彦四郎の中国生活

中国滞在記

新型コロナワクチン接種を巡って❷メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの性質を知る重要性

2021-07-03 19:42:36 | 滞在記

 私の大学時代からの友人から「コロナワクチン接種の危険性」を知らせるメールが頻繁に送信されるようになったのはこの4月中旬からだった。「アメリカなど、外国の博士論文や記事などにこのようにワクチン接種の危険性が書かれている。一読の価値があるから是非読んで、その感想を聞かせてほしい」というような内容のメールが次々に届く。それらの記事や論文の検索方法まで書いてあるので、できるだけそれらを読んで簡単な返信をし続けた。

 5月になってもその友人からのメールは続いた。5月23日に私は第一回目のワクチン接種をしたのだが、そのことを伝えても、接種の危険性を訴えるメールは送信されてきた。6月に入って、6月13日に第二回目の接種を終えたあとも、時々にメールは届く。

 ワクチン接種をすべきかどうか?ということに迷いや不安を持つ人はけっこう多いようだ。私の妻もワクチン接種を行ったが、家の近所の人たちと話してみると、家族の間でも接種を巡っては意見の違いもあったり、夫婦間でも接種をする人と様子見や接種しないなどに分かれている家もあった。

  6月下旬、読売テレビの朝の報道番組「スッキリ」では、この新型コロナワクチン接種を巡っての「副反応への不安」についての特集報道をしていた。「スッキリ」の取材で、「ワクチン=ウイルスの混入」と思っている人もけっこう多いことが報道されていた。4月から頻繁にメール送信されてきていた友人からの「是非読むべきだよ」という記事や論部の中にも、「ワクチンにはコロナウイルスが混入されているので、接種をすることによりコロナに感染し、他の人にも感染を広げることになる」というものもあった。これをそのまま信じてしまったら、友人が心配してメールをするのも無理はない。

 コロナ禍下、家での在宅勤務や、仕事が休業状態となり自宅待機、または失業という人も少なくない。そして、自宅で実に多くのさまざまなコロナワクチン関連の情報に接することも多くなっている今日、ワクチン接種の是非について分かりやすく説明していた「スッキリ」の特集報道は参考になるものだった。

 「スッキリ」の取材では、「私がワクチンを打たない理由」として、「①ワクチン=ウイルスと誤認、②副反応に不安、③"妊娠にリスク"など誤情報、④副反応で予定が狂う」という理由が挙げられていた。街頭インタビューでは、ワクチンのイメージとして、「弱いウイルスをワクチンに入れて抗体をつくるのかな!?」、「弱体化したウイルスそのものがワクチンに入っているのかな?!」という思いの人がとても多いことが紹介されていた。

 この報道番組で参考になったのは、「①ワクチン=ウイルスと誤認」についての解説だった。ワクチンの種類についての情報は、私も含めてだが、あまりよく知らないまま、接種したり、接種をしないという人が多いかと思われる。現在、日本でワクチン接種をしているワクチンは、米国製の「ファイザー」と「モデルナ」の二種類だが、このワクチンはどういう種類のものなのか? 世界で最も多く接種されている中国製のワクチンとはどういう種類のものなのか? ワクチンの種類というものについて、少し調べてもしてみた。

 報道番組「スッキリ」で紹介されていたワクチンの種類に関する図表。これはCOVNAVI(こびナビ)が作成した図表。一般社団法人「小金井市医師会」がこの図表を転載して「新型コロナワクチンについて その4  ~mRNAワクチンって何?~」(小金井市医師会 2021年3月30日)という記事を公表しているのでネットで読んでみた。これによるとワクチンには、「①生ワクチン、②不活性ワクチン、③組換えワクチン・成分ワクチン、④ベクターワクチン、⑤DNAワクチン、⑥mRNAワクチン」の6種類があった。

