トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

一言の力

2006-05-29 15:50:44 | 
今年の初めの事
私は初めて夫に自分の気持ちを伝えた
「私はあなたに嘘をつかれる事が1番嫌いなんだ」

その時の夫の顔を今も忘れられない
不意打ちを食らったような初めて私という人間を見たような
そんな顔だった

15年夫と暮らして沢山の言葉を夫に吐いた
夫が嘘をつく度に、借金が発覚するたびに、私は夫を罵り、説得し、人間とはと正論を並べ立ていかに夫が駄目なのかを吐きつづけた

でもその言葉の中に自分の気持ちは入っていなかった
自分は嘘をつかれてどう感じているのか
自分は借金が分ってどう思っているのか
それを伝える事はなかった

自分の気持ちを伝えたら「そんな事・・・」と言われて自分を否定されてしまうかもしれない
夫に言葉の揚げ足を取られて自分が悪者にされるのを防ぐ為だった
自分を主語にしなければ夫にも付け入る隙を与えないですむからだ

そんな風に沢山の鎧をつけた言葉は夫に届く事はなかった
アダルトチルドレンの夫は自分に不利な状況になると心閉じてしまう術を身につけていた

私が「貴方は何を考えているの・・・」と言葉が始まった途端夫の思考回路は止まる
どうやってこの状況を乗り切ろうそのことばかり頭に浮かび
嵐のように過ぎ去るのをただ神妙な顔と「ごめんね。すいません。もうしません」を無意識に羅列するだけだった

だまって聞いていればいつか私が疲れて諦めるだろう
言いたいだけ罵りたいだけ言えばきっとすっきりして許してくれるだろう
自分は心を閉じていれば傷つくこともない
そんな風に思っていたのかもしれない

私は罵りつかれ諦め最後にはうやむやに許してしまう事を何度も繰り返した
その不毛な事を私は年明けのあの時から止めた(家政婦と会ってに書いてある)

その時を境に坂道を転げるように次々と色々発覚しだした
年末から一ヶ月たって今度は家のカードからお金が引き落とされていた
その時もたった一言
「私は勝手に家のお金を使われるのは嫌だ」と伝えた
何に使ったのかも、どうして黙って使ったのかも聞かなかった

その時の夫の顔を忘れられない
唇が斜めにゆがみ、苦しいような、泣きたいような顔
罪悪感を感じたとき人はあんな顔になるのかもしれない

後はブログに綴ったようにカードが使えなくなって
借金の請求書が来て350万の借金の発覚となった

私は借金が発覚した時、離婚か否か
会社もリストラされとにかく何もかもが混乱の時に
私が夫に対して使った1番多い一言が
「ありがとう」だった

黙って借金されて、嘘をつかれて、傷つけられてボロボロだったのに
ありがとうもないかもしれない
でも私は夫に伝えたかった

私は夫に対して「ありがとう」と言いたかった

今まで夫にありがとうと言ったことがあまりなかった
夫が離婚を前向きに考えてくれた時も
「真剣に考えてくれてありがとう」

何かを手伝ってくれた時も、「ありがとう」
借金の総額を言われた時も
「本当の事を言ってくれてありがとう」だった
7枚もの隠していた消費者金融のカードを持ってきたときも
「私に見せてくれてありがとう」

その度に夫は泣いた
その時その時に1番自分が感じた事を伝えた
自分はどう感じているのかを伝えた

たった一言
「ありがとう」それが1番多く感じた事だった

ありがとうと伝えるたびに夫の顔から毒が消えていった
前は夫の顔を見る事ができなかった
なぜだか分らないけれど目を合わす事すら嫌だった
生気を吸い取られそうな気がしたものだ

今は夫の目を真っ直ぐに見て話せるようになった

私は夫に話すときに夫がどう感じるかを考えるのを止めた
私は気持ちを伝えるだけでいい
それを夫がどう受け止めるかは夫次第だから

伝わろうと伝わらなかろうと私には関係ない
私は気持ちを伝えたという事実だけを積み上げていこうと思う

それはほんの一瞬。
夫の心が閉じてしまうほんの数秒の間に伝えればいい
それはどんな我儘な気持ちでもいい

貴方がいて私は今こう感じています
そう夫に語り続けたい



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2 コメント

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心の声ですね (nao)
2006-05-30 05:29:46
自分の気持ちを伝える勇気が持てず、

私は大切な人を失いました。

本心を伝えても失ったかもしれない。

でも、伝えなかった事でいつまでも引きずり

その人に関しては前に進めずにいます。



そんな思いをしてから

私は心の声を聞くようにしています。

そしてそれを伝えたり、実行したり。



二度とあんな思いはしたくないです。



『ありがとう』

良い言葉です。



そういえば必ずちっこさんは

『ありがとう』をくれますよね。



ちっこさん、いつもありがとう・・・
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naoさんへ (ちっこ)
2006-05-31 10:14:33
私は夫を責めることで自分の気持ちが伝わると信じていました



でもそれは自分の驕りでしかありませんでした



自分の気持ちを伝えるのはとてもシンプルなものなのだと感じます



いつも私のブログに向き合ってくれるnaoさんの気持ちが嬉しいです

ありがとう

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