武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

雪と一緒に(作品紹介720)と 夕食とタラのコロッケ

2023-02-08 13:26:19 | Weblog

こちらは、マジック作品です。

油性のマジックインキは、重ね塗りすると下地が透けて見え、

セロファンを重ねたような効果が出ます。

緑に見えるところは、オレンジや黄色が、

紫に見えるところは、ピンクが塗られています。

案山子でも描いているの?と思ってしまいますが、これは飛行機です。

武内の絵を何年も毎日見ていますと、

視覚に形が擦り込まれていますので、

描かれていませんが、尾っぽの部分“水平尾翼”があるのです。

このバッテン、+の形があるものは飛行機なのです。

雪の振る人家のある街並みを浮遊しているような感じがします。

ところで、雪が降ったら、飛行機って飛べただろうか?

こんな疑問もありながら、絵を見ています。

 

台所でこんな会話をしていました。

ヒロクニさんは、「最近、ご飯が美味しくってね。毎日、ありがとう。」と言い、わたしに握手を求める。

握手した後、「こういってはなんだけど、わたしも自分で作りながら、美味しく食べてる。」

「楽しみがご飯しかないというか、一日の終わりにあれこれ美味しく食べると、充足するよね。」

「あ、こういうの“一日の労苦は、一日で足れり”っていうのかな。」

「他の欲望が減るよね。」と、何か発見でもしたような気持ちになって話す。

ヒロクニさんは、「確かに、無駄使いが減るねぇ。」

「満たされてしまってもて・・・。」と、冗談っぽく、笑いながら言う。

我々は、こんなことで満たされてしまっていいのか?

もっと崇高なものがあったのではなかったのか?

というものが、ヒロクニさんにはあるので、

こんなことで満たされてもて・・・ということで、変な笑いが出てきているようです。

普段、「精神の不良」なはずが、

“晩飯”で満たされて幸せになってしまった。

「満たされてもて・・・。」と言う表情は苦笑顔なので、可笑しく楽しい気分になった。

若い時は、厳しかったようで、現代美術の団体にいた頃は、団体で話し合いをした時のことを語るのですが、

特に印象的だった言葉があります。

「この大事な話し合いをする時に、グラタンを食べる奴がいたんだよ。

 俺は、“こいつ許せん”と思ったねぇ。

 腹一杯にして、何が芸術だ。

 腹がすいていてもやるのが芸術じゃないか。

 俺らがどんな思いをして芸術をやろうと思っているか、分ってない。

 こいつとは、口聞きたくないと思ったねぇ。」と、いうもの。

グラタンを食べただけで、ここまで思われるって、可哀想にと思うと同時に

ヒロクニさんの言い分もわかるような。

飯より情熱が大事なんだ!こっちが先だ!なのでしょう。

確かに、ストイックで、暮らし始めた頃、

食事を出しても、食べないで見ているだけで、驚いたことがあるのです。

「見ているだけで、お腹が一杯になっているから。」とか、言われて・・・。

わたしにしたら、それはありえないなので、とても困りました。

かといって、まったく食べないではなく、急に食欲が出るときがあって、

変な時間(普通はあまり食事をしない時間帯)に食べだす時があって、

武内の友人の目の前で、急に食事を注文したり。

わたしは、「食べたり食べなかったりなので、好きにさせてる。」と、皆の前でポツリ。

皆、大変やねぇ~という目で、ヒロクニさんを見る。

だけど、皆寛大です。

美術関系の集まりでも、パーティでも本当に食べない人。

家に帰ってから、「何か簡単なもの作って。」と言われます。

(わたしは一緒に行って、アルコールやら料理を頂いていて、ちょっとめんどうである)

こういうことを思い出すと、今は食べるようになってくれて、ありがたい。

 

そんなヒロクニさんですが、夜中に起きて制作していたり、朝早くから制作していたり、

昼間制作していたり、昼間寝ていたり、夕方寝ていたり、遅くに寝ていたり、

わたしから見るとこんな風に映ります。

“不規則な生活”つまり、制作に一番いい生活らしい・・・。

受ける雰囲気は、活動的な感じ。特に表情がです。

それが、急に“休息”に入ったらしく、熊みたいに冬眠しています。

「ちょっと、今から休憩するよ。

 今から、幼児期のあのくる日もくる日も海を見ていた記憶を。

 あの生まれた時から、海があった環境の中で育まれていたものを探し当てたいかな。

 新しい今までにないものを発見してみたい気も。

 才能とかじゃなくって、努力したら努力した分、解ることがあって、

 解ったら、また努力を続けて、その努力が出来るのが才能。」

「努力できるのが才能」改めて、うん、なるほどと思う。

そして、ヒロクニさんのいう「解る」とは、何か?

