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tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

サザンクロス

2018-05-20 21:42:22 | プチ放浪 海沿い編

満月が水平線の雲から顔を出す前のひと時。
星座図によれば、この時期は日没後の南の空の水平線上に南十字星が見えて来る頃。
南の空を眺めてみるが、厚い雲に覆われてなかなかその姿を見せてくれない。
北緯7度17分23秒。地球の裏側で冬を越した南十字星。サザンクロス。
季節感の乏しい南の島で、季節の移ろい感じさせてくれるというそのまだ見ぬ姿。満月を過ぎれば、月の出も少しずつ遅くなってくる。滞在中にサザンクロスが見れたらと月に願う。
ずっと古くから航海の指標として見つめられてきたサザンクロス。今もなお、ぼくらに遠い南の島への憧れと、そして日々の安らぎを与えてくれる。



前にサメ、後ろにゴマモンガラ

2018-05-19 21:39:53 | プチ放浪 海沿い編

日本海に面した城下町からやってきた女性ゲストが海に入ろうとすると、いつもブラックチップシャーク(ツマグロ)が現れるらしい。メジロザメ属に属するサメの一種。鰭の先端に黒い模様を持つサメだ。現れるのは体長1mぐらいの子ザメ。この島の浅瀬は、どうやらその個体の巣になってるようだ。

サメは基本的に臆病だ。レジャーダイバーがサメに襲われ死亡に至ったケースは一度もない。水中でシュノーケラーは、フィンを履いた約2メートルくらいの長さ。サメにしてみれば、ヘンテコな動きをする得体の知れない恐ろしい存在だ。
人間をエサとは思わず、むしろ食われるんじゃないかと警戒している。好んで人を食うこともないから、人間は彼らの食糧として質が低いのではという意見もある。だから、エサと間違えてカブッとしても、ペッと吐きだす・・・らしい。

流線的なシェイプ、そして鈍く反射する肌。水中でサメに出会えたらものすごく幸運だ。なかなか出合えないから言うのだけど・・・。
それよりも、この海にはゴマモンガラやイソモンガラ、キヘリモンガラもいる。
6月から8月のゴマモンガラは危険かも。産卵期には卵を守るために凶暴化し、どんな大きな相手でも執拗に攻撃をしかけてくる。サンゴを砕くあの強靭な歯で噛まれたらひとたまりもない。
モンガラカワハギと同じ種類とは思えない程凶悪な面構えで、できればばったり出会いたくない魚だ。


フルムーン@JEEP島

2018-05-18 21:36:15 | プチ放浪 海沿い編

満月のジープ島。電気がすべて消え、月の明かりが煌々と島を照らす。驚いたのはその明るさ。前に来た時も月は美しかったが、思い出の月よりももっと大きく、これでもかというぐらい明るい気がした。
日本で見るよりも、ジープ島で見る月はもっと近くに見える。
・・・そういえば、ジョー、満月の島へ行く(Joe Versus the Volcano)という1990年に製作されたトム・ハンクス主演の映画があったけ。

東の水平線にあった雲の隙間から顔を出した満月は、ゆらゆらと波打つ海面に「光の道」を描きだす。 神秘的で、どこか神話の世界の中にでもいるような光景。
やがて月は頭上へ、あたりに一面の銀の光が降りそそぐ。いつまでもこの光の中に埋もれていたい衝動に駆られる。満月の夜もまた、格別の風情。

サンゴ砂の浜はひんやりと気持ちいいので、つっかけたギョサンを脱いではだしに。
ワンコどもも月明かりに浮かれてじゃれあってる。

月の虹を探して、ワンコ達としばし月光浴。
月の光を浴びてると、「ジョー、満月の島へ行く」じゃないけど、なんだか"千年も生きらる”ような気になってくる。
満月にはロマンスが似合うのかも。そういえば、ジープ島の和名は「婚島」だったけ。。


