコーデオンやピアノと違い、ドの隣がレ、レの隣がミではなく、トンデモナイ所に散らばっているということです

その後、近藤氏がポジティブ・オルガン(小型のパイプオルガン)で作曲者不詳の「ラ・ミ・レの上で」とJ.S.バッハ「パストレッラBWV590」より第3楽章を演奏し、本体のパイプオルガンのリモート(移動式演奏台)で「シュープラー・コラール集」より「目覚めよと呼ぶ声あり」BWV645を演奏しました 知っている曲が演奏されると何故か安心します

次いでバッハ「パッサカリア  ハ短調」BWV582の演奏に入ります。「パッサカリア」は低音部の旋律を主題とした変奏曲です 最初に低音部が足でペダルを踏んで演奏され、20の変奏が続きます その後、フーガが演奏され音の大伽藍が築き上げられます プログラム前半の最後を飾るに相応しいスケールの大きな見事な演奏でした


     


近藤、三浦両氏に加え打楽器の加藤恭子さんがスタンバイしたので、さっそくプログラム後半の第1曲目に入るのか、と思いきや、ナビゲーターの川平氏が登場し「さあ、皆さん カビラ・タイムです これがあるから辞められないのです」と言って、何故かフランク・シナトラの曲(私は知らない)を、ステップを踏みながら気持ちよさそうに歌いました まあ、いいや

後半の1曲目はピアソラ「現実との3分間」です この曲はモダン・バレエのために書かれた作品で、元々「ピアノと弦楽のためのトッカータ」として作られました 三浦氏の説明によると ちょうど3分で終わるように書かれた曲だそうです。弦楽の代わりにオルガンで演奏するので難しそうです   打楽器の加藤さんが舞台裏で計ったら3分7秒かかったそうです。細かいヒト

次のピアソラ「コルドバへのオマージュ」はアルゼンチンの街の名前をタイトルにした作品です 前の「現実との3分間」とこの曲は映画音楽に使えそうだな、と思いました

そして、次はピアソラの名曲「バンドネオン協奏曲」より第3楽章です 全3楽章から成るこの曲は「アコンカグア」というニックネームが付けられていますが、これはアルゼンチンとチリにまたがる南米で最高峰の山の名前だそうです この曲を同じメンバー3人で演奏するのは8年ぶりとのことです。近藤氏のパイプオルガンと加藤さんの打楽器がオーケストラの役割を担い、三浦氏のバンドネオンがテクニックも鮮やかにソロを弾いていきます 時に強打されるティンパニが全体を引き締め、心地よく響きます 素晴らしいコラボレーションでした

最後に近藤氏のオルガン独奏で、オリヴィエ・メシアン「キリストの昇天」より第2曲「天国を請い願う魂のアレルヤ」、第3曲「キリストの栄光を自らのものとした歓喜の高まり」が演奏されましたが、神秘的な雰囲気の第2曲とエネルギーに満ちた第3曲との対比が鮮やかでした

アンコールは三浦氏も呼ばれ、バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」が穏やかに演奏され2時間15分のコンサートの幕を閉じました

遅刻さえしなければ最初から最後まで楽しめたのに俺は馬鹿かと思いますが馬鹿なんでしょうきっとそうです間違いありません本人が言うんですから

 

     

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「世界若手オペラ歌手 ガラコンサート」を聴く ~ ダグラス・ボストック ✕ 藝大フィルハーモニア ✕ 安藤赴美子、清水華澄、城宏憲、桝貴志、新国立劇場オペラ研修所第19期~21期研修生ほか

2018年09月17日 07時22分33秒 | 日記

17日(月・祝)。わが家に来てから今日で1446日目を迎え、5年前に全身がガンであることを公表しながらも多くの映画・ドラマで活躍してきた樹木希林(本名:内田啓子)さんが9月15日、都内の自宅で亡くなっていたことが分かった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「寺内貫太郎一家」で きん婆さん(悠木千帆)が叫んだ ジュリー が忘れられない

 

         

 

昨日午後5時から、新国立劇場オペラハウスで「世界若手オペラ歌手ガラコンサート」を聴きました これは新国立劇場がオペラ研修所20周年を記念して開催するもので、同研修所の第19期生~第21期生をはじめ、賛助出演としてロンドン、ミラノ、ミュンヘンからもオペラ・アカデミーの研修生が参加しました。そのほか、研修所OBの安藤赴美子、清水華澄、城宏憲、桝貴志も出演しました

 

     

 

自席は1階5列13番、センターブロック左から2つ目です。会場は後方の席が空いていますが、研修所中心の公演にしては良く入っている方だと思います

ロビーに入ると「指揮者変更について」の掲示があり、当初予定していた飯守泰次郎氏が健康上の理由で降板し、代わりにスイスのアールガウ交響楽団の首席指揮者 ダグラス・ボストック氏が指揮を務める とありました

配布されたプログラム冊子を見て初めて演奏曲目とそれを歌う歌手名を知りました    プログラムは第1部(10曲)、休憩(20分)、第2部(8曲)となっています

プログラムは第1部が①ワーグナー「タンホイザー」より合唱「この聖なる殿堂には」、②ヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」よりアリア「このほの暗い夜明けに」、③ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」よりアリア「わが祖先の墓よ~やがてこの世に別れを告げよう」、④ラフマニノフ「アレコ」よりカヴァティーナ「みんな寝ている」、⑤⑥プッチーニ「ラ・ボエーム」より「冷たき手を」「私の名はミミ」、⑦チレーア「アドリア―ナ・ルクヴルール」よりアリア「苦しみの快楽」、⑧ベッリーニ「ノルマ」より二重唱「ご覧ください、ノルマ様」、⑨ドヴォルザーク「ルサルカ」よりアリア「月に寄せる歌」、⑩プッチーニ「トスカ」よりアリアと合唱「テ・デウム」です