ここが明快になりにくく、解りにくいところでもあるが、

ここがポイントなのかもしれないと思うのでした。

哲学みたい・・・。

 

 

では、晩御飯の話から、はじめて挑戦した、タラのコロッケのお味を。

昨年から、考えていたコロッケを作ってみました。

↑丸い形をしたものが、パルメチザンチーズ入り。

長めの形は、プレーンな味。分けています。

これだけでは、ただのコロッケの見かけ。

↑こちらが、コロッケの中身。

左の透明のボールには、マッシュしたじゃが芋と

すきみたらを塩抜きのため戻したものをフードプロフェッサーで細かくしたタラの身。

右は、炒めた玉ねぎ。

イタリアンパセリは刻んで一緒に混ぜる。

味は塩、胡椒。ナツメグ。牛乳も混ぜるあわせる時に入れました。

 

お味の方は、あっさりしたコロッケで塩味が残っているタラの身とナツメグがよく合います。

ケチャップをつけて食べるのがいい。

洋風な感じの味になります。

個人的には、パルメチザンチーズが入ったものの方が、ケチャップに合うような気がします。

ヒロクニさんには、いまいちだったようで、塩をかけて食べていました。

普通のコロッケのほうがいいみたい。

このコロッケは、ちょっとポルトガル風なのです。

 

↑庭では、あまり花は咲いていません。

手前から、ムスカリとチューリップを植えている鉢。

ルピナス、ビオラ。

ポットには、ビオラを育苗中。

やっと蕾をつけたものが1つ。紫色でした。

これからの楽しみ。

 

 

不規則な生活が板に付いている武内ですが、制作と関係あるように思います。

「規則正しい生活をしようよ。」というと、

「嫌だ。」と即答で返ってきたときは、え~!!!と驚いたのですが、もう、好きなようにと。

「満たされてもて・・・・。」と言う言葉を聞いた時、夫も随分変わったのか?

時々、「腹が減っては戦は出来ぬ。」「ご飯、食べて!」と食べるように仕向けていたこともあり、

わたしの啓蒙も脳に浸透しているに違いない。

制作を戦に見立てたのが、功を奏したとのだと思います。

 

今日も最後まで、お読み頂いた方、ありがとうございます。

 

 


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2 コメント

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Unknown (ともりん)
2023-02-12 18:23:45
華やかな作品ですね。いつも思いますが、マジックインキの作品は、透明感がとても出ることに驚きます。事務的な文房具として使っているときにはわからなかったですが、こうして作品にすると事務的文房具とは思えません。
向かって左上の黄色の線、ぱあっときらめく光が差し込んでいるようです。黄色のマジックインキは紙に文字を書いたときは垢ぬけない感じなのに、使い方で変わるものだなあと思いました。
飛行機、なるほど。確かに雪の降る街の上空を飛んでいるようです。とはいえ、大きな2つの顔が気になります。この顔は街にいるのか飛行機にいるのか……。男女のように見えます。

食べることや寝ること等の、人間の生活の根幹であり人の欲望が流れやすいことに厳しい感覚をもっていらっしゃるのかなと思いながら読みました。
「俺らがどんな思いをして芸術をやろうと思っているか、分ってない。」という言葉に、芸術家の精神の厳しさと思いの強さを感じました。でも、やっぱりごはんは美味しいです。
「努力できるのが才能」の部分、何度も読んでしまいました。私は今、人生の終わりに向かって、生活、活動、人間関係、精神性を整理しています。
不要な部分を取り除くのは比較的簡単なのですが、足りない部分を追加していくことが難しいです。足りない部分とは、「理想とする自分に不足している部分」ということです。
でも、想いはあれど何をどうしたら良いのか?とモヤッとしたまま手探りで進んでいるのが現状なのですが、ヒロクニ先生のこの言葉で、モヤッとしたところに少し隙間が空いたように感じました。

