『金澤がめ凧』
金沢市史の「玩具」の項目の中に「玩具の種々」の絵がありました。
(金沢市史の玩具の項目)
『玩具』の項を転記しました。
玩具は種々の模品その他種々のもの多くして屈指に暇あらず、普通最も行はるゝものは、風車、太鼓、びいびい笛、獨楽、張子人形、起上り小法師などの類にして、暇面に天狗、狐、お多福、般若、げんげんぼう、金時、座頭あり、これらの玩具は明治維新の際までみな金澤の玩具師が作れるにて、他よりの移入なかりき玩具師の最も名ありしは、大越屋、三國屋、能登屋などなり、殊に金澤にて作る起上り小法師は、京阪地方の達磨に異なり、武内宿禰(タケノウチノスクネ)に抱かれたる貴人が、松竹梅の模様のある蜀紅錦(ショッコウニシキ)に包まれ給うに擬したるものにて、他地方のものと異なり子女ある家庭にては、小形の起上りを多く箪笥にに入れ置けば、着物おのづから殖える謂はれ、疱瘡除け若しくば、病氣見舞いなどにも用ゆ、又張子物に虎、猫、牛などの頭を振るものあれども、近来セルロイドの玩具行われ、手張りの玩具は漸く行はれず、又純なる玩具にあらざれども、桃の節句に飾る御伽這子(オトギボウコ)、天皃を元として、種々に進化したる雛人形のうち、金澤の練物雛は美術的価値ありと稱せられる。
金澤の玩具が沢山書いてありその中に、「ふくら雀」の玩具があります。現在は金沢の老舗玩具の「中島めんや」から「ふくら雀の張子」を購入しましたので写真を掲載します。
(ふくら雀の玩具)
また、絵の下方には凧があり市松模様の下に尻尾が沢山付いています。絵を拡大して文字を読むと「がめ」と読むことができました。
「がめ凧」の市松模様の色に関して、字凧の場合「文字は白」、「地は藍色」であったが、魔を嫌う色が、子供凧の場合は赤ではなかったかと思われます。
今回、再現した「がめ凧」の市松模様は白と赤として再現しました。
(再現した金澤がめ凧)
石川県立歴史博物館で特別展で購入した「三都と金沢」の本の中に「都市と芝居」の項に金沢の犀川での芝居について書かれています。
(石川県立歴博物館発行 三都と金沢」
芝居の演目で「長柄長者」の役者名が描かれた絵柄で「鶴と亀」が書かれたものが有りました。
このような絵柄の「亀」の凧は揚げていたのでしょうか、「亀凧」の揚がった絵や文章はまだ発見されていませんが、市史の中の「金澤がめ凧」は子供の玩具凧と思われます。