トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

レッテル

2006-01-24 15:37:51 | 日記
息子の歯茎が腫れ気味である
歯医者さんに行ったけれど歯ブラシで様子を見ましょうと言うことだった

夫の家系はシソーノーローだ
「父親譲りかな」と言いかけてやめた

私は小さい頃から体が丈夫じゃなかった

母は「栄養はお姉ちゃんに全部あげちゃったから、残ったカスで、育ったからあなたは体が弱いんだね。」とよく言われた

何かある度に「母さんの悪いところばかり貰って来ちゃったんだね。」と言われた

姉はとにかく丈夫だった。風邪1つ引かない。
そして器用だった。家庭科、図工は本当に上手だった

母が「丈夫なところも、器用な所も父さんのいいところも全部お姉ちゃんにいっちゃたんだね。あんたはカスばっかりだから、悪い所だらけだね」と言っていた

それはいつしか私のレッテルとなった

悪いところばかり受け継いだ
だから何をやっても駄目なんだ

姉はよく母の台所に立っていた
ある日柿の皮を剥いていた

柿は程よく熟れていて剥きやすそうだった
私にも出来そうな気がした
「私にも剥かせて」と頼んだ
母は「出来るの?」と言って柿とナイフを渡された

とても剥きやすい柿だった
得意げに剥いて見せた
スルスルと皮が剥けていった

母が「全部身が無くなっちゃいそうだね。」と言って大笑いした

皆も笑った。
「あんたの不器用は母さん譲りだね」と言って皆が笑った

凄く悲しかった
母さん譲りは治らないんだ
もう持って産まれてしまったんだから、弱い体も、不器用なこの手も治らないんだと絶望した

別の部屋へ行って大声で泣いた
「馬鹿じゃないの」と皆が言って笑った

それから私が台所へ立つことはなかった
図工も家庭科も興味が沸かなかった

やっても結果ばかりにこだわってしまうので上手くいかなかった

出来上がりの人の評価ばかりが気になるのだ

結婚した頃私は本当に料理が出来なかった
正直言うと市販のカレーすら作れなかった

忘れられないのが結婚して2週間位経った頃すき焼きを作った
なべに材料を入れて市販のたれをまわし掛けるだけだった

すき焼きの嫌いな夫が「初めて料理を食べた気がする」と言った
何とかしなきゃと思ってそれからいろいろ勉強した

今までのつけは大きかった
ジャガイモの皮すら剥けないのだから

なんにしてもレパートリーのなさには本当に悩んだ
パートにでてそこのおばさん達に随分教えてもらった

野菜の茹で方から、魚のさばき方まで教えてもらった
少しはましになったかなと思った頃姑が倒れた

義理両親の家へ通う日が始まって嫌でも料理を作らなければいけなくなった

酒のつまみから、煮物、義理両親達は味にうるさかった
「美味しいよ」と言いながら気に入らなければ
「ほら、ちっこさんが作ってくれたんだから爺さん食べなさい」と義理父さんにお皿を押し付ける

「お前食えばいいだろ」とまたお皿を返す

最後は「そうだ持って帰りなさい」と包むように強制された

本当に屈辱的だった

いつも「どうせ不器用だし。母譲りだから」と思っていた

娘の出産と共に、母からシャトルシェフ鍋というのをプレゼントされた
煮込み料理など、ある一定の時間火にかけると後は保温鍋に入れておけば出来上がるという優れものだった

義理両親の家を行ったり来たりして時間のなかった私には実にありがたい代物だった

それで作るシチューやおでんは味がしみてすごく美味しく出来上がった

角煮など肉が溶けるほど柔らかくなって自分で作ったとは思えないほどだった

母が自分のために買ったディナーパンというフライパンが重過ぎて使えないと言って私にくれた

これもまた良く熱がいきわたり揚げ物など半分の量でもカラっと揚がる
チャーハンなどいつもべチャべチャで夫に
「犬も食べないような飯」と言われて馬鹿にされていたが
ご飯がパラパラとほぐれて「お店のみたいに上手い」と言われた

息子も頻繁に「美味しい。お母さんのご飯は美味しい」とよく言ってくれるように
なった

人間とはなんと単純なものなのか
鍋が作ってくれたような物だが美味しいと言って貰えると
いろいろ試して見たくなる

料理のサイトも良く覗くようになってレパートリーも随分増えた

夫がたまに言う
「あのすき焼きから随分進歩したなぁ」って・・・

「生まれつき」なんて誰が決めたのだろう
失敗するたびにこの言葉を植えつけられたら一体何を信じて頑張ればいいと言うのだろう

親の一言で子供は左右されてしまう
1度でも自分自信に張ってしまったレッテルはなかなか剥がれない
私はこの歳まで自分は不器用だと思い込んできた

最近は料理の他にフェルトで作るケーキに凝っている
友達に器用な人がいて教えて貰っている
刺繍も始めた

やってみると自分がこういう作業が好きだったのだと気がついた

今は出来上がりにこだわる事もなくなった
失敗すればまた次に頑張ればいいのだ

不思議なのはこの感情を植えつけた母親が
この思い込みから抜け出すきっかけとなったお鍋を
プレゼントしてくれたと言うことだ


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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
そっくりです。 (ヤンマー)
2006-01-25 02:07:13
私の生い立ちにそっくりですよ。

