チュークは沈船ダイビングのメッカ。海底には駆逐艦から潜水艦、輸送船など約80隻もの艦船が沈んでいる。その大半が太平洋戦争時に沈められた日本の艦船だ。だから、潜っていて複雑な思いになる。
朝、ダイビングのピックアップに来たガイドに今日はどこ?と聞くと
「リオデジャネイロ」
との返事。
「少しばかり遠くね?」
と軽口をたたくも、いつも聞きなれているジョークなのか、にこりともせず、
「風が強いから・・・」
”りおで志゛やねろ丸”は、1944年2月17日、アメリカ第58任務部隊のトラック島空襲で沈められた船だ。二番船倉に爆弾が命中、火薬庫に引火し、半日炎上した後、沈没した。冬島(ウマン島)の東、水深36mの海底に左舷を上にして横転状態で沈んでいる。
沈潜(レック)ダイビングの醍醐味の一つとして、船内通過(ペネトレーション)がある。沈んでいる船の甲板や、船室、操舵室などに入る。狭いところを通過するので、万が一呼吸器(レギュレーター)に異変があった場合など、2人が並んで一つのレギュレーターで呼吸するバディ・ブリージングができない。なのでそうした狭い場所でのリスクを回避するために、ポニーボトルと呼ばれるロングホースの付いたバックアップ空気源を抱えて潜る。。
チュークといえども、ガイドが実際にポニーボトルを用意してのダイビングは初めてだった。黒々と口を開けた甲板の入口から船体内へ。真っ暗で先ゆくガイドの姿すら見えず、あわてて水中ライトを点けて彼の姿を探す。
死ぬまで闘うのが宿命であると覚悟を決めた当時の日本の若者たち。米軍は太平洋の闘いで最大の苦戦を強いられ、両国にとって第2次大戦中の戦闘として最大級の犠牲者を出した。あらためて南の海に眠る亡くなった方たちのご冥福をお祈りいたします。