第2部は⑪ヘンデル「リナルド」よりアリア「風よ、竜巻よ」、⑫ビゼー「カルメン」より五重唱「一仕事思い付いたんだ」、⑬グノー「ファウスト」よりアリア「清らかな住家」、⑭ロッシーニ「チェネレントラ」よりアリアと合唱「悲しみと涙に生まれ育ち」、⑮ヴェルディ「ドン・カルロ」より二重唱と合唱「友情の二重唱」、⑯ウェーバー「魔弾の射手」よりアリア「すぐに眠れたものなのに」、⑰モーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」より六重唱「厚かましい娘ね」、⑱ヴェルディ「ファルスタッフ」よりフィナーレ「世の中すべて冗談だ」です

ステージの手前側(客席側)は、まるでウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートのように赤と白を中心とする華やかな花でデコレーションされています 舞台は神殿のような雰囲気を持たせてあり、太い柱が左右に立っているシンプルな作りになっています

合唱がステージ奥にスタンバイし、オケのメンバーが配置に着きます 弦の並びは、ヴァイオリン・セクションが左右に分かれる対向配置をとります コンマスはエピス・クァルテットの第1ヴァイオリン奏者・須山暢大です。向かい側の第2ヴァイオリンのトップはエピス・クァルテットの第2ヴァイオリンを務める村津瑠紀です あと都響の村田恵子(ヴィオラ)と伊藤文嗣(東響)が揃えばエピス・クァルテットが勢ぞろいです

出演者が多いので、特に印象に残った歌と歌手に絞って書くことにします どうしても個人的に好きなオペラが印象に残ります プログラム前半では、まず最初に⑤プッチーニ「ラ・ボエーム」のロドルフォのアリア「冷たき手を」を歌った2015年上海音楽院出身のテノール、チャン・ロンが超高音部を楽々と歌い上げていました 次に⑧ベッリーニ「ノルマ」のノルマとアダルジーザの二重唱「ご覧ください、ノルマ様」を歌ったイタリア出身のサラ・ロッシーニと同アンナ・ドリス・カピテッリによる息の合ったデュオが素晴らしかった 次に⑨ドヴォルザーク「ルサルカ」のアリア「月に寄せる歌」を歌った安藤赴美子のコントロールの効いた美しい歌声が印象に残りました そして前半最後の⑩プッチーニ「トスカ」よりスカルピアのアリア「行け、トスカ」と合唱「テ・デウム」における桝貴志の底力のあるバリトンと迫力に満ちた合唱が感動的でした

プログラム後半では、⑮ヴェルディ「ドン・カルロ」よりドン・カルロとロドリーゴの「友情の二重唱」を歌った城宏憲と桝貴志の勇壮な歌声に圧倒されました そして⑰モーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」より六重唱「厚かましい娘ね」と最後の⑱ヴェルディ「ファルスタッフ」のフィナーレでは重唱に次ぐ重唱が楽しめました

 

     

 

歌手個人として印象に残ったのは、まず最初に④ラフマニノフ「アレコ」のカヴァティーナ「みんな寝ている」を歌ったイラン系イギリス人のマイケル・モフィディアンです 見た目はテノールかと思っていたら、飛んでも8分歩いて80分のバス・バリトンでした かなり深みのある声で、顎髭を蓄えており外見的にも特徴的なので、特に印象に残りました 次に⑥プッチーニ「ラ・ボエーム」のアリア「私の名はミミ」と⑯ウェーバー「魔弾の射手」のアガーテのアリア「すぐに眠れたものなのに」を歌ったイタリア出身のソプラノ、セレーネ・ザネッティは、恵まれた身体から楽々と出てくる力のある声によって会場を圧倒していました ⑤プッチーニ「ラ・ボエーム」のロドルフォのアリアのほかに⑬グノー「ファウスト」でファウストのアリア「清らかな住家」を歌ったチャン・ロンは高音が楽々と出るリリコ・テノールです

歌手陣を支えた藝大フィルハーモニア管弦楽団は2017年修了公演「コジ・ファン・トゥッテ」に次ぐ2度目の新国立劇場への登場でしたが、ダグラス・ボストックの軽快な指揮のもとしっかり歌手陣を支えていました

今回の公演を聴いて感じたのは、海外のオペラ・アカデミーの研修生はレベルが非常に高いということです 日本人歌手では、研修所OBの安藤赴美子、清水華澄、桝貴志、城宏憲らは安定感もあり実力を発揮していましたが、現役の研修生は出番が少なかったこともあり、今後の活躍に期待したいと思います

 

     

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METライブビューイングでヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」を観る~アンナ・ネトレプコ、ディミトリ・ホヴォロストフスキー、ドローラ・ザジック、ヨンフン・リーにブラボーの嵐!

2018年09月16日 07時25分32秒 | 日記

16日(日)。わが家に来てから今日で1445日目を迎え、2016年の米大統領選でトランプ陣営の選対本部長を務めたポール・マナフォート被告が14日、大統領選介入をめぐるロシア疑惑を捜査するマラー特別検察官と司法取引で捜査協力することで合意した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       トランプは次々と外堀を埋められていく  この辺で誰か内堀を埋めてくれないかな

 

         

 

昨夕、東銀座の東劇で「METライブビューイング  アンコール2018」のヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」を観ました これは2015年10月3日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストは、レオノーラ=アンナ・ネトレプコ、ルーナ伯爵=ディミトリ・ホヴォロストフスキー、アズチェーナ=ドローラ・ザジック、マンリーコ=ヨンフン・リー、フェルランド=ステファン・コツァン、管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・同合唱団、指揮=マルコ・アルミリアート、演出=デイヴィッド・マクヴィカーです 

「トロヴァトーレ」とは中世の吟遊詩人のことです。このオペラではマンリーコが吟遊詩人となっています

 

     

 

