くのいち

ディーラーに置き去りにした車を取りに、暖かい春の日差しの中を一時間、ウォーキング。
道の途中から、日曜日の昼下がり多くの人たちが散歩している遊歩道へと足を進める。
信号を同じタイミングで渡った目の前の女子が、同じように遊歩道への階段を降りていく。

歳の頃は20代後半、ぼくからは後ろ姿しか見えないが、いたって普通の格好、白いブルゾンに後ろにスリットが入ったタイトスカート。そして足まわりはスニーカーだ。よく街中で見かける若い女性の服装。

その彼女がさっそうと前を歩いていく。それほど真剣に歩いているように見えないのだが、・・・早い。
気を抜いていたら相当、差をつけられた。ギアを少し変え、大股でスピードアップ。蹴りを意識して足を前に運んでいるとふくらはぎがパンパンに釣りそうになる。
それでも差を縮められない。というか、ぶらぶら歩いている人たちを追い越していく彼女に、完全において行かれそうになる。うむ、負けられん。意地だ。

とかやってたら、車のディーラーがあるはるか向こうの駅前ビル景色とは違う方向に、遊歩道は続いていく。嫌な予感は的中して迷子になってしまった。
前を歩いていた彼女は何者だったんだろう。後ろ姿では、けっしてアスリートのようには見えなかったのだが。。。