19日(火)。わが家に来てから478日目を迎え、空腹が我慢できず昨日の夕刊をかじるモコタロです
昨日は都心で雪が降ったんだって? 雪ずりの・・・・
閑話休題
昨日は、夕食に「メカジキのソテー」、「生野菜とワカメと白すのサラダ」、「インゲンのお浸し」、「トン汁」を作りました。ワカメと白すは池袋ショッピングセンターのN水産で手に入れたもので、新鮮です
も一度、閑話休題
昨夕、上野の東京文化会館小ホールで「室内楽の夕べ~バロック音楽の素敵な世界」を聴きました この公演から「2016都民芸術フェスティバル」室内楽シリーズがスタートしました。プログラムは①テレマン「四重奏曲」よりソナタ第2番ト短調、②バッハ「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ・ホ短調BWV1023」、③ラモー「クラヴサン・コンセール第5番ニ短調、④テレマン「忠実な音楽の師」よりチェロ・ソナタ ニ長調、⑤ブラヴェ「ソナタ第2番ニ短調」、⑥テレマン「パリ四重奏曲第2番イ短調」です。演奏はフルート=有田正広、ヴァイオリン=桐山建志、チェロ=山本徹、チェンバロ=曽根麻矢子です
自席はE28番、右ブロック左通路側です。会場は7~8割くらいの入りでしょうか。雪は上がったものの足元が悪い中、よく集まりました
ステージに登場した4人の奏者を見て「おやっ?」と思いました というのは4人とも古楽器奏者として名の通ったプロなのに、持っている楽器が一見モダンだったからです
ヴァイオリンはガット弦の古楽器か現代楽器か見た目は分かりませんが、有田の持つフルートは木製のフラウト・トラヴェルソではなく、金ぴかの金管のフルートで、チェロもエンド・ピンが付いているので、現代楽器のように見えます。古楽器の場合はエンドピンがないので、チェロを又に挟んで演奏します
この日の演奏曲目と演奏者を見れば、ある程度クラシックを聴き込んだ人なら「ほぼ間違いなく古楽器で演奏するはず」と思って聴きに来ているはずです
そういう意味で、演奏を聴く前から、意外な光景にちょっと驚きました
1曲目はテレマンの「四重奏曲」から「ソナタ第2番ト短調」です。テレマンという人は、バッハやヘンデル(この二人は同じ1685年生まれ)より4年先輩に当たりますが、1721年に40歳でハンブルク市の音楽監督に就任してから死去するまでの46年間を当地で過ごして名を馳せ、多くの作品を残しました このソナタは1730年にハンブルクで公刊された「6つの四重奏曲」の中の1曲で、フラウト・トラヴェルソ(フルート)、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ(又はチェロ)、通奏低音(チェンバロ等)によって演奏されます
第1楽章「アンダンテ」、第2楽章「アレグロ」、第3楽章「ラルゴ」、第4楽章「アレグロ」から成ります。演奏を聴いている限り、ヴァイオリンは古楽器で演奏しているように思えました。響きが柔らかいというか、包括力があるような気がしました
2曲目のバッハ「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ」は、ワイマール時代(1714年~17年)に書かれたと推測されています。第1楽章「プレリューディオ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・タント」、第3楽章「アルマンド」、第4楽章「ジーグ」からなります 第1楽章冒頭はヴァイオリンによる速くて しかも息の長いパッセージが続きますが、桐山建志は気迫に満ちた素晴らしい演奏を展開しました
久しぶりに彼の演奏に接しましたが、今までは、おとなしい演奏家くらいにしか思っていなかったのが、今回の演奏を聴いて考えを改めました
3曲目はラモー「クラヴサン・コンセール第5番」です。突然ですが、ここで共通一次試験を出します。「クラヴサン」はフランス語ですが、英語とドイツ語では何と言いますか?・・・答え:英語で「ハープシコード」、ドイツ語で「チェンバロ」です
4人の並びが変わっています。向かって左サイドにチェロ、その右にチェンバロ、ステージ右サイドにフルートとヴァイオリンが並びます 第1楽章「ラ・フォルクレ」、第2楽章「ラ・キュピ」、第3楽章「ラ・マレ」から成ります。第1楽章は速いパッセージがフルートなしで演奏されます。第2楽章は4人でゆったりした音楽が演奏されます。第3楽章は愉悦感に満ちた音楽が展開します
休憩後の最初はテレマンの「忠実な音楽の師」より「チェロ・ソナタ」です。テレマンは貴族のために「ターヘル・ムジーク(食卓の音楽)」を書く一方、一般庶民のために「忠実な音楽の師」を作曲しました その中の唯一のチェロソナタがこの曲です。曽根のチェンバロの柔らかい響きをバックに山本のチェロが気持ちよく演奏されます
次の曲はブラヴェ「ソナタ第2番」です。フルート、チェロ、チェンバロによって演奏されます 作曲者のブラヴェは1700年生まれでパリで活躍したフルート奏者でした。したがって「ソナタ」というのは実質的にフルート・ソナタのこと。有田のフルートが自在に活躍します
最後はテレマン「パリ四重奏曲第2番」です。テレマンは1737年に8か月に及ぶパリ旅行を挙行しますが、その時にパリに持って行ったのが6曲から成る「パリ四重奏曲」です 急ー緩-急ー緩ー急ー緩の6楽章構成を取りますが、1曲1曲が短いので一つの変奏曲を聴いているような感じです
大きな拍手に、曽根が4人を代表してあいさつをしました。最初に「テレマンのパリ四重奏曲を演奏しました」というようなことを多分フランス語で言いました 続けて日本語で何か言ったらしいのですが、最後の「それではアンコールを演奏します」しか聞こえず、その前の部分は早口で声が小さかったのでほとんど聞き取れませんでした
前から5列目で聞き取れないのですから、後ろの方の席の人はなおさらチンプンカンプンだったでしょう
音楽家ならホールの音響特性を理解しているはずで、小ホールとはいえ広い会場で多くの人に話しかけるのですから、大きな声でゆっくリと話すべきです 演奏内容は良いのに、こういう極めて初歩的なことが理解できていない演奏家が少なくないのは残念なことです
もちろん、コンサートは演奏がメインなので「演奏さえ良ければすべて良い」のですが、せっかくあいさつをするのなら、聴衆に伝わるように話すべきだと思います