舞台は15世紀のスペイン。ルーナ伯爵の陣営で警備隊長のフェルランドが昔語りをする。先代の伯爵に2人の息子がいたが、弟君はジプシーの老婆に呪いをかけられたとされ、老婆は火あぶりとなり弟君は行方不明になったという 夜、城内の庭で 暗闇の中、女官のレオノーラが恋人の吟遊詩人マンリーコと間違ってルーナ伯爵に抱きついてしまい、レオノーラを愛する二人は決闘となる(以上第1幕)。

ジプシーの野営地。アズチェーナは息子のマンリーコに、自分の母が火あぶりにされた様子を語る。アズチェーナが母親の復讐のため弟君を火に投げ入れたつもりが、誤って自分の息子を殺したと聞いて、マンリーコは自分はいったい何者かと出生に疑問を抱く そこにレオノーラが修道院に入るという知らせがもたらされる。駆けつけたマンリーコは先にレオノーラを略奪しようとしたルーナ伯爵から彼女を救い出す(以上第2幕)。

ルーナ伯爵の陣営にアズチェーナが捕らえられてくる。彼女がマンリーコの母親と知ったルーナ伯爵は復讐を誓う 一方、マンリーコの陣営では、レオノーラとの結婚が準備されている最中に、アズチェーナが捕らえられたとの知らせがもたらされる。マンリーコは彼女を救出するため出陣する(以上第3幕)。

マンリーコはルーナ伯爵との戦いに敗れ、アズチェーナとともに塔に囚われている 一方、レオノーラはルーナ伯爵に身を任せる代わりにマンリーコの助命を嘆願する。牢に現れたレオノーラはマンリーコを逃そうとするが、先に飲んでいた毒がまわり息絶える それを知ったルーナ伯爵は激高しマンリーコを処刑する。アズチェーナはルーナ伯爵に「彼こそ行方不明のお前の弟だ」と告げ、「母さん 復讐は遂げられた」と勝利を宣言する。ルーナ伯爵は「それでも俺は生きていくのか」と嘆息し幕を閉じる(以上第4幕)。

 

     

 

幕が開く前にMET総裁のピーター・ゲルブ氏が登場、バリトンのホヴォロストフスキーが脳卒中からまだ回復し切っていないにもかかわらず今回の公演に出演している旨を語りました 幕間のインタビューでホヴォロストフスキーは「もうすぐ全快するからね」と笑顔で挨拶していましたが、残念ながら同氏はこの公演の約2年後、2017年11月22日に死去しました 享年55歳の若さでした。2011年のMETオペラ来日公演では、主役級の歌手の何人かが福島の原発事故の影響を恐れ来日を断念する中、ホヴォロストフスキーは来日し ヴェルディ「ドン・カルロ」のロドリーゴを歌ってくれました 艶のあるバリトンとカッコいい雄姿が忘れられません

東劇のロビーの壁に彼の追悼コーナーがあって、主だったオペラの写真が掲示されていました

 

     

     

 

アルミリアートのタクトで第1幕が開きます。最初にフェルランドが登場してルーナ伯爵家の昔語りを歌いますが、バスのステファン・コツァンが素晴らしい 第一に面構えがいいし、歌唱力も言うことなしです この公演は脇役にも一流を揃えていることが分かります そして、マンリーコ役のヨンフン・リー、レオノーラ役のアンナ・ネトレプコ、ルーナ伯爵役のディミトリ・ホヴォロストフスキーの登場となりますが、この3人が3人とも存在感が半端ないのです

レオノーラを歌ったアンナ・ネトレプコはロシア生まれのソプラノですが、この時すでにMETを代表する大スターになっています 第1幕の「穏やかな夜」、第4幕の「恋はバラ色の翼にのって」をはじめとして、それぞれの幕で歌われるマンリーコ、ルーナ伯爵との二重唱、三重唱など、ドラマティックながら繊細な歌唱によって深い感動を呼び起こします 「演技力」とよく言われますが、彼女の場合は歌そのものが演技になっています 個人的には、彼女こそ現在における最高のソプラノ歌手だと思います

2011年のMETオペラ来日公演でネトレプコも来日し プッチーニ「ラ・ボエーム」のミミを歌う予定でしたが、東日本大震災後の福島の原発事故の影響で来日を断念しました   当時 彼女は生まれたばかりの乳児を抱えていたので、子どもへの影響を考えて断念したのだと思います   高いチケットを買っていた私としては残念至極でしたが仕方ありません その後成長した その息子は、幕間のインタビューで母親にまとわりついて、「ママ、早く歌って!」と甘えていました インタビュアーのスーザン・グラハムは「早く歌ってもらって、お家に帰りたいのよね~ 子どもとペットは可愛いものよね」とコメントしていましたが、場内は大爆笑でした

ヨンフン・リーは韓国出身のテノールですが、MET5年目ということで売り出し中の歌手です 第3幕で歌われる「見よ恐ろしき炎」におけるハイCは聴きものでした

ジプシーの老婆アズチェーナを歌ったドローラ・ザジックは、METのデビュー25周年とのことですが、デビューの役がアズチェーナだったそうです それだけに、この役は彼女の当たり役になっており、存在感が抜群です

そして、ルーナ伯爵を歌ったドミトリ・ホヴォロストフスキーはロシア出身のバリトン歌手ですが、銀髪で甘いマスクなのでカッコいいこと限りないのです 第1幕で登場するや、満場の拍手が鳴りやまず、オーケストラが途中で演奏を諦めて、拍手が止んでから演奏し直しました 第2幕第2場の「君の微笑み」をはじめ、深みのあるバリトンが腹の底にズッシリと響きます

この作品では合唱が重要な役割を果たしますが、メトロポリタン歌劇場合唱団は第2幕の「アンヴィル・コーラス」(鍛冶屋の合唱)をはじめとして、演出の素晴らしさと相まって、迫力ある合唱で聴衆の熱狂を呼び起こします

マクヴィカーの演出は、回り舞台を有効に使って、無駄のない速いテンポで舞台転換が行われ、弛緩することろがまったくありませんでした アルミリアートはピッタリと歌手に寄り添い、歌いやすい環境を整えていました

