彦四郎の中国生活

中国滞在記

京都の桜❶―130種類もの桜の品種・京都府立植物園―日本の道100選・疎水沿い「哲学の道」の桜

2021-03-28 06:02:23 | 滞在記

 日本には約200品種の桜があるとされるが、1924年に開園された日本を代表する植物園の一つ京都府立植物園には約130品種、約450本もの桜がある。園内の桜もまた見事だが、園の西側の賀茂川沿いの堤防に約70本ほどある枝垂れ桜の並木道「半木(なからぎ)の道」もまた見事だ。枝垂桜並木と賀茂川、そして丹波山系の山々の光景が一幅(いっぷく)の絵となる。「そうだ 京都に行こう!」のポスターにもなった光景だ。

 3月22日、昨年に引き続き、今年も娘や孫たちと植物園に一日遊びに行った。植物園の桜は、3月上旬頃から4月下旬ころまでの約2カ月間、さまざまな品種が順次見ごろを迎える。ここ京都市の桜もまた、3月上旬の寒緋桜や河津桜から始まって、約2カ月後の5月上旬頃になると比叡山山系の山々の八重桜並木が見ごろを迎える。

 園内には春の草木の花々が咲き誇る。木瓜(ぼけ)、レンギョウ、ミモザ。

 スモモ、種々の椿、土佐水木(トサミズキ)、山茱萸(サンシュユ)。

 石楠花(シャクナゲ)の花の蕾が膨らみ始めていた。開花している白い石楠花が一輪見られた。時折、雨雲がきて
「狐の嫁入り」の天候のこの日、4時間ほどをここで3人の小さな孫たちと過ごした。

 この日の夕方の5時すぎから、娘の家から近い哲学の道に桜を見に行った。今年の桜の開花は例年よりも1週間以上早い。例年だと4月上旬ころに見ごろを迎える哲学の道の桜もこの3月22日には、すでに5分咲きとなっていた。3月下旬には満開となりそうだった。

 今出川通りと白川通りが交差する京都疎水沿いの橋や銀閣寺西の銀閣寺橋を北端として、熊野若王子神社前の若王子橋を南端とする約1.6km疎水沿いの道が「哲学の道」。沿道のそばには神社仏閣が多数点在、銀閣寺、法然院、安楽寺、霊鑑寺、大豊神社、熊野若王子神社があり、南端をすぎると永観堂や南禅寺の古刹に至る。哲学の道界隈のノートルダム女学院中高等学校や東山高校、京都朝鮮中高級学校などの生徒たちの制服姿も。

 哲学の道の桜もまた品種はけっこう多い。サクランボ🍒の実をつける品種は、例年4月中旬ころに満開となり、4月下旬頃には実は食べごろとなる。4月10日頃、疎水に散り落ちた桜の花びらが疎水一面を埋め尽くす「花筏(はないかだ)」を哲学の道北端あたりで見ることもできる。

 疎水沿いの山側の大文字山や如意が岳の自然の森の山々には狐(きつね)やイノシシ、狸(たぬき)などが生息している。ここ哲学の道は、春は桜、初夏は木々の緑、秋は紅葉が美しいが、春から初夏にかけては桜だけでさまざまな草木の花々(椿、雪柳、山吹、レンギョウ、石楠花、土佐水木など)が桜とともに咲き誇るのもまた魅力だ。 

 「哲学の道」はもともと、1890年(明治23)に滋賀県大津市から京都市蹴上にかけての琵琶湖疎水が完成した際に、疎水の分線としてここにも疎水が延ばされた。分水のためのヨーロッパ風の水道橋が南禅寺境内にある。その疎水分線沿いの管理用道路としてつくられた小道が今の哲学の道だった。

 景色や風情があるので、この小道を散策する人が増えていった。そして、文人や学者らがこの付近に多く住むようになり「文人の道」とも称されるようになる。その後、京都大学の哲学者・西田幾多郎や田辺元らが好んで散策し、思案を巡らせたことから「哲学の小径」といわれたり、「散策の道」「疎水の小径」「思索の道」などと呼ばれた。西田幾多郎が詠んだ「人は人 吾はわれ也 とにかくに 吾行く道を 吾は行くなり」の句碑が道沿いに今ある。1972年、地元住民たちの相談によりこの小径は「哲学の道」と決まりその名前で現在に至るまで親しまれるようになった。

 哲学の道の桜は、近くに居を構えた日本画家・橋本関雪と妻・よねが、1921年(大正10年)に京都市に300本の桜の苗木を寄贈したのに始まる。当初の桜木はほぼ樹齢が尽きたと思われるが、庭師の桜守(さくらもり)佐藤藤右衛門らの手により植え替えられ手入れされ現在に至っている。代替わりをした今でも、桜並木の名称として「関雪桜(かんせつざくら)」とも呼ばれている。1987年、廃止された京都市電の軌道敷石を転用して、ここ哲学の道に敷石が並べられた。この年、「日本の道100選」の1つに選定されている。京都府では他に、丹後の天橋立の松林沿いの道も100選に選定されている。

 3月22日、陽の暮れもずいぶんと長くなり午後6時すぎに西山の山系に夕日が落ち始めた。吉田山にある真如堂や黒谷(金戒光明寺)さんのゴーンという鐘の音が聞こえてもくる。1970年代、哲学の道北端に近い銀閣寺隣の大学生時代の下宿から、哲学の道沿いに歩いて南端の若王子神社近くの叔母さんの家にときどき晩御飯を食べにいった。往復約3キロとなるが、6月になると哲学の道の疎水には夜にたくさんの蛍(ほたる)が乱舞していたのを思い出す。

 今朝、中国人留学生の陳さんから中国版QQメール(日本のLINEのようなもの)でたくさんの写真桜画像が送信されていた。「昨日27日(土)、哲学の道に行きました」とのこと。哲学の道は7分咲きとなり、31日頃には満開となりそうですとのコメントが。

  今日28日(日)、天気予報では、爆弾低気圧が日本列島を横断し、「春の嵐」が吹き荒れる一日となるとの予報。哲学の道の桜もほぼ満開となるようだが、春の嵐で散り落ちるかもしれない。昨年は4月11日に哲学の道に行った時に花筏を見た。今年の花筏は早まりそうで、4月3・4日ころからは見られそうだ。

 

 

 

 

 

 


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