人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

カンブルラン✕諏訪内晶子✕読売日響でシマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番」、ラヴェル「ラ・ヴァルス」他を聴く~第581回定期演奏会 / 「チンジャオロースー風」を作る

2018年09月29日 08時08分40秒 | 日記

29日(土)。わが家に来てから今日で1457日目を迎え、トランプ米大統領が最高裁判所判事に指名した保守派のブレット・カバノー氏が27日に米議会上院の公聴会に出席し、女性に対して性的暴行をした疑いについて「無実だ」と否定したが、告発した女性がカバノー氏に暴行されたと断言したことについて、トランプ大統領はツィッターで「カバノー氏の証言は力強く、誠実で魅力的だった」と評価した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     同じような疑惑で 次はトランプ自身が証言台に立たされる という自覚がゼロだな

 

         

 

昨日、夕食に「チンジャオロースー風」と「キャベツとしめじのスープ」を作りました 「チンジャオロース-風」の「風」というのは、電子レンジで調理し、牛肉を細く切らないからです。これは武蔵裕子先生のレシピです  「キャベツ~」は本来「お浸し」なのですが、段取りを間違えたのでスープにしました こういうのを臨機応変、または いい加減と言います。これはこれで美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで読売日響第581回定期演奏会を聴きました プログラムは①ペンデレツキ「広島の犠牲者に捧げる哀歌」、②シマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番作品35」、③ハース「静物」、④ラヴェル「ラ・ヴァルス」です ②のヴァイオリン独奏=諏訪内晶子、指揮=シルヴァン・カンブルランです

 

     

 

オケはいつもの読響の並びで、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成です コンマスは長原幸太。第2ヴァイオリン首席の瀧村依里さんの隣には 新日本フィルの第2ヴァイオリン首席・吉村知子さんがニコニコしながらスタンバイしています。読響さん、レンタルしましたね 

吉村知子さんといえば忘れられない思い出があります。もうかなり前のことですが、すみだトリフォニーホールで小澤征爾指揮新日本フィルによる公開リハーサルがあり、ドヴォルザークの交響曲第7番の練習風景を見学したのですが、楽章の間に、なぜか吉村さんが笑い出して止まらなくなってしまったのです 小澤氏が「何が可笑しいの?」と訊いてもただ笑うだけ 笑いが止まらないので「そんなに可笑しい?」と訊きますが、止まりません 次の楽章に入り演奏中も思い出し笑いを必死にこらえる表情を見せていました 天下の小澤征爾もお手上げでした

さて、本題に入ります。1曲目はペンデレツキ「広島の犠牲者に捧げる哀歌」です この曲はクシシュトフ・ペンデレツキ(1933~)が1959~60年に作曲した作品で、弦楽器だけによる10分足らずの作品です 

カンブルランのタクトで演奏が開始されますが、冒頭、ヴィオラ⇒第1ヴァイオリン⇒第2ヴァイオリン⇒チェロ⇒コントラバスへと各楽器の最高音が受け継がれ、音のずれが作り出されます その後ははっきりとは覚えていません。この曲は最近観た映画で使われていましたが、タイトルを思い出せません。緊張感に満ちた作品でした

2曲目はシマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番作品35」です この曲はポーランドのカロル・シマノフスキ(1882‐1937)が同国のヴァイオリニスト、コハンスキのために1915~16年に作曲した作品です しかし、ロシア革命の混乱で初演が延期され、1922年にオズィミニスキの独奏で初演されました 単一楽章ですが、全体は第1部「ヴィヴァーチェ・アッサイ」、第2部「アンダンティーノ」、第3部「ヴィヴァーチェ」の3つの部分から成ります

黒を基調とするラメ入りのエレガントな衣装に身を包まれた諏訪内晶子がカンブルランとともに登場、さっそく演奏に入ります 諏訪内晶子は1990年に史上最年少でチャイコフスキー国際コンクールで優勝、現在 世界各地で活躍しています

冒頭は煌びやかな管弦楽で、ピアノも入り、まるでストラヴィンスキーのペトルーシュカの世界のようです そして高音域で独奏ヴァイオリンがエキゾチックなメロディーを奏でます ほとんど途切れることなく流れるように美しい音楽が奏でられますが、諏訪内のストラド「ドルフィン」が良く鳴っています カンブルラン✕読響が完璧にフォローしています 第3部ではコハンスキの作曲によるカデンツァが奏でられますが、諏訪内は超絶技巧をものともせず最高音から最低音まで美しい音色で弾き切ります カンブルラン✕読響の完璧なサポートと相まって、聴きごたえのある素晴らしい演奏でした

諏訪内の演奏姿を見ていて気が付いたのは、彼女は時々正面を向くものの、常に指揮者の方を向いて演奏しているということです また、ヴァイオリニストによっては、頻繁に髪をかき上げたり、顔をしかめて演奏したり、ちょっと格好つけたりする人がいますが、彼女の場合はそういう仕草は一切見られません わざとらしいことをしなくても、聴衆は自分の実力を認めたうえで演奏姿を注視していることを自覚している とでも言ったらよいでしょうか

満場の拍手に応え、諏訪内はアンコールにイザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番」から第1楽章を 超絶技巧を駆使して音楽性豊かに演奏し、会場の温度を上昇させました


     


プログラム後半の1曲目はハース「静物」です ゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953~)はオーストリアの作曲家です この作品は2003年にドナウエッシンゲン音楽祭で、バーデンバーデン&フライブルクSWR交響楽団と首席指揮者だったカンブルランにより初演されました 全体は3つの部分から成りますが、続けて演奏されます

カンブルランの指揮で演奏が開始されます。冒頭の低弦によるメロディーを聴いていて、「グロテスクなワルツと言えなくもないな」と感じました。次に演奏される「ラ・ヴァルス」との関連でこの曲を持ってきたのかな、と。第2部に入るとすべての楽器がリズムを刻みます この音楽を聴いて連想したのは、デヴィッド・リンチ監督「イレイザーヘッド」でした 映画全体を通じて一貫して流れる不気味な重低音 もしリンチ監督がこの作曲家を知っていたら音楽担当者に起用するのではないか、と余計なことを考えてしまいました タイトルの「静物」はアイロニーでしょう

最後の曲はラヴェル「ラ・ヴァルス」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875‐1937)が1919~20年に作曲し、同年12月12日にパリで初演された作品です 作曲年に要注目です 1919年は第一次世界大戦が終結した年です ラヴェルは戦争後の絶望感と母親を亡くした喪失感を抱えながら、戦争によって失われた古き良き時代への郷愁を 1855年頃の宮廷のウィンナ・ワルツに求め、その時代の栄光を再現しようとしたのでしょう

カンブルランのタクトで演奏が開始されます コントラバスの重低音から不気味なメロディーが奏でられ、次第にワルツが姿を見せてきますが、鈴木康浩、柳瀬省太率いるヴィオラ軍団の艶のある演奏はどうでしょう 素晴らしいのひと言です オーボエ首席の蠣崎耕三、フルート首席のドブリノヴをはじめとする木管楽器群の演奏も冴えていました カンブルランは歯切れのよいリズムと優雅なワルツを繰り返しながら、ボレロのような最後のどんでん返しに向かって突き進みます 躍動感に満ちた色彩感溢れる演奏でした

満場の拍手とそこかしこからかかるブラボーがステージ上のカンブルランと読響のメンバーに押し寄せます カンブルランは2010年から読響の常任指揮者を務めてきましたが、来年3月いっぱいで退任します この日の演奏を聴いて、あらためて 読響にとってカンブルランが如何に大きな存在だったかを再認識しました

 

     

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