12月3日(火)から昨日8日(日)、韓国やシリアなどで政変が起きた6日間となった。特に、日本との政治・経済的・文化的つながりの大きい韓国での政変は、今後の日本の外交、安全保障にも大きな影響を与えることとなる。
12月3日(火)夜、閣議の同意や手続き、自らの与党「国民の力」の党内同意なども経ないまま、放送により「非常戒厳令の宣布」を突然に発布した。そして、国防相とともに軍隊を動員し、国会議事堂などを封鎖しようと図った。突然の戒厳令発布や軍隊の動員に反対する国民が国会議事堂周辺に集まり、軍の動きにも抗議・阻止していく状況になる。
そして、議場への軍隊の突入をバリケードなどで阻止する中、国会議事堂議場に急遽(きゅうきょ)集まった190人の国会議員全員(主に野党「共に民主党」議員)の賛成により、戒厳令の即時解除が可決されることとなった。尹錫悦大統領による戒厳令発布から2時間半経過後の可決だった。(※韓国の憲法では、国会議員[300人定数]の過半数[150人]の賛成があれば戒厳令解除が可決できる。今回の議決では尹政権の与党「国民の力」の議員18人も賛成している。)
そして、戒厳令の発布から6時間後、尹大統領は国会での「戒厳令解除」議決を受け入れ、戒厳令解除を発表することとなった。あまりにも稚拙な準備不足と判断による戒厳令発布は、6時間で幕を閉じた。3日(火)の夜10時頃から4日(水)の早朝4時頃までの時間の出来後(政変)であり、眠りについていてこの政変を朝に起床して初めて知ることになった韓国国民も多かったようだった。4日、尹大統領政権の閣僚全員が辞職した。そして、尹氏と共に戒厳令を発布し軍を出動させた国防相は逮捕されることともなった。
国会の多数を占める野党「共に民主党」(李在明代表)は、尹大統領の即時辞任を要求、内乱罪での告発や「大統領弾劾」の国会議決(国会議員の3分の2以上[200人以上]の賛成で可決される。)を要求する声明を出した。(2024年4月の国会議員総選挙で、尹大統領与党の「国民の力」は108議席、野党「共に民主党」は170議席、その他22議席となっている。いわゆる大統領と国会の大きなねじれが起きていたため、尹大統領は政権運営が行き詰まり、支持率も19%までに落ちていた。)
なぜ、尹大統領は突然の戒厳令発布(韓国史上、40年余りぶり)に踏み切ったのか。大統領の政策提案に議会で何でも反対する野党「共に民主党」、それにともなう大統領支持率の低下を戒厳令により一挙に解消しようと図ったのが大きい要因とみられているが、尹大統領夫人・金建希の不正疑惑事件調査委員会の設置が、1週間後に国会で可決される可能性があり、これを措置するためもあるという指摘もある。
最近では、「整形美魔女」、「白いラッキョウ女」(※白いラッキョウの皮のように、皮をむいてもゝ不正疑惑がでてくる女という意味。)、「傾国の美女」などとも、国民から揶揄(やゆ)されることもある尹大統領夫人。妻をかばって「戒厳令発布‥」とも一部報道もされている。(※韓国では5人に1人は美容整形をしていると言われいることもあり、金夫人の美容整形がことさら問題にされているわけではないが‥。金氏は、大学生時代に「二重瞼(まぶた)整形」を行ったことを公言してもいる。)
■尹錫悦氏(63歳)と金建希氏(51歳)は2013年に結婚。当時、尹氏は51歳、金氏は39歳と、二人ともに晩婚であった。(※二人ともに初婚のようだ。)結婚後から現在までに、二人の間に子供はいないと報じられている。尹氏と金氏は2010年頃に出会い、尹氏が金氏に惚れて猛烈にアタックして結婚に至ったとされる。結婚当時、尹氏は検察官(司法)で資産は乏しかった(貯金は200万円ほどだけ)が、金氏は私立大学の美術学部の講師や企業経営者でもあり、経営者としても成功しており、かなりの資産(7億円ほど)があったようだ。尹氏の父親も母親も大学教授だった。父親は日本の一橋大学に留学した経験のある経済学者だったことも親日に影響していたのかも知れない。
4日以降、中国国内のネットでも、この韓国の政変は大きく、金夫人のこととともに、たくさん報道されてきている。
昨日12月7日(土)の午前中、日本のABC(朝日テレビ)報道番組「正義のミカタ」でも、この韓国の戒厳令発布と解除という突然の政変について特集がくまれ報道されていた。今後の日韓関係はどうなるのか?来年1月に予定されていた石破首相の韓国訪問は中止に追い込まれることとなるだろう。また、尹大統領はついに自ら、稚拙な「戒厳令発令」という暴挙に出てしまったため、「反米・反日、親中国」の李在明氏に政権を手放す道を開いてしまったとの報道もされていた。日本の東アジアにおける安全保障・外交面での難しさも一段と厳しさを増す2025年になることとなるだろう。
7日(土)の夜、韓国国会では大統領弾劾決議案が提出され審議。賛成は195にとどまり、3分の2の200に至らず、決議には至らなかった。(※大統領政権与党だった「国民の力」の議員がほとんど退席したため。) 「共に民主党」は再び、国会での弾劾決議を再提案すると表明している。また、「国民の力」の代表は、「今後、尹大統領の政治参加(執行)を制限させる」ことを表明した。事実上、尹大統領の権限はこれでなくなることになっていくと見られている。
■韓国大統領の弾劾訴追決議案の採決は2004年の廬武鉉(ノムヒョン)、2016年の朴槿恵(パククネ)両大統領以来、三人目。廬武鉉、朴槿恵両氏に対する弾劾訴追案は可決した。廬武鉉氏はその後自殺した。また、朴槿恵氏は裁判により刑務所に懲役21年の刑で収監される。2021年12月、特別恩赦により刑務所から出られることとなった。
また、この「正義のミカタ」では、ヨーロッパ・EU諸国の中心的二つの国であるドイツ・フランスの政局についても報道がされていた。ドイツでは、社会民主党を中心とした、自由民主党、緑の党の三党の連立政権(ショルツ首相)が政権を行っていたが、この政権が崩壊したと報じられていた。また、フランスでは、極左と極右の政党が手を組み、内閣不信任案を可決させ、内閣は総辞職との報道。2025年よりトランプ氏が米国大統領となることも相まって、「世界の政治が不安定の中に」と報道されていた。そして、さらに米国と共に世界の政治に最も大きな影響力をもつ中国国内での政権内の動き(変化)についての報道もあった。
昨日8日、ロシアとイランに支援され続けてきた中東・シリアのアサド政権が、反政府勢力によって首都を陥落させられ、アサド大統領は飛行機で他国に政治亡命をしたことが報道された。父親・子供(アサド大統領)と、50年間にわたった政権が崩壊をした。
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