その子はイッチェン

2018-05-17 23:28:36 | プチ放浪 海沿い編

ジープ島に到着したとき、迎えてくれたのはいつもニコニコ顔のお母さん、リペル。そして恥ずかしがり屋のエリックとイッチェン、リペルの孫たちだった。
イッチェンは自称7才。素潜りが得意で、イルカスイムの時はイルカとともに自由に泳ぎ回る。日本の弱っちい同年代の小学生なんかよりもずっと頼もしい。
ジープ島のすべてが彼のおもちゃ。ゲッコー(トカゲ)の小さい奴を捕まえては、ゲストに見せに来たり、ヤドカリを殻から出しては遊んでいる。

一緒に島の周りのサンゴ礁(ハウスリープ)を素潜りしたとき、海底のナマコを見つけて彼に差し出したら逃げて行った。
彼にも苦手なものがあるんだ。とか思ってたら、ナマコが白い糸状のものを放出していた。キュビエ器官だ。刺激を受けると肛門からキュビエ器官を吐出し、襲った動物の体表にねばねばと張り付きその行動の邪魔をする。そこらじゅうに張り付き、ネバネバ。たしかに気持ち悪い。

・・・イッチェンはずっとおばあちゃんと島にいて、学校に行かないんだ。リペルに聞くと、勉強が嫌でたびたび教室から脱走するらしい。とか、ニコニコ顔で教えてくれるのだが、小学校は義務教育だ。彼の将来のためにも、島で自由にさせておくのは問題がある。
せめてぼくが滞在している間だけでもと、算数の足し算とか、簡単な日本語とか教えていたのだが、次の日には脱走。家族がいる夏島に帰って行った。
その代わりやってきたのが、高校生の孫娘。ニヤカーベ(美人)さんだ。
聞くとバケーション。学校は休みという。

なんだかよくわからないが、どうやら孫たちはリペルを手伝いに交代で島に来ているもよう。チュークの伝統的生活様式の変容はあったのだろうが、家族社会の生活はまだ残っている。彼らは一族で支えあって暮らしている。


リオデジャネイロ

2018-05-16 23:26:15 | プチ放浪 海沿い編

チュークは沈船ダイビングのメッカ。海底には駆逐艦から潜水艦、輸送船など約80隻もの艦船が沈んでいる。その大半が太平洋戦争時に沈められた日本の艦船だ。だから、潜っていて複雑な思いになる。

朝、ダイビングのピックアップに来たガイドに今日はどこ?と聞くと
「リオデジャネイロ」 
との返事。
「少しばかり遠くね?」
と軽口をたたくも、いつも聞きなれているジョークなのか、にこりともせず、
「風が強いから・・・」

”りおで志゛やねろ丸”は、1944年2月17日、アメリカ第58任務部隊のトラック島空襲で沈められた船だ。二番船倉に爆弾が命中、火薬庫に引火し、半日炎上した後、沈没した。冬島(ウマン島)の東、水深36mの海底に左舷を上にして横転状態で沈んでいる。

沈潜(レック)ダイビングの醍醐味の一つとして、船内通過(ペネトレーション)がある。沈んでいる船の甲板や、船室、操舵室などに入る。狭いところを通過するので、万が一呼吸器(レギュレーター)に異変があった場合など、2人が並んで一つのレギュレーターで呼吸するバディ・ブリージングができない。なのでそうした狭い場所でのリスクを回避するために、ポニーボトルと呼ばれるロングホースの付いたバックアップ空気源を抱えて潜る。。

チュークといえども、ガイドが実際にポニーボトルを用意してのダイビングは初めてだった。黒々と口を開けた甲板の入口から船体内へ。真っ暗で先ゆくガイドの姿すら見えず、あわてて水中ライトを点けて彼の姿を探す。
死ぬまで闘うのが宿命であると覚悟を決めた当時の日本の若者たち。米軍は太平洋の闘いで最大の苦戦を強いられ、両国にとって第2次大戦中の戦闘として最大級の犠牲者を出した。あらためて南の海に眠る亡くなった方たちのご冥福をお祈りいたします。