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クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

青木やよひ著「ベートーヴェンの生涯」を読む~緻密な現地取材に基づく伝記の決定版~ますますベートーヴェンが好きになる / フルーツ・チャン監督「香港製造(メイド・イン・ホンコン)」を観る

2018年09月11日 07時14分35秒 | 日記

11日(火)。昨日は新聞休刊日で、朝日も日経も配達されなかったので、朝から読書がはかどりました 天気予報によると、東京では今週 涼しい毎日が続きそうです   いよいよ待望の秋の訪れでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で1440日目を迎え、自民党総裁選の本格的な論戦が10日始まり、安倍晋三首相(総裁)は「憲法の改正に取り組むべきときが来た」と述べ、9条改正に意欲を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                  1000兆円を超える国の借金をいつまで先送りするのか!?  怒れ 若者たち!     

 

         

 

昨日、夕食に「トマトと豚肉の重ね蒸し」「ミックスビーンズとハムとレタスとブロッコリのスープ」「冷奴」を作りました 「トマト~」は「NHKきょうの料理」の河野雅子先生のレシピです これまでは料理本5冊をとっかえひっかえ見ながら献立を考えていたのですが、先月にお盆休みで帰省した息子の影響で、ネットで検索して出来るだけ作ったことのない料理を作るようにしています まあ、失敗しても犠牲になるのは娘と自分だけなので気が楽です

 

     

 

         

 

昨日、神楽坂のギンレイホールでフルーツ・チャン監督による1997年香港映画「香港製造(メイド・イン・ホンコン)」(2017年 4Kレストア・デジタルリマスター版。108分)を観ました

舞台は中国返還目前の1997年の香港。母と二人で低所得者アパートに住む青年チャウは、弟分のロンを引き連れてある組織の借金取りを手伝っている ある日、チャウは取り立て先の家で同じような境遇にある少女ペンと出会う 飛び降り自殺した女子学生サンの遺書を偶然手にしたことを機に、3人の中で奇妙な友情が芽生え始めるが、その遺書に振り回される日々の始まりでもあった 家族を捨てて女に走った父親、両親が作った巨額の借金、弟分の精神未発達児ロンに対する容赦ないイジメ・・・こうした”荷物”を背負いながら、チャウは懸命に生きる。そして、いつしかペンに恋心を抱き始めたチャウは、腎臓病に侵されている彼女が余命わずかであることを知る チャウは彼女の命を守るため生まれて初めて銃を手にする

 

     

 

この映画は、新人監督のもと わずか5人のスタッフで始められた低予算映画ながら、地元香港で大ヒットを記録した作品です 主人公のチャウを演じるサム・リーが、崩壊する家族の中で もがきながら懸命に生きる姿を体当たりで演じています この映画を観て一番驚いたのは、3人の若者たちが自殺したサンの墓を探す場面で、チャウが墓石の屋根の上を次々と飛び移っていくシーンです 一般常識から考えれば、このような行為は故人に対する冒涜ではないかと思いますが、新人監督が 世の中の倫理観や世間の常識をぶち壊そうとする意志が伝わってきます そういう意味では、この作品は単なる青春映画ではなく、新しい時代を迎えようとする香港の将来を暗示しているように思います

 

         

 

青木やよひ著「ベートーヴェンの生涯」(平凡社ライブラリー)を読み終わりました 青木やよひさんは1927年静岡県で生まれ 2009年11月に死去しています。20代からベートーヴェンの研究に取り組み、1959年に世界で初めてベートーヴェンの「不滅の恋人」がアント―ニア・ブレンターノだとするエッセイをNHK交響楽団の機関誌「フィルハーモニー」誌上で発表し、ドイツの研究者によりそれが裏付けられるなど、国際的にも高い評価を得ています

 

     

 

音楽評論家の加藤浩子さんが巻末の「解説」で「本書は、目下のところ日本人の手によって書かれたベートーヴェンの伝記の決定版といえるものであり、著者のベートーヴェン研究の総決算である」と書いていますが、まさにその通りの傑作です  青木さんは半世紀にわたりベートーヴェンを研究し続けましたが、ただ座って文献を読むことに止まらず、あらゆる方面の一次資料に当たり、現地に繰り返し足を運んで実証を積み上げることによって、説得力のある研究結果を残したのでした

本書は、第1章「ボン時代のベートーヴェン」、第2章「ウィーン生活の光と影」、第3章「豊かな創造の時期」、第4章「栄光と絶望の『日記』」、第5章「人類へのメッセージ」から構成されていますが、本書の大きな特徴は、ベートーヴェンという音楽の巨匠の生涯を成長物語風に描いているので非常に分かり易いということです したがって、ただベートーヴェンがどこで誰に会ったかとか、いつ何を作曲したか、といった事実の羅列に止まらず、あらゆる資料の裏付けのもとに、その時ベートーヴェンは相手のことをどう思ったか、といった心理的なことも大胆に描写しています

この本を読むと、ベートーヴェンがどれほど自然を愛したかが良く分かります しかめ面をしたイメージが強いベートーヴェンですが、心を許した友人の間では冗談を言って笑い合う、ユーモアを解した人間味あふれる人物だったことが分かります

正直に告白すると、この本を読んで初めて、いかに自分がベートーヴェンの生涯や作品について無知だったかを認識させられました ほんの一例を挙げれば、ドイツ生まれだがロンドンでハープ製作者となったアンドレアス・シュトゥンプフトが1824年の夏に保養地バーデンにいたベートーヴェンを訪ねた時に、「これまでの作曲家の中で誰が一番偉大だとお考えですか?」と尋ねると、ベートーヴェンは即座に「ヘンデル」と答え、「モーツアルトは?」との問いに、「モーツアルトは優れているし、素晴らしい」と言い、そのあとでバッハの名もあげた・・・というエピソードが紹介されています

ベートーヴェンの作品への影響を考える時に、「フーガ」の使用をはじめとして J.S.バッハが一番偉大だと答えるはずだ と思っていた私には以外な答えでした また、モーツアルトで言えば、ベートーヴェンは「『ドン・ジョバンニ』の『手をとりあって』の主題による12の変奏曲」、「『フィガロの結婚』の『伯爵様が踊るなら』の主題による12の変奏曲」、「『魔笛』の『恋を知る男たちは』の主題による7の変奏曲」などを作曲しており、作曲家として一目置いていたと思われます その一方で、ヘンデルを考えると「『ユダス・マカベウス』の『見よ、勇者は帰る』の主題による12の変奏曲」くらいしか頭に浮かびません いったい、ベートーヴェンはヘンデルのどういう点を偉大だと考えたのでしょうか

このような 私にとっては未知のことが数多く書かれており、それを知るとますますベートーヴェンが好きになり、もっと多くの作品を聴きたい気持ちになってきます 相当のクラシック音楽愛好家でも、「この本を読まなければベートーヴェンを語る資格がない」と言いたくなるほどの傑作です 文庫本サイズなのでハンディで読みやすいです。強くお薦めします

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