妻の油絵「里芋」です。
先月11月の作品で、まだ元気な葉を残し、芋のまわりの土を洗い流した姿です。
里芋の絵は、初めてですが、収穫された姿にたくさんの芋を育て上げた里芋の安堵感を感じるようです。
里芋と言えば、皮ムキを素手でしていると、ひどいかゆみに襲われます。
里芋の皮のすぐ下に含まれるシュウ酸カルシウムが原因で、その針状結晶が皮膚を突く痛みだそうです。
沖縄を初めて旅した時、道端や、林の中に里芋に似た「クワズイモ」が生い茂っているのを見て、とっさに食べられるのではとの思いが頭をよぎったのを思い出します。
自生する「クワズイモ」は、里芋と間違えて食べると、ひどい食中毒になることで知られ、ヤギも食べないそうです。
恐らく、たくさんのシュウ酸カルシウムが芋の深い場所まで含まれているものと考えられ、しかもシュウ酸カルシウムの針状結晶は、加熱しても変化しないことにより、口の中や、内臓の粘膜までひどい中毒症状になるものと思われます。
里芋は、縄文時代から栽培されているとされ、その原種とされる東南アジアの「タロイモ」も「クワズイモ」のような自然種から品種改良されたものと考えられます。
しかし、ひどい痛みを伴う試食をしながら食べられる品種に改良するのも至難の業と思われ、考えてみると太古の人々のあなどれない知恵を感じます。
祖先が里芋に積み重ねた苦労に感謝し、掘りたてのやわらかな煮物に舌鼓を打つのもこの季節の醍醐味です。