梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

三宅坂稽古場便り 3

2007年09月29日 | 芝居
通常よりも長い期間をとった今月のお稽古。今日の稽古が<附立て>となります。

『平家女護島』「清盛館の場」は、だいぶ整理されました。今日の大きな変更点といたしましては、幕開き<六波羅おどり>を踊るのは、台本では<腰元>となっておりますから、踊りが終わったあとも舞台に控え、主人である清盛公が退座するまで座っていることになっていたのですが、この腰元たちの衣裳が、緋の切袴に白の長絹という、いわば<巫女さん>風のこしらえになっており、これは腰元たちが座興のため扮装をしているというココロなわけですが、そうなりますと、舞台で繰り広げられる、俊寛の妻東屋の深刻な芝居の背景に、お巫女さんがズラズラと居並んでいるという光景となってしまいます。どうにもチグハグな印象は否めませんので、いっそ腰元たちは余興のための存在といたしまして、踊りが終わりましたら一同しずしずと退場! ということになりました。

『うぐいす塚』は、ほぼ段取りは完成しまして、今日は下座の合方のかかり(きっかけ)を確認、整理。後半の見せ場となる立廻りで流す下座を、もっと派手にしたいというご意向がございまして、それではと使うことになったのが<双盤>という鉦。これがカーンカーンと入ると、グッと盛り上がるんですよね。三味線の曲もかわり、よりキッパリとした立廻りとなりました。

こちらの腰元は、いかにも腰元らしく色々の仕事がございますが、お手本のない芝居ゆえ、新参者の私には、動き方や段取りのつけ方がどうにも手探りになってしまうのですが、一座の先輩がたが色々とご助言下さるので本当に有難いです。先輩が数々のお芝居を経験なすった中で得られた女形の身のこなしを、このひと月で少しでも多く吸収できたらと切に思いますが、ここ数日は、「さりげなく」芝居をする難しさを、心底味わっております(初日が開いても、でしょうが…)。

今回の稽古場便り、あれこれ書きたいことは沢山なんですが、なにせ約80年ぶりの復活作品ですから、御覧になる方のお楽しみをぶち壊すような<ネタばれ>になってはと思い、グッと堪えておりまして…。
歯切れが悪くてごめんなさい。