人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ミケランジェリから指名を受けたピアノ調律師・村上輝久氏のエッセイから / 中山七里著「闘う君の唄を」を読む~新任幼稚園教諭が主人公のミステリー

2018年09月05日 07時15分16秒 | 日記

5日(水)。昨日は東銀座の東劇にMETライブビューイング「ドン・カルロ」を観に行く予定でしたが、大型台風21号が接近中ということで、「行きはヨイヨイ 帰りはコワイ」になっては困るので取り止めました 家で大人しく本を読んで過ごしました

ということで、わが家に来てから今日で1434日目を迎え、世界のテレビドラマの中から優れた作品を表彰する「ソウルドラマアワーズ」の授賞式が3日、ソウルのKBSホールで開かれ、漫画が原作の日本のテレビドラマ「孤独のグルメ」に、韓国で最も人気がある海外ドラマとして招待作品部門の賞が贈られ、授賞式に出席した松重豊さんが「おじさんがご飯を食べているだけの番組を誰が見ているのかと思ったが、海外で賞がもらえて光栄だ」と冗談交じりに話すと、会場の観客から笑いと歓声が起きた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       ソウルに響くソウルフードを紹介してくれたって・・・それ、早く言ってよ~ん

 

         

 

昨日、夕食に「キャベツとソーセージの中華炒め」「ニラ玉」「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました 「キャベツ~」は省エネ簡単料理ですが美味しいです

 

     

 

         

 

昨日の日経朝刊 文化面にピアノ調律師・村上輝久氏による「巨匠のピアノ  旋律の旅   ミケランジェリから指名  世界26カ国の公演に同行」というエッセイが載っていました 超訳すると

「1948年に日本楽器製造(現ヤマハ)に入社して以降、70年近く調律師の仕事に携わってきた 調律はピアノの音程をそろえる仕事という印象が強いが、それだけではない。音程と音色、鍵盤のタッチを演奏者の希望に沿った形で調整する。この3つがそろってこそ、楽器から素晴らしい音を引き出せる 65年末にヤマハの4代目社長・川上源一氏から欧州で音楽の勉強をしないかと声をかけられ、66年にイタリア・ミラノに赴任した。受け入れ先の調律師との縁で、当時最高のピアニストだったミケランジェリと出会った 気に入られ、ヤマハの社員でありながら彼のコンサートの専属調律師となった 欧州で使われているピアノはスタインウェイやべーゼンドルファーなどで、日本メーカーが入る余地はなかった。当時のヤマハは世界的には無名で欧州製に追いつこうと必死だったので、他社のピアノの調律を容認してもらえたのだ 66~70年に欧州に滞在し、調律師として26カ国を回った。各地のホールには専属の調律師がいるため、調律を拒まれることもあったが、ミケランジェリは『村上さんが調律しないなら私も演奏しない』と言ってくれた ミケランジェリはピアノを空輸して海外公演に臨むなど厳格な姿勢で知られた。時間短縮のため、公演で使う音域だけ調律することがあったが、そんな時は「少し手を抜いたね」と見抜かれた 20世紀最大のピアニストと呼ばれたリヒテルは、ミケランジェリの調律を手掛けた関係で声がかかり、リヒテルの公演に毎回同行した。彼は後にヤマハをメインに使うようになり、各地の国際コンクールにもヤマハが採用されるようになった ポリーニは、当時まだ若手だったが、音楽に向かう姿勢は本物だった。彼は私に音色の要望をする時、奥さんにケーキを持ってこさせ「このケーキのような音色に」と言った。音を味覚で表現するあたりはまさに天才だった 帰国後は若手育成のため、80年に調律師養成のための『ヤマハ ピアノ テクニカル アカデミー』を開設、現在39期生が学んでいる

ピアノ調律師を主人公とした小説「羊と鋼の森」(宮下奈都著)が2016年の第13回本屋大賞を受賞し、今年6月に映画化されるなど、ピアノ調律師に対する関心が高まっている折、タイムリーなエッセイだと思います

 

     

 

         

 

中山七里著「闘う君の唄を」(朝日文庫)を読み終わりました 中山氏の作品は文庫化されるたびに、当ブログでご紹介してきました。念のため略歴をご紹介すると、1961年岐阜県生まれ。2010年「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し作家デビュー その後、広範囲にわたるテーマによる数々のミステリーを発表し、「どんでん返しの帝王」と呼ばれています

 

     

 

埼玉県秩父郡の神室幼稚園に赴任した新任教諭の喜多嶋凛は、3歳児クラスの担任をすることになった 理想に燃える彼女の前に立ちはだかったのはモンスターペアレンツ集団=保護者会だった 手配が終わっている遠足の行き先を急きょ変更させる、お遊戯会の演目を護者会が決める、といった理不尽な要求が次々と出されるが 園長はあっさりと保護者の言いなりになっていた しかし、それには保護者会に逆らえない理由があった 凛はこんな保護者会を相手に理想を諦めようとせず、体当たりで任務を遂行し、少しずつ園児と保護者の信頼を得ていく ところが、2月に開かれた新入園児の保護者向けの説明会に出席した、凛と小学校時代の同級生だった横山美穂が発した「彼女は喜多嶋凛なんて名前じゃありません。彼女の名前は上条凛です」というひと言で事態が一変する 凛の父親は16年前に神室幼稚園でバス運転手をしていた。その時何があったのか? そんな折、16年前の事件を再検証する刑事が現われ 捜査のうえ16年前の真相が解明される

物語の前半は、新入社員が会社の上司や取引先の理不尽な要求にもめげず、困難を乗り越えて周囲の信頼を勝ち取っていく一種の「サラリーマン小説」かと思って読んでいましたが、それは序の口に過ぎず、上記の説明会以降の後半こそが、予測不能のミステリーになっているのです

幼稚園の新人教諭を主人公にするという意外なアプローチは、これまでの中山七里の作品とは毛色が異なるので、いったいどんなストーリー展開になるのかと思って読みましたが、見事に「どんでん返し」を喰らいました 一気読み必至です。お薦めします

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