梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

三宅坂稽古場便り 2

2007年09月28日 | 芝居
お稽古2日目、どんどんと芝居が組み立てられてゆきます。
久しぶりの上演といえば、「清盛館の場」も同様で、まして今回は新たな台本での上演。『平家女護島』全体の主演でいらっしゃる高麗屋(幸四郎)さんが全体を御覧になり、より<芝居>らしくなるようご指示をくださいます。

私どもが<六波羅おどり>を踊る幕開きも、「下座囃子が場面と合っていない」というご指摘。時代物、そして黒塗りの高二重の屋台という装置の舞台に流れるにしては、ちょっと世話っぽい印象になるのではということで、すぐさま鳴物さんと三味線さんが話し合い、違うお囃子に変更、<六波羅おどり>の振りも若干変わりました。こういう作業が、その場で行われ、その場で解決するということは、考えてみればすごいことだと思います。幕開きの雰囲気は、確かに立派になり、時代物らしい重さが出ました。

『うぐいす塚』も、昨日で段取りはほぼついたとはいえ、芝居としてふくらませてゆくのはこれからです。
すでに新聞などでも紹介されている通り、高麗屋(染五郎)さんが舞台で鼓と太鼓を演奏するくだりがございまして、大きな見せ場になっているのですが、今日のお稽古では実際に楽器を使って演技なさいました。楽器を運ぶのは私たち腰元役ですが、本職の鳴物さんに伺いまして、運ぶときの持ち方を本式でいたしております。
はじめて拝見する高麗屋さんの演奏、意地悪な継母に「できなかろう」と試されているという設定もあり、たんに演奏するだけでない、気迫のこもった音色(阿古屋の琴責めも同様ですが)に、稽古場の空気も張り詰めました。皆様どうぞお楽しみに。


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