彦四郎の中国生活

中国滞在記

日本震撼、安倍元首相凶弾テロにて死亡—重要人物警備のずさんさ露呈、背後がら空き、制止せず

2022-07-10 10:10:53 | 滞在記

 一昨日7月8日午前11時半頃、奈良市内の近鉄電車「大和西大寺駅前」の路上で、街頭演説中の安倍晋三元首相(67)が背後から近づいた男に銃で撃たれ、心肺停止となり、ドクターヘリで奈良県立医科大学付属病院に緊急搬送されたが、同日午後5時すぎに死亡が確認された。同日の正午すぎから、日本のほとんどのテレビ局でこの速報が報道され、日本に震撼が走った。

 私がこのことを初めて知ったのは、パソコンで中国のネット報道を午後1時頃に閲覧していた時だった。すぐにテレビをつけて、この事態の報道を見ることとなった。全ての日本のテレビ放送局で、この事態が報道されていた。「安倍元首相、銃撃され心肺停止—山上徹也容疑者(41)は元海上自衛隊員」「散弾銃で2発目が左胸に命中」などの字幕テロップ。

 夜9時半すぎのテレビ報道では、奈良県警会見として、「犯人は特定の団体に恨みがあり、安倍元首相がつながりのと思い込み犯行に及んだと述べた」と説明。(※この奈良県警の取り調べで、この"特定の団体"としての宗教団体名も山上容疑者は具体的に話しているだろうが、奈良県警は宗教団体名は公表していない。また、日本の各社マスコミもあえてこの宗教団体名は報道していない。そこには報道のタブーがあるようだ‥。)

 同日午後、携帯電話やパソコンなどで中国のインターネット各局の報道をも閲覧すると、一面速報として「安倍元総理」が凶弾に倒れたことが大きく報道されていた。これらの中国のネット報道では、犯人の犯行前の位置や動き、一発目の発砲の瞬間、そして二発目の瞬間に安倍元首相の体が銃弾を受け前のめりに倒れ込むようすの動画が報道もされていた。

 そして、地面に仰向けに倒れ、白いカッターシャツの左胸あたりが血に染まり、それをそばで抱え込むように見守っている女性警備担当の姿の写真も掲載されていた。犯行に使われた手製ショットガンの写真なども中国ネットに‥。凶弾に倒れた安倍元首相の姿に、私も衝撃を受け、悲しみがこみあげてきた。凶行に及んだ犯人が許せない。

 昨日9日付朝日新聞には、「安倍元首相撃たれ死亡―参院選 街頭演説中—容疑者"宗教団体に恨み"」の一面見出し記事、「民主主義の破壊許さぬ」の社説記事、「聴衆の眼前凶弾—マイク握り2分 背後から―手製の銃 破裂音2回」などの見出し記事が掲載。

 9日付の「日刊ゲンダイ」には、「安倍元首相銃撃死の衝撃—投票日直前、許しがたい言論弾圧テロの背景と今後」「言語道断の蛮行に日本全体が震撼—宗教が動機か、犯人の素顔」などの見出し記事が掲載。

 同紙には、「至近距離、なぜ—欧米メディア、日本の警備態勢を不安視」「防げなかった警察の大失態」「手製ショットガン」などの見出し記事も掲載されていた。これまでの報道によれば、駅前のロータリーの内の路上で街頭演説を行っい始めた直後、ロータリーとは大きな道路を挟んでの前左右の歩道にたくさんの聴衆や報道関係者たちが集まっていた。

 そして安倍氏の演説が始まってすぐに、背後の歩道の中から一人、大きな道路を渡ってきたのが凶行に及んだ山上徹也容疑者。「なぜ、この時点で、奈良県警や警視庁SPは、この男を止めなかったのか、一発目の発砲後すぐに、警視庁SPは安倍氏を守るために楯となる動き(覆いかぶさる動き)をしなかったのか」と、警備の失態は大きなものがあるだろう。中国のネット動画を見るかぎり、1発目と2発目の時間的な差は3秒くらいあった。

 「極めてずさんな警備だった。山上容疑者が歩道からロータリーに入り、安倍氏から3~5mの地点に近づくまではかなりの距離があります。大きなカバンを持ちながら、安倍氏に接近している時に、警備担当が容疑者を制止したり、取り押さえることは十分にできたはず」と、元大阪府警刑事で犯罪ジャーナリストの中島正純氏は同紙(日刊ゲンダイ)で語る。

