足音

凍りついた湖水が、岸から少しずつ解け出しています。
春の足音が聞こえてきました。



良く見ると雪と氷が解けてシャーベット状になった湖面に
陽光が反射し、更に林の影と風が映り込んで、まるで
抽象画のようになっていました。
春の酵母がふつふつと動き出したのです。



向こうの山は雪形。
「今日は何に見える？ネズミ、トリ？」　「ヘビだ～！」
子供たちの声が聞こえてくるようです。

三月

　ここは北海道。函館から４０Ｋｍ札幌から２００Ｋｍ離れた、北海道駒ヶ岳山麓の森です。
近くには三つの美しい湖があって、このあたり一帯が大沼国定公園となっています。

　この森の中の暮らしと、季節の移り変わりを綴っていこうと思います。　　　　動（yurugi）



　薄曇りの朝、いちばんでカレンダーをめくって「さあ、今日から三月だ、春だ」と張り切っては
みたものの、真っ白な雪に埋もれたこの森では、実感がありません。それでもこのところ日中は
プラス気温になることもあって、雲が割れて陽が射すとどんどん解け出します。真冬にあれ程厳しく
立ちはだかっていた吹き溜まりの雪山が、情けない程縮んで低い丘になります。
　「あと、一ヶ月」長靴を脱いで短靴（普通の靴のこと）を履きたい。短靴になったからって、別段
行く所がある訳でもないのに、春を待つ北国の人々の気持ちです。
　　
　一足先に鳥たちは元気に鳴いて、枯れ枝を忙しく動き回っています。「三月は大雪にならずに
このまま静かに四月になってほしい」一番背の高いカラマツにお願いしました。
　枝が揺れて笑っているようです。