私も実の親にレッテルを貼られて育ちました。

ですから、劣等感の塊です。



「お前はセンスがない」

「何やってもダメだ」

「妹をみてみろ」

ひとつ下の妹とよく比べられました。

「お前はブスだ」

「お前をもらう人いるか?」

とまで言われましたよ。

結婚する時も「妹の方が先と思ったんだけどね、あんたもらう人もいたんだね」というお祝い?の言葉をもらいました(笑)

ですから、わざと馬鹿をやりました。(家が暗いのでそれを払拭する意味もあったんですが)

馬鹿にされる役なので、ダメダメと言われる役なので、わざと馬鹿な真似をやっていましたよ。

するとですね

「精神病院に行け!」と言われました。

レッテル貼ったのにさらなるレッテルが・・・です。



今は思います。

うちの親もレッテルたくさん貼られてきたんだろうなって。

自分よりも弱い立場にあるものに、レッテルを貼ることで、自分のレッテルをみない様にしていたのかもしれません。

今も変わらずレッテルを貼ろうとする和が両親ですが、「お前はセンスがない」と言われても「だからね~センスはないけど、やる気は充分だよ」と返せるようになりました。

レッテルに怯えていたのは自分自身であったと気付いたからなんです。

レッテルを勲章に変えるくらいの、究極の捉え方に変えようと思っているんです。

うまくいえないけれど・・・。



ちっこさんの学びは私にとって、心強い存在です。

ちっこさんのひたむきさが、私にレッテルに負けるな!と後押ししてくれているんですよ。

相互依存・・・ありがとう。

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認めること (nao)
2006-01-25 04:37:37
子育てをするにあたり、

「褒めて育てる」とゆうことをよく聞きます。

以前の私は褒め上手ではなかった。

そんな余裕も無く子育てをしていた気がします。



バスケのコーチをするようになって、

「褒めて育てる」が子供にやる気を持たせることができると実感しました。

褒めた中に要求を混ぜる・・・といった感じ。

叱っても、他のところで褒める。

子供って純粋な分、呑み込んでしまう。難しいです。



お母様からのプレゼント。

そのお鍋で家族の為に、自分の為に料理をするちっこさん。おいしいと食べるみなさん。

温かい家族の姿が目に浮かびます。





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ヤンマーさんへ (ちっこ)
2006-01-25 08:35:44
親の何気ない口癖が子供の心に植えつけられていく



「生まれつきなんだ」って言われたら本当に絶対変われないんだっていう絶望感に変わりますよね



いい生まれつきならいいけれど否定的なのは本当に子供に言ってはいけないと思いました



自分で張ってしまったレッテルはいつしかそのレッテルに頼るようになってしまうんですよね



「どうせ生まれつきだから」って・・

悪循環ですね



ヤンマーさんもその矛盾に気がついて自分のレッテルをバネに頑張っているんですね



レッテルになんて負けちゃ駄目ですよね。

あんなの親が憂さ晴らしに言っただけなんですからね。



ただ言っただけで意味のない事なんですからね

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naoさんへ (ちっこ)
2006-01-25 08:41:04
子供っていろんな事を教えてくれますよね



叱っても褒めることも忘れない

褒めながら大事なことも伝えていく

大切な事ですね。

私も忘れないようにしなくちゃ



物を教えると言うことは本当に大変な事だと察します



naoさんに出会えた子供達はきっといろんな事を学んで行くんでしょうね



頑張ってください

応援してます
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視力はいいほう (ちまり)
2006-01-25 16:22:42
昔から2.0でした。(^o^;年とって、夜の運転眼鏡かけたりする程度。



ちまりには、ちっこさんに貼\られてるという、レッテル見えないヨ(・・?)



レッテル

もうすでに、はがレッテル(^^ゞ



ちっこさんが、今ここにいる。その存在が尊いのです(^ε^)-☆Chu!!
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ちまりさんへ (ちっこ)
2006-01-25 17:30:01
上手い!



座布団があっちからもこっちからも飛んできていますよ



笑ってしまいました



ちょっと恐い出来事の後だったので

ちまりさんのコメントみて落ち着けました



ありがとう
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こんいちは~ (妙子)
2006-01-26 07:57:30
ちっこさんのことはゆうちゃんのところにいらしてた頃からずっと存じていますが、ちっこさんのブログにお邪魔するようになったのはつい最近の事です。

おじゃましますね~



共時性というか、似たようなタイトルで私も書いていたのです。

ただ、私の発言は「強く」て、「怖か~(博多弁)」なので、おそろおそろ(これも博多弁)訪れる方が多いのですけど(笑)



また寄らせて下さいね。

ちょっと小声ですが、応援していますよ~♪

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こんにちは~でしたね(笑) (妙子)
2006-01-26 08:00:55
こんいちは~は、博多弁ではなくて、単なる文字抜けです。ああはずかしい。

こんにちは~でしたね。

でも、まだ朝なんだけど(笑)

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妙子さんへ (ちっこ)
2006-01-26 13:55:59
初めまして



どこかでお見かけしたようなと思ったら

ウメさんのところでしたね



博多も私のとっても興味のある街です



応援していただけて嬉しいです



私も妙子さんのブログ興味あります

ぜひお邪魔させてくださいね



よろしくお願いします





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