人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

3つの「第3番」を聴く~東京ニューシティ管弦楽団第103回定期演奏会

2016年01月24日 08時40分52秒 | 日記

24日(日)。今朝5時に目が覚めて外を見たら家々の屋根に雪が積もっていたのに、7時過ぎに起きたら もう消えていました。雪もゆき止まりだったようです ということで、わが家に来てから483日目を迎え、土曜日の万歩計を確認するモコタロです

 

          

            土曜日にご主人は8953歩 歩いたようだ 僕は何歩かな?

 

  閑話休題  

 

昨日、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで東京ニューシティ管弦楽団の第103回定期演奏会を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「レオノーレ序曲第3番」、②同「ピアノ協奏曲第3番ハ短調」、③ブラームス「交響曲第3番ヘ長調」です ②のピアノ独奏は三舩優子、指揮は源田茂夫です。すでにお気づきのように、この日のプログラムは3曲とも「第3番」です

三舩優子と言えば、ピアニストというよりも、私などは2003年から08年までNHK-BSの「週刊ブックレビュー」の司会者としての方が親近感を覚えます あの番組は毎週楽しみにして観ていました。今は亡き児玉清さんなど週ごとに司会者が変わり、それぞれのパーソナリティーが楽しめる番組でした

 

          

 

1曲目のベートーヴェン「レオノーレ」序曲第3番はベートーヴェンの唯一の歌劇「フィデリオ」の4つの序曲のうちの1つです この歌劇は、ヒロインのレオノーレが男装してフィデリオと名乗り、政治犯として収獄されている夫を救出する夫婦愛の物語です。実際のオペラでは冒頭に「フィデリオ」序曲が演奏され、第2幕のフィナーレ前に「レオノーレ序曲第3番」が演奏されるのが一般的になっています

指揮者の現田茂夫がいつも通りタクトを持たずに登場し、さっそく演奏に入ります 途中、遠くの方でトランペットのソロが聴こえてきますが、これはステージ左サイドのドアの奧で演奏しています 演奏が終わるとドアが閉じられます。全体的にテンポ感良く雄渾なベートーヴェンが演奏されました

ピアノが左サイドからセンターに運ばれ、2曲目のベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番ハ短調」の演奏に備えます この曲はベートーヴェンが作曲した5つのピアノ協奏曲の中で唯一の短調の曲です。ハ短調というと彼の第5交響曲”運命”や第8番の”悲愴ソナタ”と同じ調性で、性格的にはドラマティックな曲想が特徴です ただ、この第3番の協奏曲に関しては、どちらかというと勇壮な曲想です

ソリストの三舩優子が黒のステージ衣装(ちょうど上のチラシのような)で登場し、ピアノに向かいます 第1楽章はオーケストラの提示部に続いてピアノが華やかに登場します。三舩優子の演奏は名前の通り優雅です カデンツァはベートーヴェンのものを弾きました。第2楽章「ラルゴ」は彼女の演奏の白眉です 私はベートーヴェンの曲を聴くとき、シンフォニーにしても、ソナタにしても、コンチェルトにしても、クァルテットにしても、緩徐楽章(アダージョ、ラルゴ)が一番素晴らしいと思います この第3番の協奏曲のラルゴも夢見るような美しさに溢れています。三舩優子はあくまでも美しく弾きます そして、間を空けずに第3楽章「アレグロ」の歯切れのよい演奏に移ります。彼女の演奏を聴いていると「ラルゴ」も良いけれど「アレグロ」も良いな、と思います

演奏後は大きな拍手とブラボーがソリスト・三舩優子と現田+オケに送られました

 

          

 

休憩後はブラームスの交響曲第3番ヘ長調です。この曲は1883年夏にライン河に近い避暑地ヴィースバーデンで完成され、その年の12月にハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルにより初演されました 第1楽章冒頭の雄渾なメロディーからか、「ブラームスの英雄交響曲」と呼ばれている、と何かで読んだ記憶があります

この曲の”聴かせどころ”は第3楽章「ポコ・アレグレット」です。『哀愁に満ちたロマンティックな曲』という表現はこの曲のためにあるのではないか、と思えるほどロマンに満ちた曲です その昔、フランス映画「さよならをもう一度」で使われたそうです。残念ながら私はまだ観たことがありませんが

この楽章で思い出すのは、もうかなり前のことですが、多岐川裕美がヒロインの女スリを演じたテレビ・ドラマがあり、そのテーマ音楽にこの曲が使われていました その時は、オーケストラではなくピアノ独奏で演奏されていました。北風の吹く中を多岐川裕美演じる女スリがコートの襟を立てて一人歩くシーンでこの曲が流れていました ピアノが彼女の哀愁を表しているようで、素晴らしい選曲だな、と感心しました

この楽章は特に素晴らしい演奏でした。第4楽章が静かに閉じた後、大きな拍手が送られました

東京ニューシティ管弦楽団は在籍楽員約70名で、在京オケの中で一番こじんまりしたオケです。芸術監督の内藤彰の方針により、同じ曲でも別の「版」で演奏するなど独自の演奏スタイルを築いてきました ただ、最近は他の在京オケと同じようなプログラムで演奏することが多くなってきたように思います ある程度”やり尽くした”感があるのかも知れません。しかし、多くのオーケストラがしのぎを削る東京圏で生き残っていくためには、他のオケにない特色がなければならないし、個々人の演奏能力の向上もなければなりません

 

          

 

私は現在このオケの定期会員ですが、来季のコンサート・ラインアップを見ると、7回の定期演奏会のうち一番の”ウリ”は11月の演奏会に世界的なピアニスト、クリスチャン・ツィメルマンが登場することです しかし、演奏するのはポーランドの作曲家クナピクの「ピアノ・ソロ、混声合唱、オーケストラのための協奏曲”ソング・オファリングス”」という現代曲(世界初演)です ツィメルマンをソリストに迎えることは他の大きな在京オケでも相当な覚悟がいることで、そのうえ現代曲を取り上げるということなので、「常に新しいことに挑戦する」という東京ニューシティ管弦楽団の意欲は伝わってきますが、これでどれほど定期会員を獲得できるのか、ちょっと心配です 

私としては、小規模ながら頑張っている東京ニューシティ管弦楽団を応援したい気持ちは大いにありますが、他の6公演のプログラムと演奏者(プログラムもソリストもロシアが中心か)も勘案しながら、来季も会員を継続するかどうか慎重に検討したいと思います

 

          

 

          

 

          

コメント (2)
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