「イル・トロヴァトーレ」は、少なくともマンリーコ、ルーナ伯爵、レオノーラ、アズチェーナの4役(フェルランドを加えれば5役)について主役級の歌手を揃えなければならないので、なかなか上演される機会がありません その点、この公演は最高レベルの歌手陣による最高のパフォーマンスだったと言えるでしょう

カーテンコールが繰り返されましたが、ホヴォロストフスキーが一歩前に出ると 多くの白いバラがステージに投げ込まれました   彼は1本1本拾い上げ4,5本の束にして女性歌手たちに手渡していました 2年後にはこの世にいないホヴォロストフスキーの優しい振る舞いを見て 思わず涙がにじみました しかし 亡きあとも、ホヴォロストフスキーはライブビューイングの中で生きています

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野村芳太郎監督「影の車」、貞永方久監督「黒の斜面」を観る~全盛期の岩下志麻の魅力全開! / 東響2019‐2020シーズンは「定期演奏会」は継続、「オペラシティシリーズ」は継続中止

2018年09月15日 07時21分51秒 | 日記

15日(土)。わが家に来てから今日で1444日目を迎え、自民党総裁選(20日開票)に立候補した安倍晋三首相と石破茂元幹事長が14日、東京都内で日本記者クラブの記者会見に臨んだが、その時の様子をテレビで観て 感想を述べるモコタロです

 

     

      記者会見を終わった後  握手をしている時の 二人の不自然な笑顔が忘れられない

 

  昨日は娘が外食だったので夕食作りはお休みしました  

 

         

 

東京交響楽団の2019-2020シーズンについては、「定期演奏会」(サントリーホール)はS席で継続、「東京オペラシティシリーズ」(S席)は継続中止することにしました 両シリーズとも10年以上定期会員を継続してきましたが、オペラシティシリーズに代えて他の在京オーケストラの新規会員になろうと思っています 現在、NHK交響楽団、読売日響、東京交響楽団、新日本フィル、東京フィル(文京シビック)、新国立オペラ、バッハ・コレギウム・ジャパンの定期会員になっているので、新規候補としては東京シティ・フィル、日本フィル、東京都交響楽団になると思いますが、ラインナップ・日程を比較の上 慎重に決めたいと思います

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐で「影の車」と「黒の斜面」の2本立てを観ました

「影の車」は松本清張原作、野村芳太郎監督、橋本忍脚本による1970年松竹映画(98分)です

浜島幸雄(加藤剛)はある日、通勤バスの中で幼馴染みの小磯泰子(岩下志麻)と再会する。浜島は旅行会社に勤めて12年の係長、妻の啓子(小川真由美)は社交好きな主婦だが、結婚10年になるが子どもが出来ないせいもあり夫婦生活が上手くいっていない 2度目にバスで泰子に出会った浜島は1つ手前の停車場で降り、泰子の家に招かれる。泰子は4年前に夫に死なれ、保険の外交をやりながら6歳の健一と二人暮らしをしていた やがて浜島は頻繁に泰子を訪ねるようになり自然の成り行きとして結ばれる。彼は健一と仲良くなりたいとお土産を持参したりして努力するが、母親を取られる恐れを抱いた健一は素直になれない 浜島は健一が母親と自分との関係をすべて知っていて自分を憎んでいるのではないかと妄想する。ある日、出張と偽って泰子の家に泊まった夜、夜中にトイレに行って戻る時、目の前に健一が斧を持って自分に襲い掛かろうとしたのを見て、思わず健一の首を絞めてしまう それを目撃した泰子は混乱する。警察の事情聴取で刑事から「6歳の子供が殺意を持って大人に襲い掛かるなんてあり得ないだろう」と一喝されると、浜島は「いや、あるんだ」と叫ぶ。実は浜島も母の手一つで育てられ、伯父が母親を訪ねて来たときに殺意を感じており、6歳の時に事件が起こったのだった

 

     

 

浜島が6歳の健一に感じた恐怖は、浜島自身が6歳の時に経験した「母親を奪おうとする者への復讐」に基づいていることが分かります

この映画の一番の魅力は何と言っても岩下志麻の美しさです

喫茶店のシーンではヴィヴァルディ「四季」が流れていました この映画は1970年製作なので、LPレコードを使っているとすれば、やっぱりイ・ムジチだろうか、と思ったりしました

 

         

 

「黒の斜面」は貞永方久監督による1971年松竹映画(93分)です

ダイバ物産営業係長の辻井喬(加藤剛)は、失恋を苦に自殺を図ろうとした川上妙子(市原悦子)を救ったことがきっかけに彼女と情事を重ねていた。やがて課長への昇格の話が持ち上がり、関係を清算したいと思うようになる ある日、辻井は出張で最終の飛行機で大阪に向かうため3000万円入りのアタッシュケースを持って羽田に向かったが、待ち受けていた妙子に口説かれて出発を翌朝に変更する その時、キャンセルするのなら現金を渡すから搭乗券を譲ってほしいという若い男に売ったのだった。しかし、その飛行機が途中で三河湾に墜落、全員が死亡したことで辻井の筋書きが狂い始める 辻井の名前は搭乗者名簿に載っていたので、彼は死んだことになってしまったのだ 彼は妙子のアパートに転がり込んで身を潜めるが、妙子は辻井に3000万円を持って地方に行き別人として 共に人生をやり直そうと画策する。一方、辻井の妻・圭子(岩下志麻)は 遺体が見つからないことから疑惑を持つようになる 紆余曲折があり、圭子は二人がアパートにいるところを目撃する 新聞の3行広告「タカシ  すべて許す  連絡待つ  ケイコ」を見た辻井は圭子に電話して自分は生きていることと、家に戻りたいことを伝えると、圭子は「待っている」と答える それを信じた辻井が自宅に戻り、ドアを開けると 目の前に辻井の遺影と花が飾られていた

