森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

花たちの主張

2024-04-25 | 日記


 このところ朝は曇りか雨、お昼前にちょっと晴れて青空が覗き、
午後はまた曇って降る、こんな日が続いています。
花たちは、お昼前のわずかな晴れ間の陽射しを待って、一斉に
花びらを大きく広げます。
そして、人間が近ずくと、わいわいがやがや喋りかけてきます。
なにを言ってるのか分かるわけもありませんが、雨が多すぎるとか、
急激な気候変動に対する不平不満などでしょうか。
この花たちの喋りは人間だけではなく、森に生きる動物たちにも
絶えずおこなわれているはずです。
それによって、動物たちは多くの情報を得ているのでしょう。
 
 人間の話しかけで、植物が反応することは古くから知られて
います。
それは植物に電極をつけて発生する電気信号を測定することで
証明されています。
人が穏やかに話しかけると、緩やかなは波形を示し、怒って
怒鳴ったりすると険しい急峻な波形を表します。
ですから逆に考えて、植物から人間に話しかけていても、
なんら不思議なことはありません。
もしかしたら、人間よりもおおらかな主張をしているのかも
しれません。



 主張といえば、我々旧日本人は人前で自分の意見など
述べてはいけない、とされてきました。
つまり、じっと黙って偉い人からお話をたまわり、けして
その場の空気を乱してはいけなかったのです。
男は働いて、働いて、死んでいく。女はいっぱい子どもを
産み育てて死んでいく。
男も女も寡黙に生きるのが日本人の美徳でした。
私など、どっちかといえば場の雰囲気をあまり考えずに
喋るほうだったので、みんなにたいそう嫌われたものです。
しかし、時代が変わっても日本人のこの生き方は変わら
ないようです。
たまになにかの集まりに行くのですが、今の若い人でさえ
自分の意見をハッキリ言いません。
長い間の習慣は、簡単には変わらないということでしょうか。
というより、このまま人前で目立たずに人生を終えたほうが
賢いと考えるのでしょうか。
あるいは、なにも考えていないのでしょうか。



 自然の中を歩いていると、出会った花たちの主張が聞こえ
るような気がして、暫くその場に立ち止まってしまいます。
森の山桜も、もう明日にでも開花しそうな気配です
楽しい植物との会話は、これからも続いていきます。