必勝!合格請負人 宅建試験編

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2019 宅建士試験ワンポイント解説(権利関係・重要問題①)

2019-11-03 | Weblog
【問 1】 Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1.甲土地を何らの権原なく不法占有しているCがいる場合、BがCに対して甲土地の所有権を主張して明渡請求をするには、甲土地の所有権移転登記を
 備えなければならない。
2.Bが甲土地の所有権移転登記を備えていない場合には、Aから建物所有目的で甲土地を賃借して甲土地上にD名義の登記ある建物を有するDに対して、
 Bは自らが甲土地の所有者であることを主張することができない。
3.Bが甲土地の所有権移転登記を備えないまま甲土地をEに売却した場合、Eは、甲土地の所有権移転登記なくして、Aに対して甲土地の所有権を主張する
 ことができる。
4.Bが甲土地の所有権移転登記を備えた後に甲土地につき取得時効が完成したFは、甲土地の所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の
 所有権を主張することができる。

物権変動      
① 誤 不法占拠者(不法占有している者)に対しては、登記がなくても所有権を主張できる。
② 正 登記がなければ、対抗力のある(借地上に登記された建物を所有する)土地賃借人に対抗できない。
③ 正 当事者同士は登記がなくても、所有権を主張できる。
④ 正 時効完成前の第三者に対しては、登記がなくても所有権を主張できる。
試験にデルノートⅢ 権利関係P4、P11~12、P26


【問 2】 AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1.AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消した後、CがBから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えた場合、AC間の関係は対抗問題となり、
 Aは、いわゆる背信的悪意者ではないCに対して、登記なくして甲土地の返還を請求することができない。
2.AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消す前に、Bの詐欺について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていた場合、
 AはCに対して、甲土地の返還を請求することができる。
3.Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失がなければ、Aは、Bから甲土地を買い受けたCに対して、錯誤による当該意思表示の
 無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。
4.Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失があったとしても、AはBに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地
 の返還を請求することができる。

意思表示
① 正 取り消し後の第三者に対しては、登記がなければ、対抗できない。
② 正 詐欺による意思表示の取消しは、悪意の取り消し前の第三者に対抗することができる。
③ 正 要素の錯誤があり、重大な過失がながなければ、錯誤による無効を主張して、善意の第三者に対抗することができる。
④ 誤 要素の錯誤があっても、重大な過失がある場合は、錯誤による無効を主張することができない。
試験にデルノートⅢ 権利関係P1~2、P12

《改正ポイント》
改正法の内容
錯誤
① 意思表示が錯誤に基づくものであること
② 錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであること
③ 動機の錯誤については、動機である事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていること

錯誤の効果を「無効」から「取消し」に改める。
錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、意思表示の「取消し」をすることができない。
① 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき
② 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
動機の錯誤については、「その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り」、取り消すことができる。

第三者との関係
1 錯誤取消し主張「前」の第三者
錯誤による意思表示の取消しは、「善意でかつ無過失」の第三者に対抗することができない。
2 錯誤取消し主張「後」の第三者
錯誤取消しの主張後に第三者が生じた場合については、詐欺取消後の第三者保護の場合と同様、「対抗問題」として処理する。

詐欺・強迫
取消し
1 第三者詐欺
第三者が詐欺を行った場合、相手方が「悪意もしくは有過失(相手方がその事実を知り、又は知ることができたとき)」の場合、取り消しができる。
2 第三者との関係
善意でかつ無過失」の第三者の場合、第三者が保護される。
(悪意もしくは有過失の第三者は、保護されない。)


【問 7】 Aを売主、Bを買主として甲建物の売買契約が締結された場合におけるBのAに対する代金債務(以下「本件代金債務」という。)に関する
 次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1.Bが、本件代金債務につき受領権限のないCに対して弁済した場合、Cに受領権限がないことを知らないことにつきBに過失があれば、Cが受領した代金
 をAに引き渡したとしても、Bの弁済は有効にならない。
2.Bが、Aの代理人と称するDに対して本件代金債務を弁済した場合、Dに受領権限がないことにつきBが善意かつ無過失であれば、Bの弁済は有効となる。
3.Bが、Aの相続人と称するEに対して本件代金債務を弁済した場合、Eに受領権限がないことにつきBが善意かつ無過失であれば、Bの弁済は有効となる。
4.Bは、本件代金債務の履行期が過ぎた場合であっても、特段の事情がない限り、甲建物の引渡しに係る履行の提供を受けていないことを理由として、
 Aに対して代金の支払を拒むことができる。

弁済・同時履行
① 誤 債権者ではない者にした弁済は、原則として無効であるが、債権者に引き渡しているので、弁済は有効である。
② 正 債権者ではない者にした弁済は、原則として無効であるが、弁済者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。
③ 正 債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。
④ 正 同時履行の場合、相手方が履行の提供をしなければ、自分の債務の履行を拒むことができる。

《改正ポイント》
改正法の内容
債権の準占有者に対する弁済・・・受領権者としての外観を有する者に対する弁済
 受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)以外の者であって
取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、
その効力を有する。
 受領権者としての外観を有する者に対する弁済を除き、受領権者以外の者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、
その効力を有する。

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