 

     

 

この映画の魅力も岩下志麻の美しさです

隣席のおじさんは、映画を観ながら「ああ」とか「あら~」とか「やれやれ」とか、いちいち感嘆符を口にしていましたが、最後に辻井が自宅で自分の遺影に対面するシーンでは、「怖いな~」と言っていました 言うまでもなく、「女は怖い」という意味です

映画の冒頭近くと終末近くでモーツアルトのピアノ曲のようなやさしく穏やかな曲が流れましたが、残念ながら作曲者と曲名は分かりませんでした 何となくモーツアルトの「12の変奏曲K.500」のような気がしましたが 特定はできません 悔しいです

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フランス映画「オーケストラ・クラス」を観る~モーツアルト「ディヴェルティメントK.136」、バッハ「シャコンヌ」、リムスキー・コルサコフ「シェヘラザード」が演奏される

2018年09月14日 07時40分58秒 | 日記

14日(金)。わが家に来てから今日で1443日目を迎え、トランプ米大統領は12日、米国の選挙に介入したと判断すれば外国の政府や企業、個人に制裁措置を科すことを可能にする大統領令に署名した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      トランプの当選前の経験からいって 自分で自分の首を締めなければいいけどね

 

         

 

昨日、夕食に「サバ味噌」「マグロの山掛け」「海鮮のネギ塩焼き」「冷奴」を作りました   いずれも超簡単料理です

 

     

 

         

 

昨日、ヒューマントラストシネマ有楽町で「オーケストラ・クラス」を観ました これはラシド・ハミ監督による2017年フランス映画(102分)です

シモン(カド・メラッド)はヴァイオリニストとして行き詰まり、パリ19区にある小学校に音楽教育プログラムの教師として赴任する 気難しく子どもが苦手なシモンは、6年生の生徒たちにヴァイオリンを教えることになり、やんちゃな子供たちを相手に四苦八苦するが、やがてアーノルド(アルフレッド・ルネリー)という一人の黒人少年にヴァイオリンの才能を見い出す アーノルドの影響もあってクラス全体が音楽に夢中になり、成長していく子供たちと向き合うことで シモンもまた音楽の喜びを取り戻していく そして1年後に開かれる「フィルハーモニー・ド・パリ」での演奏会を目指してレッスンに励み、他校との合同オケによりリムスキー・コルサコフの交響組曲「シェヘラザード」の演奏に臨む

 

     

 

この映画は、音楽に触れる機会の少ない子どもたちに無料で楽器を贈呈し、プロの演奏家たちが音楽を教えるフランスの実在の教育プログラム「デモス」から着想を得た物語です 

この音楽教育システムはベネズエラの「エル・システマ」で有名ですが、元を正せば日本の「スズキ・メソード」から始まっています

この映画で良かったと思ったのは、生徒たちだけでなく親たちを巻き込んで演奏会に臨んだことです 彼らの練習場が電気火災で焼けてしまい、シモンも生徒たちも演奏会への出演を断念しようと思い始めた時、「せっかくここまで上達したのだから練習を続けさせたい」として親たちが倉庫を改装して練習できるようにしたのです

シモンが生徒たちに「演奏するのに一番大切なことは何か?」と問うと、彼らは「練習をすること」「先生の言うことを良く聞くこと」「お互いにリスペクトすること」と口々に答えますが、シモンは「一番大切なのは演奏を楽しむことだ」と言います。日本流に言えば「音楽」は音を楽しむと書く、ということでしょう

全編を観終わって意外に思ったのは、この映画で使われたクラシック音楽がたったの3曲だったということです 1曲はシモンが弦楽四重奏団のメンバーとして弾くモーツアルト「ディヴェルティメントK.136」の第1楽章「アレグロ」です 2曲目は、シモンが生徒の家を訪問した時に父親から何か弾いてくれと頼まれて弾くJ.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番BWV1004」の第2楽章「シャコンヌ」です 3曲目は言うまでもなく、彼らの発表曲「シェヘラザード」です

発表曲に「シェヘラザード」を選んだのは、コンマスを務めるアーノルドに 第1楽章「海とシンドバッドの船」の「シェヘラザードの主題」をヴァイオリン・ソロで弾かせるためでしょう

「シェヘラザード」とは「千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)」のヒロインの名前ですが、リムスキー・コルサコフ(1844‐1908)はそれを交響組曲として1888年に完成させました   彼は青年時代に海軍士官として遠洋航海をしたことがあり、その時の体験がこの曲に生かされていると言われています   スケールが大きく美しい曲です

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穂村宏 ✕ フジモト マサル「にょにょにょっ記」を読む / 湊かなえ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」、小川糸著「ツバキ文具店」、相場英雄「不発弾」、岸本葉子「エッセイの書き方」他を買う

2018年09月13日 07時46分57秒 | 日記

13日(木)。黒木瞳さんが毎週水曜日 朝日夕刊に連載している「ひみつのHちゃん」を楽しみにしています 昨日の見出しは「セレンディピティ―かも」でした。ある日 撮影用車両に乗るとドライバーが「2年前の今日、黒木さんをタクシーに乗せたんです。まさに2年前の今日なんです」と言った、という信じられないような本当の話が紹介されています 2年前にそのドライバーがタクシー運転手の時に黒木さんを乗せたのだそうです。黒木さんも覚えていたそうです。彼は黒木さんに会いたいばかりにタクシードライバーになり、2年後の今はタクシードライバーをやりながら撮影用車両の運転手もやっているとのことです もちろん黒木さんに会いたいためです。これについて黒木さんは、以前 勝間和代さんとメールで会話したときに話題になった「セレンディピティー」という言葉を思い出します 「セレンディピティー」(※serendipity)とは 簡単に言うと”小さな偶然をきっかけに大きな幸運をつかみ取る”という意味のようで、「チャンスは準備している人の元に訪れる」ということを表しているそうです 彼女はこの体験から「『何もせずにただ海にヨットを浮かべても何も起こらない。ヨットの帆を高くあげておかなければ』と、毎日マネージャーに言われた 若かりし頃まで思い出す」と書いています