 奈良県警の本部長・警備部長・担当課長、警察庁の警備責任者だけでなく、警視庁長官の進退問題にも当然に発展する今回の警備態勢のずさんさの露呈ともなった。「安倍元首相を死なせてしまったこと、とても悔しい」との思いは、おそらくほとんどの日本国民の中にある思いでもあるだろう。

 9日の日本のテレビ報道には、「安倍元首相 なぜ凶弾に倒れた?—警備に問題?状況検証」の見出し報道。今日10日付「朝日新聞」には、「事件当時の現場見取り図」が掲載。インターネット記事には、「事件当時の警護のイメージ図」などが掲載。これらを見る限り、安倍氏の背後警備が"がら空き"であり、道路に侵入し、筒状の物を持ち安倍氏の背後に近づく山上徹也容疑者を警備担当官が制止するようすも見受けられない。いったいこの警備態勢はなんだとも思える。

 凶弾テロに使われた手製銃は2連発構造だが、1回の発射で6個の弾が発射されるものだ。(散弾銃的短型拳銃)  2回目の発射で、2弾が安倍氏の体に当たり心臓を損傷させ死に至らしめた。山上容疑者の自宅では、9本の筒構造をもつ9連発の手製銃なども押収された。警視庁SPや奈良県警の警備担当者らも、このような一見、デジタルカメラの望遠レンズのような短型の銃の存在の可能性認識はなかったのだろうか。

 10日付朝日新聞に、「警備計画"違和感なし"―県警本部長"痛恨の極み"」の見出し記事が掲載されていた。「27年間の警察官人生で最大の悔恨、痛恨の極みであります」と語る鬼塚奈良県警本部長。事件当日の7日の朝に鬼塚本部長はこの警備計画に目を通して認可した。(警備計画に問題なし[違和感なしとして]認可) 鬼塚本部長は、かって警察庁の警備課警備室室長の任にあった人物でもある。

 10日付朝日新聞に、「安倍氏銃撃の波紋」と題した記事が掲載されていた。世界各国から安倍氏の外交問題での功績などが語られている記事だ。「日印関係かってない高め」「インド太平洋構想を主導」「一帯一路に前向き姿勢」「G7の存在価値を強調」「中国の覇権防止にクアッド原型」などの記事が掲載。

 安倍政権は、第一次安倍政権(2006年9月~2007年9月)と第二次安倍政権(2012年12月~2020年9月)の約9年間に及ぶ長期政権となった。第一次では首相就任当時の内閣支持率は62%だったが1年後には30%まで急落、不支持は就任当時の13%から1年後には50%に。しかし、第二次政権では、就任時の支持率は49%と高くはないが、2020年の9月では54%と、8年間を通して50%以下の支持率になることはなく、50%~60%台を維持し続けた。その8年間、不支持は24%~27%とほぼ増減はなかった。

 私は安倍政権における国内政策、特に小泉内閣以来の新自由主義政策における働く人々の立場を守らない(自己責任論)政策には、まったく評価はしないが、8年間わたる外交政策に関しては、かなり評価できると考えている。自民党内の最大派閥を実質的に率いる安倍氏は、今後の国際情勢、国内政局によっては第三次安倍内閣の成立もありえる最重要人物の一人であっただろうとも思われる。

 ロシアのウクライナ侵略、東アジアでの中国・ロシア・北朝鮮、そして台湾を巡る情勢への対応、憲法改正問題、軍備費増強を巡る問題など、安倍晋三という政治家を失ったことは、日本にとってとても惜しまれることだ。(私は、安倍氏らのの憲法改正には同調できないが、国際情勢の転換点に来ている今、単純な護憲論にも与しない。日本の外交はどうあるべきか、安倍氏らの主張は主張として、それは傾聴に値するものも多々あることは事実だ。)

 10日付朝日新聞、「献花台 途切れぬ祈り」の見出し記事。凶弾に倒れた安倍元首相のテロ現場に置かれた献花台には人々の祈りの列が絶えないようだ。「あべちゃん」と国民のおばちゃん層には一定、親しまれた政治家でもあった。

 米国著名雑誌『タイム(TIME)』は7月8日、街頭演説中に銃撃され死亡した安倍晋三・元首相を次回号の表紙にすると発表し、ツィツターに「日本で最も長くリーダーを務めた安倍晋三のレガシー」とのメッセージとともに、腕を組む安倍氏の写真を使った表紙の画像を投稿した。(※「レガシー」の意味➡遺産)

■次号では、「山上容疑者とはどんな人物なのか?」「恨みに思っていた宗教団体とは何なのか?」、「その宗教団体と安倍晋三氏とのかかわりは?」などについて述べておきたい。

 

 

 

 

 

 


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