人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

立川談春著「赤めだか」を読む~最近読んだ中で一番面白かった本

2016年01月30日 08時27分26秒 | 日記

30日(土)。昨日は昨年10月まで務めていたNPCの入居するビルの地下の飲食店に行き、久しぶりに同社X部長と同店のK社長と飲みました その後、X部長の学生時代の剣道部のマネジャーの知り合いが働いているSという新橋の小さいお店に行って飲み、その流れで同じビルのカラオケ・スナックMに行き歌いました 今日は朝から頭が朦朧としています。いつもと同じですが。ということで、わが家に来てから489日目を迎え、ファブリーズを話題に白ウサちゃんを口説いているモコタロです

 

          

           白ウサ:ファブリーズいらないから 自分を除菌しなさいよ!

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に「豚肉とピーマン、なすの甘酢炒め」と「生野菜と海藻のサラダ」を作りました 

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

立川談春著「赤めだか」(扶桑社文庫)を読み終わりました 立川談春は1966年東京生まれ。1984年に立川談志に入門、97年に真打昇進。2014~15年には落語家30周年記念落語会「もとのその一」で日本全国を周る。この「赤めだか」で講談社エッセイ賞を受賞している

 

          

 

結論から先に書きます。この本は最近読んだ本の中で一番面白かった本です

新聞販売所で働きながら、下宿から石神井の談志師匠宅に通った修行時代、何故か築地魚河岸に修業に出された時のつらい経験、兄弟弟子たちとの付き合い、高田文夫との交流、志らくとの相克、二つ目昇進試験とお披露目のための工夫など、4年に及ぶ前座生活が講談を聞いているようなテンポ感で生き生きと描かれています この人は信じられないくらい文章が上手い。この作品で講談社エッセイ賞を受賞したときに受けたインタビューで多く出た質問は「本当に自分で書いたんですか?」というものだったと言いますが、そう思われても仕方がないでしょう。彼は話のプロ『噺家』ではあっても、文章のプロ『小説家』ではないのですから

ためしに、一番最初の「『これはやめとくか』と談志は云った」を読んでみてください。高校中退で談志に弟子入りする前後の話が書かれていますが、最後の方に、談志がカレーを作る話が出てきます。シチューの残りをカレーにするという話です

師匠は「シチューにスパイスを入れればカレーになるんだ」と言って、らっきょ、柴漬、チーズケーキ、卵、小麦粉を入れていくのです。ここで一口味見して、黙ってしまう。そして今度は納豆のタレ、ケチャップ、ソース、黒豆、豆板醤、オイスターソース・・・・と次々と加えていくのです。そして かまぼこ を手に取って考える。そして「これはやめとくか」と言って笑った

こんな出鱈目なカレーは食べたくないと思いますが、それを食べた談春さんは「以外に美味かった」と書いています なんて師匠思いの弟子なんでしょうか。涙が出てきます

立川流は、談志師匠が落語協会から飛び出した関係で寄席を持っていません その立川流の二つ目になるための条件は①古典落語を50席覚えること、②その中から談志がアトランダムに選んだネタをその場で演じ、談志を納得させる出来であることの2つ 今「ためして合点」でお馴染みの兄弟子の志の輔は脱サラして所帯持ちの立場で、1年ちょっとで50席を覚え、断トツの成績だったといいます 談春は入門4年目、21歳で二つ目に、その9年後、真打に昇進しました

師匠の談志は個性が強く、そのため落語を聞く側は「好き」と「嫌い」に分かれる訳ですが、落語に関しては弟子に厳しかったようです また、この本を読むと、落語以外のことについてもいろいろと弟子に教えていたことが分かります。一礼を挙げると「嫉妬」について次のように語っています

「己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。しかし人間はなかなかそれができない 嫉妬している方が楽だからな。芸人なんぞそういう輩の固まりみたいなもんだ。だがそんなことで状況は何も変わらない。よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う

談志師匠は素晴らしい人ですが、その言葉を頭に叩き込んで、文章で再現できる談春さんも素晴らしいと思います

この作品は昨年TBSで放映されたそうですが、本で読んだ方がよほど面白いと思います。テレビで観た方にも強くお薦めします

コメント
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