「何か楽しいことないかな?」と思っているだけでは何も起こらない 「誰か楽しいことに誘ってくれないかな?」と思っていても誰も声をかけてはくれない 何事にも積極的な姿勢で臨み、常にアンテナを張って、来たるべき”その時”のために準備をしている人だけにチャンスは巡ってくるのだと思います

ということで、わが家に来てから今日で1442日目を迎え、厚生労働省が11日に公表した2017年の国民健康・栄養調査で、成人男性の喫煙率が初めて3割を切り29.4%となり、女性は7.2%、成人全体では17.7%で、いずれも調査が始まった1986年以降、過去最低となった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      ご主人の口癖は「歩行喫煙してる奴は人間のクズ  ポイ捨てする奴はただのクズ」

 

         

 

昨日、夕食に「ちぎり厚揚げと豚バラの和風炒め」と「卵とトマトの炒め物」を作りました 「ちぎり~」は小林まさみ先生、「卵~」はウーウェン先生のレシピです。どちらも初挑戦ですが 美味しく出来ました

 

      

 

         

 

本を5月買いました 1冊目は湊かなえ著「ポイズンドーター・ホーリーマザー」(光文社文庫)です   湊かなえさんの本は文庫化されるたびにこのブログでご紹介してきました

 

     

 

2冊目は小川糸著「ツバキ文具店」(幻冬舎文庫)です 小川糸さんの作品を読むのはこれが初めてです

 

     

 

3冊目は小川糸著「ツバキ文具店の鎌倉案内」(幻冬舎文庫)です 上記の「ツバキ文具店」が鎌倉にあるので、その鎌倉のグルメを中心とする案内本です

 

     

 

4冊目は相場英雄著「不発弾」(新潮文庫)です 相場英雄氏の作品も文庫化されるたびに当ブログでご紹介してきました

 

     

 

5冊目は岸本葉子著「エッセイの書き方」(中公文庫)です 岸本葉子さんは日経夕刊でエッセイを連載しているので、興味を持ちました

 

     

 

         

 

穂村弘著・フジモト マサル絵「にょにょにょっ記」(文春文庫)を読み終わりました 穂村弘氏の本は、先日読んだ「絶叫委員会」が面白かったので、この本もふざけたタイトルに惹かれて購入しました 穂村弘氏は1962年札幌市生まれ。1990年に歌集「シンジケート」でデビューしましたが、2008年に歌論集「短歌の友人」で第19回伊藤整文学賞を受賞しています フジモト マサル氏は1968年生まれの漫画家兼イラストレーターです。先日、当ブログでご紹介した村上春樹著「村上さんのところ」のイラストも担当しています。2015年逝去

 

     

 

この本を買ってから気が付いたのですが、まず「にょっ記」が出て、次に「にょにょっ記」が出て、そしてこの「にょにょにょっ記」が出たようです このシリーズは日常生活の中で接した面白い言葉や出来事を日記風にまとめたものです

今タイムリーな話題ということでご紹介すると、4月15日の日記のタイトルは「横棒」で次のように書かれています

「安室奈美恵」という名前をみていて、はっとする。上部に横棒が一直線。だから何って云われても困るけど。本人とマネージャーはこのことを知っているのだろうか。」

よくこういうことに気が付くと思います 4月22日の日記は次の通り

「電車に乗る。『ほら、あの、マングースに勝つ奴、なんだっけ』『それを言うならハブに勝つ奴でしょ』『それがマングースでしょ』。そんな会話が聞こえて来た。声の方をちらっとみたら、中年の男性がひとり。ひとり?」

何となく可笑しいです 5月12日の日記は次の通り

「テレビドラマを観る。学園ものだ。音楽室のシーンで、壁の高い位置にモーツアルトの肖像画がかかっているのを発見して、ああ、と思う。懐かしい そういえばそうだった。私の通っていた中学校や高校の音楽室にも、ハイドンやバッハやモーツアルトの肖像画がかかっていた。髪型が羊っぽいの 今でもそうなんだなあ。でも。ふと考える。どうして音楽室だけなんだろう 理科室には、キュリー夫人の肖像画はなかった。アインシュタインのも。体育館には、マイケル・ジョーダンの肖像画はなかった。コマネチのも。家庭科室には、小林カツ代の肖像画はなかった。平野レミのも 絵を描くための美術室にさえ、ピカソの肖像画はなかった。岡本太郎のも。なのに、どうして音楽室だけにかかっていたんだろう。そして今もかかっている。不思議。羊。」

穂村さんは どうして一番有名なベートーヴェンの名前を挙げないんだろう。たぶん、ベートーヴェンは羊っぽいカツラを被っていなかったからだろうな

8月17日の日記は次の通り

「ロンロンとつい云ってしまう。ロンロンはもうない。今はアトレ。でも、私の脳内では未だに吉祥寺の駅ビル=ロンロンなのだ アトレ、アトレ、と呟いて練習しても、ついロンロンと云ってしまう そういえば、と思い出す。あれは何時だったろう。フジモト サルさんが云っていた。『吉祥寺の”ロンロン口”って表示をみるたびに”ロンロンロ”って思うんです』。ロンロンロ、なんて可愛いんだろう ロンロン口も消えてしまった。今はアトレ本館口。切ない

これを読んでロンロンを懐かしく思い出しました。十数年前、地下の広場で「ロンロン・コンサート」という無料コンサートがあって、知人のS・E(ステージ・ネーム:霧丘朱代)さんがピアノを弾いていたのです 彼女は町田でピアノ教室を開き 生徒さんに教える傍ら、身近な発表の場をロンロン・コンサートに求めていたのです 彼女が演奏する時は私を含めて常連のリスナーが多数詰めかけていました ロンロンがなくなり、最近はすっかりご無沙汰していますが、お元気でしょうか? 大好きなショパン、弾いていますか