タラのコロッケ、手間がかかっていていつもすごいです。洋食屋さんのメニューにあったら嬉しいな、と想像しました。すきみだらの塩味が効いていて美味しそうです。
漫画「くーねるまるた」で主人公のマルタさんが、母国ポルトガルの家族からの宅配便の中に入っていた干しダラでコロッケを作っていたことを思い出しました。その時も「干しダラの塩味が効いていて美味しそう」と思いましたが、手間がかかるから自分では作れないな、と思っていたのでした。

そろそろ春の空気も感じられる頃でしょうか。ビオラ、今年はどんな色の花が咲くでしょうか。楽しみにしています。

先日、東京でも雪が降りました。未明から結構降ったので、雪かきにどきどきしていたのですが、昼過ぎからみぞれになって雪かきは回避できました。
暖かい日も多くなってきましたが、まだ2月なので「すごく寒い日がありませんように」と願っています。
いつもていねいなお返事を、ありがとうございます!
返信する
私も男女のように見えます。 (さほりん)
2023-02-13 13:44:50
コメントありがとうございます。
マジックインキの作品は、あのマジックインクを使ってこんな絵が出来上がるの?という驚きが私にもあります。あのマジックで?というもの。
はっきりいって、あの瓶に入った短いマジックはダサい感じがするから。薄めの白い紙を使っていて、この紙がこういう効果を出してくれるのだと思います。
大きな2つの顔は、私も男女に思えます。同じこと思っていると思いながら読んでいました。

食べることについて独特の感覚を持って生活していたみたい。もともと芸術家はお金に苦労するせいか、食に関心をもっていない人でした。「○○食べたい。」「○○食べよう。」は私の方で、一緒にインド料理を食べた後、「美味しかったね。」みたいな顔している私を見て、そんな顔するんだと感心された記憶が・・。父と蟹を食べにいった時も、メニューを見て、「こんな高いもの食べるのだったら、絵具代が欲しい・・・。」と耳打ちされ、食べない行為に出られたことも。進めても食べないから。一同、食べ終わってから気づかれして疲れてしまったということもあります。(お高い所は、やめてね。と嘆願しました。)
若い時は、情熱が突出していて、その情熱を常に自分で計っていたのではないだろうか?60代になっても「男は飲んで食べて。」と言われたりした時も、考えられないぐらいお怒りでした。

ともりんの言う「人生の終わりに向かって」という言葉ドキッとしました。意外と何も考えていない自分が浮かび上がり、そわそわしてしまいました。ともりんは自分に厳しく生きているのだなと思います。また、理想と現状、これは乖離していて当然だと。しかし、少しでも近づきたいというのが人です。私は、とりあえず自分に出来ることを少し、負荷を加えるように足してみるという方法をとるかな?ヒロクニさんの言葉がヒントを与えたのであれば、それは良かったと思いました。

タラのコロッケは、干しダラの塩の残し加減が難しいかも。ちょっと、塩を抜きすぎていました。それと、やはり手間なところがあります。骨を除く作業とか。ポルトガルの料理の変形だから、南米でもよく似た料理があります。いつも食べてみたいと思っていたのです。そんな料理ですが、ヒロクニさんは、シーンとしていました。

ビオラは、紫色が1つ蕾をつけています。やっと花が・・・。

2月は、暖かい日もありました。でも、まだまだ寒い日がありそうで、ヒロクニさんには苦難が続く・・。だけど、日が長くなりました。私は、1時間、日がくれるのが遅くなったことでホッとしています。春が来るのが待ちどうしいですね。

いつもコメントありがとうございます。
絵を見て、同じようなことを思うことが増えたような気がします。同じく!と思う時、時空を越えて同じような感覚で絵を見ていると思うと、不思議な感覚になります。

お互い、冬を乗り切りましょうね。
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