人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

秋山和慶+小曽根真+東響でショスタコービチ「ピアノ協奏曲第1番」他を聴く~第637回定期演奏会

2016年01月18日 07時21分49秒 | 日記

18日(月)。わが家に来てから477日目を迎え、マガジン・ラックから顔を出しておやつをねだるモコタロです

 

          

 

  閑話休題  

 

16日(土)午後6時からサントリーホールで東京交響楽団の第637回定期演奏会を聴きました プログラムは①ヒンデミット「ラグタイム」、②ケルチェック「トランペット・ダンス」、③ショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第1番ハ短調」、④同「ジャズ組曲第2番」です。②のトランペット独奏はマティアス・ヘフス、③のピアノ独奏は小曽根真、指揮は秋山和慶です

 

          

 

昨日のブログにも書きましたが、風邪気味で最悪の体調のままこのコンサートに臨むことになりました おまけに、映画を観てから一旦家に帰った関係で夕食を取る時間がなかったので空腹のまま聴くことになりました 根性で音楽に耳を傾けました

オケがスタンバイします。この日のコンマスは水谷晃です。1曲目のヒンデミット「ラグタイム」は、ドイツ生まれの作曲家が「もしバッハが1920年代に生まれていたらどんな曲を作っていただろうか」という考えのもと、当時流行していたジャズ・ダンスなどに敬意を表しただろうと想像して作曲したものです たったの5分足らずの短い曲ですが、バッハの平均律のテーマをもとに賑やかな音楽が展開します。ひとことで言えば「喧騒」です ヒンデミットがこういう音楽を作っていることが新鮮でした

2曲目はドイツ出身で現在ハンブルク音楽演劇大学のジャズ科教授を務めるケルシェックが2013年に作曲した「トランペット・ダンス」です ステージを見ると、指揮台の傍らに置かれた椅子の上にトランペット(コルノ・ダ・ガッチャ)と消音器が置かれています。指揮者・秋山和慶が登場しますが、肝心のソリストが登場しません 第1楽章が始まり、しばらくするとバック・ステージの方からトランペットの音が聴こえてきました しかし、まだソリストは登場しません。さらに曲が進むと、やっとステージ左サイドからヘフスがトランペットを吹きながら登場しました この曲は4つの楽章から成りますが、かなりの超絶技巧曲です。ヘフスのために書かれた曲というだけあって、何の苦も無く鮮やかに演奏します

 

          

 

休憩後の最初はショスタコーヴィチ27歳の時の作品「ピアノ協奏曲第1番ハ短調」です 「ピアノ協奏曲」というとバックを務めるのは管弦楽を思い浮かべますが、この曲はトランペットと弦楽器のみです。正式な名称は「ピアノとトランペットと弦楽オーケストラのための協奏曲ハ短調」です。東響の「Symphony」1月号の曲目解説には「ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲」と書かれていますが、これは誤りです。次号で訂正してほしいと思います

ソリストの小曽根真が指揮者とともに登場し、グランド・ピアノに向かいます。トランペットのへフスは指揮台の右サイドにスタンバイします。この曲は4つの楽章から成りますが、続けて演奏されます 第1楽章の最初からショスタコーヴィチらしく、人をおちょくったようなパッセージが演奏されます 一方、第2楽章や第3楽章では、これもショスタコーヴィチらしい何とも言えない美しいメロディが奏でられます 第4楽章では軽快で速いパッセージが展開し、フィナーレになだれ込みます

全体を通して小曽根真の演奏を見ていると、時に、右足でペダルを操作しながら、左足で床を踏んでリズムを取っています そして両手から紡ぎ出される音楽を聴いていると、まるでジャズで言う「インプロヴィゼーション」(即興演奏)を聴いているような気分になってきます 明らかにこれはクラシックのピアニストによる演奏とは違うアプローチです。もしショスタコーヴィチが生きていて彼の演奏を聴いたら拍手喝さいを贈ったでしょう

演奏後は拍手とブラボーの嵐でした 小曽根は自らピアノの蓋を閉じて、「ほら、こうすればピアノの蓋で見えなかった秋山さんと演奏者の皆さんの姿が見えるようになるでしょ」と言わんばかりです。これに対しても大きな拍手が送られました。鳴りやまない拍手に、アンコールに移るのですが、彼はピアノの蓋を再び開けなければなりませんでした そして彼自身の作曲による「マイ・ウィッチズ・ブルー」をノリノリで演奏し、大きな拍手を受けました

さて最後はショスタコーヴィチの「ジャズ組曲第2番」です。1950年代に作曲されましたが、正式な名称は「ステージ・オーケストラのための組曲」で、「ジャズ」という言葉は入っていません 作曲家自身の映画音楽などから抜粋した8つの曲から成っています

「行進曲」は、まるで晴天下で開かれる運動会のブラスバンドの行進曲です 「第1ダンス」はスピード感があり、これではダンスは出来ないでしょう 「第2ダンス」は舞曲に相応しい曲です 「小さなポルカ」はホイリゲ(ドイツの居酒屋)で演奏されるような陽気なポルカです 「抒情的なワルツ」はサックスとアコーディオンが活躍するメランコリックな音楽です 「第1ワルツ」はチャイコフスキーのワルツを思い起こしました 「第2ワルツ」は確かにどこかで聴いたようなメロディが流れます そして最後の「フィナーレ」は軽快な音楽で幕を閉じます

この日のコンサートの一番の収穫は、小曽根真の演奏です 彼は最近、クラシック界にも積極的に進出していますが、バークリー音楽大学ジャズ作・編曲科を首席で卒業したという実力は、クラシック音楽にも十分通用しています。素晴らしいアーティストです

 

          

コメント
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