2月10日の日記は次の通り

「猫のあくびを見る。顔が裏返りそうな大あくび。可愛い それなのに、人間のあくびは可愛くないのはどうしてだろう どんなに美人でもあくびは駄目だ。特に本気の大あくび。人間は鳥のように空を飛べないのと同様に、猫のように可愛く大あくびはできないのだろうか

たしかに、美人の大あくびは興ざめです 後でどんなに猫を被ってもダメです

このように 次々と紹介していったらキリがないのでこの辺で止めておきます 最後に、この本はフジモト マサルさんのシュールなイラストが大きな魅力になっていることを付け加えておきます   とくに208ページの「非常口」のイラストは最高です

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新国立劇場「避難体験オペラコンサート」入場票届く / リチャード・リンクレイター監督「30年後の同窓会」を観る~戦死した息子を旧友と連れ帰る旅:早稲田松竹

2018年09月12日 07時21分54秒 | 日記

12日(水)。歯に被せてある金属が取れてしまったので、先日行きつけの歯医者で型をとってもらったのですが、昨日新しいのが出来たので取り付けてもらいました 2本分なので6000円取られました しかし、考えてみると保険診療だからこの程度で済んでいるわけで、保険が適用されないとトンデモナイ金額がかかってしまいます

歯科医院といえば、敗者復活戦と司会者の話は書きましたね 残念ながら 私の能力では それ歯科シャレは考え付きません と告白したからといって、歯科トしないでください

というわけで、わが家に来てから今日で1441日目を迎え、生活習慣病などの健康リスクを高める運動不足の成人が世界に14億人以上いる、という推計値が英医学誌「ランセット・グローバル・ヘルス」に掲載された というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ご主人は1日8000歩を目標に歩いているけど 酷暑の熱中症を避けて達成してない

 

         

 

昨日、夕食に「アボカドと鶏もも肉の塩だれバター炒め」「ホウレン草と油揚げの煮びたし」「冷奴」を作りました 「アボカド~」は初挑戦ですが、何とか美味しく出来ました。冷奴にはオクラと削り節と山芋をのせています

 

     

 

         

 

新国立劇場から9月26日に開かれる「第3回避難体験オペラコンサート」の入場票(ハガキ)が届きました 当日は中劇場で午後3時に「オペラ公演」が開演し、途中で地震が発生し 会場外に避難、その後再び会場に戻りオペラ公演の続きを鑑賞するという流れになります   座席はエリア別に指定されており、私は1階右ブロック1~5列となっています

入場票には「オペラ公演」の詳細が書かれていませんが、昨年の例でいえば、PIVOT!(新国立劇場オペラ研修所修了生)によるオペラのアリアや重唱が歌われます   

 

     

 

         

昨日、早稲田松竹で「30年後の同窓会」を観ました これはリチャード・リンクレイター監督・脚本による2017年アメリカ映画(125分)です

男一人酒浸りになりながらバーを営むサル(ブライアン・クランストン)と、破天荒だった過去を捨て今は牧師となったミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)の元に、30年間音信不通だった旧友のドク(スティーヴ・カレル)が突然現れる ドクは二人に1年前に妻に先立たれたこと、そして2日前に遠い地で息子が戦死したことを打ち明け、亡くなった息子を故郷に連れ帰る旅への同行を依頼する バージニア州ノーフォークから出発した彼らの旅は、時にテロリストに間違えられるなどのトラブルに見舞われながら、故郷のポーツマスへ向かう

 

     

 

悪友3人がそれぞれ個性的で、それがこの映画の魅力になっています とくにサルを演じたブライアン・クランストンは、かつて黒澤映画で主役を張った三船敏郎を彷彿とさせる無鉄砲さの魅力に溢れています サルはどこに行ってもビールばかり飲んでいますが、ただの飲んだくれではなく、誰よりもドクの気持ちを考えています 棺桶の中の息子が至近距離で銃で撃たれ顔が見る影もなくたってしまったため、軍の責任者は遺体を見ないよう説得しますが、サルは絶対見ておくべきだと主張し、ドクは遺体と対面します またサルは、警備要員として棺桶の近くにいた 息子とともに戦地で行動を共にしたという若い兵士に 現地で何があったかをドクに伝えるよう説得します。ドクは息子が戦闘で撃たれた訳ではなく コーラを買いに行った時に至近距離で撃たれたことが分かり愕然とします。ドクは「何が、国のための名誉の死だ」と国家の偽善に憤りを感じます。そして、「名誉のためにアーリントン墓地に埋葬すべきだ」という軍の責任者の勧めを無視し、故郷のポーツマスまで運び埋葬するのです

事情を知って長旅に付き合ってくれる友だちがいるっていいですね

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青木やよひ著「ベートーヴェンの生涯」を読む~緻密な現地取材に基づく伝記の決定版~ますますベートーヴェンが好きになる / フルーツ・チャン監督「香港製造(メイド・イン・ホンコン)」を観る

2018年09月11日 07時14分35秒 | 日記

11日(火)。昨日は新聞休刊日で、朝日も日経も配達されなかったので、朝から読書がはかどりました 天気予報によると、東京では今週 涼しい毎日が続きそうです   いよいよ待望の秋の訪れでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で1440日目を迎え、自民党総裁選の本格的な論戦が10日始まり、安倍晋三首相(総裁)は「憲法の改正に取り組むべきときが来た」と述べ、9条改正に意欲を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                  1000兆円を超える国の借金をいつまで先送りするのか!?  怒れ 若者たち!     

