goo

シノルニトサウルス1

 シノルニトサウルスは、白亜紀前期の中国遼寧省に生息した小型のドロマエオサウルス類で、羽毛の痕跡が発見されている。全身が羽毛で覆われていたことは一致しているが、どの部分にどのような羽毛があったかは復元図によってかなりまちまちである。新しい標本から、少なくとも前肢と後肢付近には羽軸、羽枝、小羽枝をもつ(羽板をなす)羽毛があったらしい。アメリカ自然史博物館の復元模型でも前肢と後肢に小さな翼状の(ミクロラプトル的な)構造を付けている。
 肩帯の構造が始祖鳥に似ており、肩甲骨と烏口骨が90度以下の角度をなし、またほとんど肩甲骨によって形成される肩の関節面が側方を向いているので、鳥が羽ばたくように前肢を上下に動かすことができるようになっている。ただし飛翔ができたわけではないので、自由度が大きくなった前肢を捕食に役立てたか、あるいは斜面走行説のように樹に駆け上る助けにしたのであろうか。
 他のドロマエオサウルス類と異なるシノルニトサウルスの特徴は、前眼窩窩(antorbital fossa)の前方部分に装飾のような多数の孔があいていること、歯骨の後端が分岐していること、前上顎歯に鋸歯がないこと、烏口骨にsupracoracoid fenestraという穴があること、手の第3指の第一指骨の長さが第二指骨の長さの2倍以上あること、などである。ドロマエオサウルス科の中では吻が細長いが、歯はそれなりに大きく鋭い。後肢のカギ爪も大きい方らしいので、小型ながら獰猛な捕食者という印象がある。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )