世界の森林面積は約39.5億ヘクタール。地球の陸地面積の約30.3%を森が占めている。
(国連食糧農業機関(FAO)State of the World's Forests 2005より)
一方、日本の森林面積は2,400万ヘクタール。国土面積に占める森林率は60%を超える。
この森林率は、アフリカ16.1%、アジア14.5%、欧州(含:ロシア)25.3%、北中米17.9%、オセアニア5.2%、南米21.0%と比べてダントツの数字だ。日本が世界有数の森林国であることがわかる。
一方、世界の森林面積の減少は、年間平均約 -886.8万ヘクタール。
森林の消滅は、気候の変動、生態系の破壊、砂漠化、地球温暖化に加えて、先進国の乱伐(日本は世界3位の輸入国)、自国の経済発展のための乱伐、プランテーションの造成、森林火災等が原因だ。その背景には途上国貧しさと人口増加がある。
世界有数の森林国の日本では、地盤が弱く崖崩れが多発し、冬期間は半年も雪に覆われてアクセスが困難ゆえに人の手が加えられていない「原生林」が残されている場所がある。世界遺産の屋久島、そして、白神山地だ。
こうした原生林は、アマゾンの熱帯雨林、アラスカ、ロシア、カナダなど、ごく一部にしか残るのみだ。ヨーロッパでは産業革命の頃に伐採してしまっているので原生林はほとんどなく、中国も森林の4分の3を失って植林を進めているが、原生林はほとんど残っていない。
手付かずの原生林。これが、青森県の南西部から秋田県北西部にかけて広がる白神山地。ユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録された理由に他ならない。
この白神山地(しらかみさんち)の原生林は、光に対する要求性が比較的低い樹木(陰樹)であるブナの木々からなる。
陰樹は生育するために最低限必要な光合成量が少ないため、比較的暗い場所でも成長が可能だ。このため、林床の照度が低く、陽樹が生育できないような場所でも生育が可能。雑木林は、往々にして徐々に陰樹のみの林(極相林)に変化していく。また、極相林の地面は暗い場所でも成長する笹で覆われ、植物の発芽には不適な環境となる。つまり、白神山地の暗いブナの森は、雑木林の最後の姿といえる。
生物の多様性から言えば、極相林よりも陽樹が育成する雑木林が好ましい。ただし、極相林の下草の笹をシカが好んで食べるので、天敵のオオカミがいなくなり増えすぎていると言われるシカたちが、この先、この森の生態を変えていくのかもしれない。
この時期、幻想的な光るキノコ 、シイノトモシビタケが話題だが、八丈島、大分県、宮崎県、紀伊半島南部など限られた地域のみでしか確認されていない。ひょっとして、この白神山地でも見つけられそうな気がするのだが・・・。
(三宅島のナチュラリストのsuggerさんが、三宅島でも生育していることを教えてくれました)
http://pub.ne.jp/sugger/?daily_id=20100625
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