 

         

 

昨日、夕食に「トマトと豚肉の重ね蒸し」「ミックスビーンズとハムとレタスとブロッコリのスープ」「冷奴」を作りました 「トマト~」は「NHKきょうの料理」の河野雅子先生のレシピです これまでは料理本5冊をとっかえひっかえ見ながら献立を考えていたのですが、先月にお盆休みで帰省した息子の影響で、ネットで検索して出来るだけ作ったことのない料理を作るようにしています まあ、失敗しても犠牲になるのは娘と自分だけなので気が楽です

 

     

 

         

 

昨日、神楽坂のギンレイホールでフルーツ・チャン監督による1997年香港映画「香港製造(メイド・イン・ホンコン)」(2017年 4Kレストア・デジタルリマスター版。108分)を観ました

舞台は中国返還目前の1997年の香港。母と二人で低所得者アパートに住む青年チャウは、弟分のロンを引き連れてある組織の借金取りを手伝っている ある日、チャウは取り立て先の家で同じような境遇にある少女ペンと出会う 飛び降り自殺した女子学生サンの遺書を偶然手にしたことを機に、3人の中で奇妙な友情が芽生え始めるが、その遺書に振り回される日々の始まりでもあった 家族を捨てて女に走った父親、両親が作った巨額の借金、弟分の精神未発達児ロンに対する容赦ないイジメ・・・こうした”荷物”を背負いながら、チャウは懸命に生きる。そして、いつしかペンに恋心を抱き始めたチャウは、腎臓病に侵されている彼女が余命わずかであることを知る チャウは彼女の命を守るため生まれて初めて銃を手にする

 

     

 

この映画は、新人監督のもと わずか5人のスタッフで始められた低予算映画ながら、地元香港で大ヒットを記録した作品です 主人公のチャウを演じるサム・リーが、崩壊する家族の中で もがきながら懸命に生きる姿を体当たりで演じています この映画を観て一番驚いたのは、3人の若者たちが自殺したサンの墓を探す場面で、チャウが墓石の屋根の上を次々と飛び移っていくシーンです 一般常識から考えれば、このような行為は故人に対する冒涜ではないかと思いますが、新人監督が 世の中の倫理観や世間の常識をぶち壊そうとする意志が伝わってきます そういう意味では、この作品は単なる青春映画ではなく、新しい時代を迎えようとする香港の将来を暗示しているように思います

 

         

 

青木やよひ著「ベートーヴェンの生涯」(平凡社ライブラリー)を読み終わりました 青木やよひさんは1927年静岡県で生まれ 2009年11月に死去しています。20代からベートーヴェンの研究に取り組み、1959年に世界で初めてベートーヴェンの「不滅の恋人」がアント―ニア・ブレンターノだとするエッセイをNHK交響楽団の機関誌「フィルハーモニー」誌上で発表し、ドイツの研究者によりそれが裏付けられるなど、国際的にも高い評価を得ています

 

     

 

音楽評論家の加藤浩子さんが巻末の「解説」で「本書は、目下のところ日本人の手によって書かれたベートーヴェンの伝記の決定版といえるものであり、著者のベートーヴェン研究の総決算である」と書いていますが、まさにその通りの傑作です  青木さんは半世紀にわたりベートーヴェンを研究し続けましたが、ただ座って文献を読むことに止まらず、あらゆる方面の一次資料に当たり、現地に繰り返し足を運んで実証を積み上げることによって、説得力のある研究結果を残したのでした

本書は、第1章「ボン時代のベートーヴェン」、第2章「ウィーン生活の光と影」、第3章「豊かな創造の時期」、第4章「栄光と絶望の『日記』」、第5章「人類へのメッセージ」から構成されていますが、本書の大きな特徴は、ベートーヴェンという音楽の巨匠の生涯を成長物語風に描いているので非常に分かり易いということです したがって、ただベートーヴェンがどこで誰に会ったかとか、いつ何を作曲したか、といった事実の羅列に止まらず、あらゆる資料の裏付けのもとに、その時ベートーヴェンは相手のことをどう思ったか、といった心理的なことも大胆に描写しています

この本を読むと、ベートーヴェンがどれほど自然を愛したかが良く分かります しかめ面をしたイメージが強いベートーヴェンですが、心を許した友人の間では冗談を言って笑い合う、ユーモアを解した人間味あふれる人物だったことが分かります

正直に告白すると、この本を読んで初めて、いかに自分がベートーヴェンの生涯や作品について無知だったかを認識させられました ほんの一例を挙げれば、ドイツ生まれだがロンドンでハープ製作者となったアンドレアス・シュトゥンプフトが1824年の夏に保養地バーデンにいたベートーヴェンを訪ねた時に、「これまでの作曲家の中で誰が一番偉大だとお考えですか?」と尋ねると、ベートーヴェンは即座に「ヘンデル」と答え、「モーツアルトは?」との問いに、「モーツアルトは優れているし、素晴らしい」と言い、そのあとでバッハの名もあげた・・・というエピソードが紹介されています

ベートーヴェンの作品への影響を考える時に、「フーガ」の使用をはじめとして J.S.バッハが一番偉大だと答えるはずだ と思っていた私には以外な答えでした また、モーツアルトで言えば、ベートーヴェンは「『ドン・ジョバンニ』の『手をとりあって』の主題による12の変奏曲」、「『フィガロの結婚』の『伯爵様が踊るなら』の主題による12の変奏曲」、「『魔笛』の『恋を知る男たちは』の主題による7の変奏曲」などを作曲しており、作曲家として一目置いていたと思われます その一方で、ヘンデルを考えると「『ユダス・マカベウス』の『見よ、勇者は帰る』の主題による12の変奏曲」くらいしか頭に浮かびません いったい、ベートーヴェンはヘンデルのどういう点を偉大だと考えたのでしょうか

このような 私にとっては未知のことが数多く書かれており、それを知るとますますベートーヴェンが好きになり、もっと多くの作品を聴きたい気持ちになってきます 相当のクラシック音楽愛好家でも、「この本を読まなければベートーヴェンを語る資格がない」と言いたくなるほどの傑作です 文庫本サイズなのでハンディで読みやすいです。強くお薦めします

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