 ①の「生ワクチン」は、まだ生きているが、病原性を弱くした(薄めた)ウイルスをワクチンに混入してある。つまり、人体に悪さをしない程度に病原性を弱くしたウイルスが混入しているワクチンだ。この種類のワクチンとしては、現在では、「おたふくかぜワクチン」や「水疱瘡ワクチン」、「麻疹(はしか)ワクチン」で使用されている。②の「不活性ワクチン」は、もう死んでいるウイルスをワクチンに混入してある。つまり、感染力をなくしたウイルスが混入しているワクチンだ。この種類のワクチンは、現在では、「インフルエンザワクチン」として使用されている。現時点での中国製のワクチンはすべてこの種類だ。ちなみにインフルエンザワクチンの有効性は50%~60%と言われている。

 ③の「組換えワクチン・成分ワクチン」はウイルスのタンパク質成分のみをワクチンに混入してある。④の「ベクターワクチン」や⑤の「DNAワクチン」、⑥の「mRNAワクチン」はいずれも、ウイルスの設計図をワクチンに入れ込んだもの。そして、⑥の「mRNAワクチン」は、今回の新型コロナウイルスに対して最も有効性があり副作用も少ないものとして開発されているとの説明。新型コロナウイルスの突起(スパイク)部分のみの情報を入れることによって感染を防止する。

 そして、「スパイク部分の設計図だけの混入なので、mRNAは人体細胞の核の中には入り込まず、ヒトの遺伝子に組み込まれることはありません。また、mRNAは細胞に取り込まれてから20秒~20分で分解されます。作られたタンパク質も10日以内に分解されいずれも体内に残りません。このような理由から、mRNAワクチンの長期的な副作用は考えにくく、たとえあったとしても非常に稀(まれ)と考えられます」と説明されていた。まあ、このあたりのことは、まだ、私には理解が難しいが‥。河野ワクチン担当相も、政府の公式見解として「ワクチン接種で遺伝子が組み替えられることはない」と番組で説明していた。

上記写真左から③④枚目は、2021年3月3日の新潟県医師会の勉強会スライド「新型コロナmRNAワクチンの基礎と原理」(峰宗太郎氏作成)

 このワクチン6種類について、大学医学部生への90分講義でも、このことの理解は医学部生であってもちょっと難しいとも言われている。まあ、要するに、①の生ワクチン以外は、ワクチン接種によって感染することはないとの説明だ。ちなみに、このmRNAワクチンの基礎研究は、バイオ医学の進歩によって、20年以上行われてきた下積みがあると言われている。米国製の「モデルナやファイザー」ワクチン、英国製の「アストラゼネカ」ワクチンなどはこのmRNAのワクチンだ。まあ、だいたい、「ワクチン=コロナウイルス感染の危険性」というのは誤った情報だということはほぼ理解はできる。

 6月26日(土)の朝日(ABC)放送の報道番組「正義のミカタ」でも、ワクチン接種を巡る特集「ワクチンは殺人兵器—陰謀論が広まるワケ」を報道していた。それによると日本では、①「すぐに接種を希望する人の割合」として、65歳以上では78.0%、20歳以下では27.5%、全年齢(全体)では45.3%にとどまっている。②「6月下旬時点で、日本でのワクチン接種回数は3700万回、人口の20%以上が少なくても1回は接種済み」、③「WHO報告—世界人口の70%以上がワクチン接種を終えるまでパンデミックは収束しないとの報告」と報道されていた。

 大阪の学習塾運営会社が、「ワクチン接種で不妊になる―殺人ワクチンで世界革命をもくろむ」のミニコミ紙を約58万軒に配布していたことも報道されていた。この学習塾は「類設計室(類塾グループ)」。大阪府内を中心に関西圏で60余の学習塾教室を経営している関西では有名な大手学習塾だ。この会社のトップがかなりワクチン陰謀論を信じ込んでいる人なのかと推測される。

 「黒幕が人類を管理?! 人類削減が狙い!?」との陰謀論報道もされていた。これに沿った実例として、福井県の県会議員が「コロナワクチンは殺人兵器」と主張し、この2月~3月に、自身の広報誌1万5千部を各戸配布したことも報道されていた。この県議は斎藤新緑氏で、県議会の議長も経験している人物、現在自民党県連の会長代行。「闇の勢力が計画し、人類初の遺伝子組み換えによるワクチンによる殺人兵器。ワクチンを打てば5年以内に死ぬ」と広報誌には書かれている。

