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彦四郎の中国生活

中国滞在記

中国共産党総書記・習近平氏の「台湾併合(統一)」極秘シナリオ❶「台湾併合」へのこの70年間の動き

2020-08-10 09:18:20 | 滞在記

 2020年7月1日、香港国家安全維持法が施行され、香港の自治を尊重する「一国二制度」は実質的になくなり、香港は単なる中国の一部地域となった。香港が中国に返還された1997年から2047年までの50年間は香港の自治を尊重するということを中国政府側が一方的に破棄しての香港の「一国一制度」としての完全併合であった。

 この香港の状況に対して、6月30日に台湾総統の蔡英文は、「非常に失望している。一国二制度が実現不可能であることを証明するものだ」と述べ、台湾に対して中国が提唱する一国二制度での統一事業はもはや受け入れることの難しさを表明した。親中派とされる台湾の野党、国民党も同じ日、「香港司法の高度な自治が守られるべきだ」との声明を発表し、中国のやり方を暗に批判した。

 台湾当局者関係者の間では、中国の習近平政権が香港の次に、台湾に対して強引に統一攻勢を仕掛けるのではないかと懸念する声も高まっている。中国では台湾との統一を念頭に、新たに「国家統一法」なるものを制定する動きも数年前から始まっている。

 香港が「落ちた」以上、次は台湾が要注意だ。習近平中国共産党総書記にとって、台湾をおとせば、これ以上の戦果はない。毛沢東も鄧小平もできなかった事業の成功者として、まさに終身的な総書記への可能性も打ち出した2017年の党の規約の変更は国内的には正統化されるだろう。

 台湾は日本の九州と同じくらいの面積の島である。人口は約2350万人。台湾全体のGDPは世界第22位の経済力。一人当たりのGDPは中国の約3倍。総合軍事力は世界第15位(兵力約23万人)。

 中国(大陸)の中国共産党政権による台湾への武力侵攻は過去2回行われたがいずれも米国による軍事介入(支援)などにより成功していない。一度目は1958年、台湾武力侵攻を目指す毛沢東の中国共産党軍により、大陸に最も近い福建省の廈門(アモイ)冲にある「金門島」(台湾の支配下)は猛攻撃にさらされた。しかし、米国軍の支援により、金門島への攻撃を退けるに至った。(第一次台湾危機)

 二度目は1996年。この年に台湾史上初の「公選(民主的)台湾総統直接選挙」が行われることとなり、これに危機感を抱いた中国共産党政権(鄧小平・江沢民)が台湾への武力侵攻も実戦想定した大規模軍事演習(そのまま武力侵攻も)を福建省の沿岸や台湾海峡で行い、大陸から台湾に向けての実戦ミサイル配備を行った。この状況下、米国は2隻の空母機動部隊を台湾海峡に急遽派遣し台湾海峡を封鎖。このため台湾への侵攻を断念した。(第二次台湾危機)  そして、台湾総統選挙は初代の民選総統として李登輝が選ばれた。

 この侵攻(台湾併合・統一)の失敗により、中国共産党政権は長期計画として三つのことを行い再びの台湾併合・統一に向けて取り組むこととなる。一つ目はGDPなど国民総生産の増大政策、つまり経済の大発展を遂行すること。二つ目は米国に対抗するための海軍力の増強などさまざまな軍の拡充強化と近代化を長期計画で推進し始めていくこと。三つ目に、2005年に「反分裂国家法」を制定した。(胡錦濤)  この法律は10条よりなる簡単な条文であるが、台湾が独立を宣言した場合、台湾独立派に対する「非平和的手段」をとることを合法化したものである。

 2000年の台湾総統選挙で初めて「民進党」の陳水扁氏が台湾総統となり、2004年の総統選挙でも再選を果たした。陳氏は「より台湾の民主化と経済発展を進める政策と中国への警戒」を政策の基本とした。一方、中国大陸では2008年の北京でのオリンピック開催、世界第二位に迫る中国の急速な経済発展がすすんだ。

 2008年の総統選挙で「国民党」の馬英九氏が台湾総統選挙で勝利。馬氏は中国共産党政権との協調・融和政策を打ち出す。中国側も「一国二制度」を提唱。2012年の総統選挙でも馬氏が再選。この「融和」「一国二制度」の流れでの台湾併合・統一事業がなされるかという政局となった。この年、中国では習近平政権が発足。しかし、2016年の台湾総統選挙で民進党の蔡英文氏が総統選挙で勝利。これまでの中国との協調・融和政策から舵を切ることとなる。

 2017年10月に開催された第19回中国共産党大会(※中国政治における最も重要な大会。5年に一度開催され、チャイナセブンなどの党指導部が選出される。)。この大会で習近平氏が2期目の国家主席・党総書記となることが報告された。この大会での習氏の基調演説は3時間以上という異例の長さにわたり、この中で繰り返し言及したのは「中国の夢」であり「祖国統一」(台湾の併合・統一事業)であった。

 また、この大会では1980年代からこれまでの35年間にわたる慣例(総書記の任期は「毛沢東時代の過度の権力集中や個人崇拝に陥った歴史の反省」から、「二期10年間までとする」)をなくし、2022年の第20回中国共産党大会以降も習氏が最高権力者として君臨することを可能とするものに変えていった。また、この大会では習近平の後継者となる次期の総書記候補をチャイナセブンから排除した。

 この慣例の廃止はかなりの反対もあったようだが、これを黙らせるのに最も必要な事業が「習近平による台湾統一・国家統一事業」であった。この党大会後から「反民進党」「反蔡英文」の大規模政治的キャンペーンが中国国内だけでなく台湾でも取り組まれ始めることとなる。

 中国のインターネット記事サイトでは、反分裂国家法の罪状で逮捕される蔡英文の合成写真や武力による台湾への侵攻などをイメージした記事などが中国国内で多くだされるようになってきた。

 2020年1月、台湾総統選挙が実施されて、蔡英文が「中国政府が推す国民党の韓国瑜候補」を破って勝利した。この選挙戦を通じても、ここ数年間で台湾人の「私は中国人ではなく台湾人だ」という意識が大きく高まっていた。

 この台湾を巡る中国政府にとっての危機感の高まりの状況下、今年2020年には「台湾への武力侵攻の選択肢の可能性も」あったのだが、今のところ、中国国内から端を発した新型コロナウイルスの世界的な爆発感染拡大という事態の中、まずは「香港から」の完全併合「一国一制度」に駒をすすめた。

◆台湾への中国共産党政権の政策については、2018年2月4日~8日にかけて、「❶台湾海峡の緊張が高まりっっあると思う、❷2020年前後、台湾海峡緊張の予測、❸中国政府筋「中国近未来の6つの戦争」、❹台湾はどうなっていくのだろう」のシリーズでブログ記事を書いているので参照してください。

 

 

 

 

 


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