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ケラトサウルス1


 ケラトサウルスはジュラ紀後期に北アメリカ、アフリカなどの地域に生息した獣脚類で、1884年にマーシュにより記載され,1920年にギルモアによって再記載された。長年にわたり単一の種ケラトサウルス・ナシコルニスのみが認められていたが、2000年にマドセンとウェレスによって2つの新種が記載された。ユタ州クリーブランド・ロイド発掘地から発見されたケラトサウルス・デンティスルカトゥスと、コロラド州西部から発見されたケラトサウルス・マグニコルニスである。
 ケラトサウルス・マグニコルニスは、部分的に関節したほとんど完全な頭骨を含む保存のよい骨格がみつかっている。頭骨はナシコルニスのそれと比べて、全体にがっしりしていて、より長く丈が低い。上顎骨は長く,その下縁はより丸くカーブしている。上顎骨には13本の歯があり、ナシコルニスよりも長く太い。上顎骨の鼻骨突起には洋なし形の穴maxillary sinusがある。涙骨の角は半円状で、周縁部に放射状の溝が走っている。鼻骨の角はナシコルニスよりも前後に長く,やはり放射状の溝がある。前上顎骨には3本の歯があり、梯形に並んでいる。ケラトサウルスの特徴として前上顎骨歯と最初の3本の歯骨歯には、歯の内側(舌側)に縦の溝がある。下顎の歯骨は上向きにカーブしていて下顎の先端が丸くなっている。(このマグニコルニスの歯骨については、全般的特徴の項には具体的なことが書かれているのに、個々の骨の詳細な記載の項にはなく、図版もなく、最後の標本リストにもない。どういう事情なのだろうか。)
 ケラトサウルス・デンティスルカトゥスは3種の中では最も大型で、肋骨や血道弓なども含む全身の骨が発見されている。ただし頭骨については前上顎骨、上顎骨、方形骨、方形頬骨、歯骨、角骨、板状骨など、上顎と下顎周辺の骨しかなく、涙骨や鼻骨が見つかっていないので角の正確な形状はわからないはずである。ケラトサウルス・ナシコルニスでは脊椎に沿って、皮骨の小塊dermal ossicleが並んでいたとされ、2つの新種でもこの皮骨の小塊がみつかっている。
 1925年にヤネンシュは、タンザニアのテンダグルから発見された断片的な標本をもとにケラトサウルス・レヒリンギを報告したが、マドセンらは種レベルの同定はできないとしてケラトサウルスの一種(Ceratosaurus sp.)としている。この方形骨の大きさはマグニコルニスの倍近くもあり、また特徴的な縦の溝のある歯も見つかっていることから、アフリカにはケラトサウルスの大型種が生息していたことは確かであるという。
 ケラトサウルスは眼の上、鼻の上に角をもち、短剣状の歯は長い、背中に皮骨が並んでいるなど、けっこう派手な肉食恐竜といえる。ナシコルニスでは鼻骨の角がわりと尖っているようであるが、マグニコルニスでは丸みを帯びている。骨芯の上に皮膚の角質が覆うので、生体復元では骨芯よりもかなり大きく見えるわけであるが,骨芯が丸いので角質も丸みを帯びた感じにしておいた。ケラトサウルスは上顎の歯がかなり長い。最も長い何本かは抜けかけの状態かもしれないが、実際に歯が上顎についた状態で見つかっているのであるから、そのように復元しなければならないだろう。これをどの程度上唇で覆うかで印象が変わってくる。アロサウルスでいわれているように、捕食に際してサーベルタイガー的な使い方をしたのであろうか。

参考文献
Madsen, J. H., and S. P. Welles. 2000. Ceratosaurus (Dinosauria, Theropoda). A revised osteology. Miscellaneous Publication, Utah Geological Survey 00-2:1-80.

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