 「ワクチンを打つと5G電波で操られる」との陰謀論報道も。「その黒幕は、あの大富豪のビル・ゲイツ」との報道も。この説を米国人の9%は信じていると報道されていた。このようないろいろなコロナワクチン接種を巡る情報を強く信じ込んでいる人に対してどう接したらいいのか?ということに対して、「正義のミカタ」のこの報道特集でのコメンテータは、「①絶対にワクチン接種は安全だと言い切るのも危険、ワクチン接種は絶対ダメだと言い切るのも危険。まだ、このmRNAワクチンに関しては副作用などのことについての絶対的な研究情報は不足しているのだから」とし、「②現時点で、定説を疑うことは大事だが、"陰謀説" を完全否定することもまた危険。しかし、科学的根拠も事実関係もまったくない"陰謀説"を信じ込むことがある一定レベルを超えるとこれは妄想であり、精神的な治療機関の受診も必要な場合がある。」と指摘していた。

 人間は、主張していることを完全否定されると「バックファイア効果」と呼ばれる心理が働き、よけいにその主張に固執することとなり逆効果になるという。この心理作用をふまえて、コメンテーターの医師は、極度の陰謀論を信じ込んでいる人への対処法として、①「基本的に相手を立てつつも他の可能性を提示」➡(他の可能性をまったく信じない場合)➡②「相手の考えは変わらないと割り切って、さりげなく話題を変える」➡(日常性に支障をきたしている人の場合)➡③「精神科での治療を勧める」ということを具体的に指摘していた。いずれにしても、いろいろな可能性を考えることができれば、1つの陰謀論に陥ることはないとも話していた。

 今日、7月3日(土)のABC報道番組「正義のミカタ」では、日本におけるワクチン接種人数は、「1回接種者約3025万人(国民の23.8%)、2回接種者約1600万人(国民の12.6%)」であることが報道されていた。一方で、先週木曜日に、「国内の医師・地方議員ら計450名がワクチン接種中止を求めて嘆願書を提出。安全性がまだ分かっていない遺伝子ワクチンを国民全員に接種させる必要があるのかと訴えた。」とのニュースも紹介されていた。この嘆願書提出に対し、河野ワクチン担当相は、同日にブログで「医師免許を持っているにもかかわらず"デマ"ほ流す人もいます」とコメントしていたとの報道。

 7月3日の「正義のミカタ」では、mRNAコロナワクチンについて、京都府立医科大学の内田氏が、簡単ではあるが、けっこう分かりやすく説明をしていた。「革新的!メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン➡(遺伝子情報を利用)と言われると怖いかもしれないが、特徴を正しく知る必要がある」と話し、その特徴とは、「①主な成分は、油・糖・塩—コーティングのため油などを使用! 人体からすぐに排出される。②すぐに溶けるので、DNAへの影響はあり得ない! 。③実は40年前から研究される。2001年からヒトに投与!研究の歴史は実は長い!」との説明。

 7月3日付朝日新聞には、「接種予約 急ブレーキ」「ワクチン予約 各地で停止 自治体へ供給追いつかず―ファイザー製ワクチン、7月以降 供給スピードが減速」の見出し記事が‥。

 英国製のアストラゼネカワクチンは、日本ではこの5月21日にようやく薬事承認がされた。1億2000万回分の日本への供給が決定しているが、このワクチンを日本における集団接種に使用するかどうかはまだ決まっていない。稀なワクチン接種副作用症例として「血栓(けっせん)」が確認されているからだ。この「血栓」はとても怖いもので、血管内に血の塊(かたまり)ができ詰まりが起きる症状で、足の腿(もも)にできる場合が多い(足がむくむ)が、脳内の毛細血管や臓器の毛細血管に血栓ができる場合もあるという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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