トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

障がいを受け入れる

2009-11-27 22:52:58 | 
『ばたん!』と大きなドアの閉まる音と共に息子が部屋に閉じこもった。

『帰ったの?』と部屋を覗くと息子は
呆然とした顔をしてベットに座り込んでいた。

『どうしたの?なにかあったの?』

『やばい事になった』

『何があったの?』

『友達と歩いていたら知らない中学生とすれ違って、俺が喋っていた事を
自分達の事だと勘違いして『俺らになんか言ったか?』って聞いて来たんだ。

俺『違うよーー。』って言ったら
『なんだ、テメー。敬語しらねーのか?』っていきなり怒り出して
なんかわかんないけど『謝れ!こらっ!』って自転車とか蹴ってきて

『ごめんなさい』ってすぐ謝ったら『気をつけろこら!』って行って
帰りかけたんだ。

そしたら友達が俺に『あういう時はすぐに謝んないと駄目なんだよ』って言って
それが聞こえたらしくてまた戻ってきて
『なんか文句あんのか?』ってすごい怒り出して

暗がりに連れて行かれて友達が投げ飛ばされたり、引きずられたりして、
俺は他の4人に囲まれて逃げられないようにされて。。。

結局、その中の1人が止めに入ってくれたらしく、息子は怪我はなく開放されたらしいが、とても恐ろしかったといって
一通り話し終わると大声で
『恐かったよーー』と泣き出した。

すぐに一緒にいた友達のお母さんに連絡すると
『そうらしいですね。でもそれほど怪我もしてないみたいですよ』とのんびり答えた。

結局、次の日に先生に連絡して、子供達にも注意を促す事などで様子を見ることとなったけれど、この事で私は息子は障害があるのだと悟った。

息子は最近道路で信号を待っている時自転車で歩道を塞ぐように待ってしまったり
して通りがかりの大人に『そんな止め方をしたら危ないだろ!』と言われ
『ただ、待ってるだけなのになんで怒られるんだ?』と怒られる意味が分からず
ムッとすると大人も生意気な中学生に見られもっと怒鳴ってくる。

マンションの住人が後ろから入ってきているのに目の前でドアを閉める。
『私が後ろから来てるのになぜドアを乱暴に閉めるの?』と怒る
『俺はドアを閉めただけなのになんで怒るんですか?』と聞くと
『危ないでしょ』と延々と怒られたと興奮して帰ってくる。

友達と話がしたかったんだと言って毎日その子の帰り道に待ち伏せしていたら
『ストーカー!』と呼ばれて嫌われたと泣いて帰ってくる。

そして今回の中学生の事件。
いかにも怪しげな中学生に話しかけられたら、身を守るために敬語を使うはずなのにタメ口を聞いたために怒りを買ってしまった。

全てはその場の空気が読めない。
社会性がとても遅れているのだと気づかされた。

そして、なによりショックだったのは一緒にいた友達は
過去にうちから大量にゲーム機とソフトを盗んだ子供だった。

最近、クラスの子供たちとの距離が縮まらず広がるばかりで、
クラスの子も息子さんをいつもあざ笑うような物の言い方をするし、
息子さんも一度嫌った生徒からは普通に話しかけられても、感情的に
怒鳴ったり、無視したりして全くクラスに馴染めません。と電話がかかってくるようになった。

先日は先生にも口答えをしたらしく先生も扱いに戸惑うばかりという感じだった。

息子には居場所が無いんだ。
だから、嫌いだった友達とでも遊んでくれるなら一緒にいるしかないんだ。

私が心配するから、全く違うクラスの知らない子の名前を使って
『新しい友達ができた』と言ってその子と遊んでいた。

その子とフラフラ夕方の街をうろついていて今回のような事に巻き込まれてしまったのだ。

社会性が身につかない息子。
今までもひとつ、ひとつ私が説明して諭してきた。
でも限界があるのだ。

息子には息子にあった支援が必要なのだ。

それこそが息子の障害だったのだ。

もしこのままにしていたら、息子はのちに人に要らぬ誤解をうけ、
恨まれたり、騙されたり、傷つけられたりすることだろう。

頭では障害と分かっていたけれど、本当には分かっていなかった。

『社会でいかに長く働けるようになれるかが大事なんですよ』

全てはそういう事だったんだなって改めて思う。

まるで、喉に詰まっていた何かがストンと落ちていくような気分だった。

障害を受け入れてようやく息子がよく見えるようになった気がする。

お兄ちゃん、お母さん全然分かってなかったね。
とても恐い思いをさせてしまったね。
ごめんね。


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