tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

ヤシの木のある風景

2010-10-23 22:11:38 | プチ放浪 海沿い編

 
 
 
 

1783年、英国・東インド会社の商船アンテロープ号はパラオで座礁。乗組員たちは初めて会ったパラオ人に手厚くもてなされ命を救われた。そればかりでなく、帰国のための新たな船を建造するまで十分な歓待を受けた。これがパラオと西欧の初めての出会いとされる。
そんな英国・東インド会社の商船から名前を取ったダイビング・クラブハウス「アンテロープ」。現代のアンテロープでは、パラワン(パラオ人)ではなく、多くのフィリピン人がゲストのダイバーのために働いている。
アンテロープ号の遭難には続編がある。乗組員たちが帰国するとき、パラオ王国の若い王子リーボーが見聞のため帰国船に同乗したのだ。当時、20歳のリーボー王子はヨーロッパを旅した最初のパラオ人になったのだが、免疫の無さが災いしたのだろうか、わずか6か月で天然痘に罹り死去。大英博物館には彼の肖像画や記録が残っている。

さて、デビィは21歳のフィリピーナ。毎晩、サマーハウスで、バーのカウンターごしに酔っ払いダイバーの相手をしてくれる。
パラオで飲めるビールの銘柄は、バドワイザー、バドライト、アサヒ、そして、色のずんぐりした小瓶でお馴染みのサンミゲル。
パラオには夜間の外出禁止令があり、しかも、アンテロープは繁華街からかなり離れているので、出不精になってしまうダイバーが多く、早寝早起きの健康的な生活を余儀なくされる。したがって、クラブハウスのカウンターと言えども、ぼくを除いてだれも飲みには降りてこない。
という理由で、毎晩、パラオに来てまだ6ヶ月というデビィと2人きりで、いろんな馬鹿話をして夜を過ごしていた。
彼女の夢は、外国航路の大型客船のアテンダントになること。彼女は泳ぎはあまり得意ではなく、ダイビングもしたことが無いそうなのだが、海をこよなく愛している。若きダイバーに「恋人は?」尋ねると、「サメ」とか「ナポレオン」という答えが返ってくるのだが、彼女の場合も間違いなく「海」。まだ21歳というのに、しっかりとした人生設計ができている彼女に驚かされた。最終日には、いつもは寝ている時間帯なのに、夜遅く旅立つぼくをわざわざ車まで見送ってくれた。旅先では、こんな嬉しい心遣いが、深く心に残って忘れられないものとなる。

レイモンドはフィリピーノのボートオペレーター。アンテロ-プでは1年契約で、もうすぐフィリピンに帰る予定だ。かれも若く、しかも手先が器用で、「ちょっと待ってて」と言ったかと思うと、お土産にヤシの木の葉を編んでハンドメイドの帽子やおもちゃを作ってくれた。
帽子に編んだヤシの葉はまだ緑色なのだが、1ヶ月もすれば茶色の良い色合いに変色するらしい。蒸れにくいので、イマドキの帽子よりも涼しいかもしれない。
この帽子。今回のダイビングの一番のお土産になった。

ダニーロは、海洋微生物学者の卵だ。フィリピン大学海洋研究所で植物と微生物の共生の研究をしていた。スカーラーシップを得て日本の大学で研究者となるのが彼の夢。彼の所属した研究室には空きが無く、一時的にパラオでボートオペレーターとして仕事をしている。
ダイブマスターの資格を持つ彼は、研究に必要な海に関するスキルはすべて持っているのだろう。話が専門的過ぎて、どんな研究内容なのかは聞きそびれてしまったのだが、資源として海洋微生物は無限だ。いま世界中でバイオテクノロジー熱い。将来の食糧問題や、廃棄物の処理といった環境問題、そして、バイオ水素の生産といった人類の未来の存続を受けて立つ仕事だ。愛称がダンダンの彼。いつの日にか、日本の大学で研究生活を送る彼と再会できる事を心待ちにしている。


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