tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

小説 デジャ・ヴ(グロ注意)

2007-01-05 19:44:52 | エッチ: よい子は立ち入り禁止
14.てめえ!殺す!
アヤカは、車から降りたぼくを指差し、ドイツ語でなにやら騒いでいる。アヤカが手錠などで拘束されていないことを不思議に思いながら、ぼくは警官達に取り囲まれ肩を掴まれて建物の中に入った。歩いている間中、なおもアヤカがドイツ語でわめき散らしている。ヤツが何を言っているのか全くわからない。と、そのときになって、ぼくはアヤカがわめいている猟奇殺人の容疑者になっていることに気がついた。どうやら、アヤカはぼくが犯人だと訴えている様子なのだ。
最初の内は、アヤカが何を言おうが、ぼくは被害者なのだから少し調べれば何が起こったのかはっきりするだろうと思っていた。しかし、冷静になって考えると、いま、ぼくには自分の無実を証明するものがなんにも無いことに気づいた。明確な証拠となるべきビデオテープは、いまごろ、ゴミ回収車が回収した後であろう。しかも、ぼくは凶器となったナイフと包丁を隠滅している。ただし、逆に言えば、ぼくが殺人を犯したという明確な証拠も無い。
アヤカが、なおも声高にぼくを指差してわめき続けている。ぼくを犯人にして、アイツにどんな利益があると言うのだ。そこで、ぼくは気づいた。みなに頼まれてホテルへ荷物をとりに戻ったアヤカは、ヤルダの家で一人だけ早めに寝たことから惨事を逃れた。朝、起きたらみんなが惨殺されていた。猟奇的な殺人の犯人は、このぼくである・・・。こう主張することで、ヤツらの犯行を隠せるし、ぼく一人に罪を着せる事ができる・・・。アイツの狙いがわかった時、ぼくは逆上していた。
「てめえ。ふざけるな!」
アヤカに掴みかかったぼくは、うしろの若いカラビニェリに取り押さえられる。なおも、あばれるぼくは大勢の警官に押さえ込まれ、身動きできない。
「やめろ!」
無我夢中でもがいたぼくは、そこで目がさめた。目の前に、心配そうな顔で覗き込むヨーコがいた。

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