今宵また 百のパソコンのモニターに灯りがともる
生きる限り付き纏う“見えざる者”の恐怖
異界の記憶
忘れられない体験…
言葉として紡ぐ物語
モニター画面を消すのは あなたご自身です
灯りを落とし 手鏡をご用意下さい
百の怪を語り終えたとき 鏡に映るのは貴方だけではないかもしれません
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昨年の連休に潜った南の島でのこと。
直径34メートルの無人島。日本人には割と知られている島だ。
フットサルのピッチが38~42メートルだから、生えている22本のヤシの木をうまくかわせば試合ができるかもしれない。ゴールを外したら泳いで海へボールを取りに行かなければならないが。。。
なんで無人島なのにコテージがあって、管理人夫妻とワンコが3匹住んでいるか・・・その辺から謎の島だ。
島がある世界最大級の環礁ミクロネシア連邦のチューク諸島は、 かつてトラック諸島と呼ばれ戦艦大和と武蔵が並んで停泊した日本海軍の連合艦隊の本拠地だったところ。80隻の沈船が海底に眠っている。
この日のシュノーケリングはゼロ戦スポット。別の島のすぐ近く水深10メートルほどのところに、ひっくり返ってゼロ戦が沈んでいる。このゼロ戦は、撃墜されたものではなく、アメリカ軍が竹島飛行場から投げ捨てたものらしい。ひっくり返った機体には、緑色のタバネサンゴが表面を覆っている。
かろうじて砂地の上に伸びているゼロ戦の翼の一部が露出して、飛行機のシルエットをぼんやり描いている状態。
いつもなら透明度があまりよくないこともあって、機体に触れるとこまでは潜らない。ガイドが10メートルだからという言葉に誘われて機体まで潜り、露出した翼につかまってその下をのぞき込んでみた。・・・が、捨てられた機体だ。何があるわけでもなし。
その日の夜のことだ。島の砂浜で、満点の星空を見ながらの野宿。なかなか寝付かれなかった。
なんとか眠ったのだが、潮騒が大きく熟睡できない。そして、悪夢。
10メートル下の海底に潜って行って、見上げた水面がむちゃくちゃ遠い。懸命にフィンを蹴っても水面ははるかに遠く届かない。
「キャーーーーー」
無人島に響く女性の悲鳴。島の反対側の浜で寝ていた女性のものだ。なんでも、寝ていたら島で飼ってるワンコが彼女のベーチベッドにとび乗ってきたらしい。・・・その時ぼくはその悪夢の真っ最中でほとんど気を失っていた。すなわち金縛り状態。
彼女の絹を引き裂くような悲鳴に反応して体が動き、もがいて水面に浮上。呼吸ができた。なんとか息を吹き返した。ふだん霊とか真じないが、次の日の朝、海にぼくは手を合わせた。。